BMWが新型「5シリーズ」を日本で発売した。1972年に誕生した5シリーズは新型で8世代目。約7年ぶりのフルモデルチェンジとなった今回は、新たに電気自動車(EV)バージョンの「i5」が登場した。このクルマ、BMWがラグジュアリー路線に移行していくうえで重要なモデルになるという。
BMWはワンランク上のブランドに?
発表会に登壇したビー・エム・ダブリュー代表取締役社長の長谷川正敏さんによると、5シリーズの世界的な立ち位置は「エグゼクティブ・セダンの代名詞」であり、日本でも約50年にわたって販売してきたモデルであるという。今回のフルモデルチェンジで5シリーズは「完全に別次元」と言えるほどの進化を遂げたとのこと。ラグジュアリーなクルマとしての価値観として、従来からの「走る・曲がる・止まる」という基本的な価値に加え「空間要素」を磨き上げたそうだ。
長谷川社長によると、BMWの日本での販売台数は2023年1~6月で約1.67万台。新型モデルを中心に積極的なプロダクトの導入を図った効果もあり、前年同期比で19%の増加とビジネスは好調に推移している。中でも、フルモデルチェンジを実施してラグジュアリーセグメントに投入した新型「7シリーズ」については「なかなかの快進撃」(長谷川社長)を見せており、前期比で約2倍の売れ行きを示しているそうだ。
そんな状況の中、BMWは「いわゆるプレミアムセグメントから、少しずつラグジュアリーの方へ移行」しようとしていると長谷川社長。新型5シリーズはBMWをワンランク上のブランドに導いていくうえで非常に重要なモデルになるそうだ。
そのあたりについて、もう少し詳しく長谷川社長に聞いてみると、BMWは「世界ではプレミアムセグメントのトップを走っているが、さらにもう一段上のラグジュアリーセグメントに入っていこうと」しているそうだ。「新型7シリーズも、ロールス・ロイスのプラットフォームを使うなど先代とば全くの別物になっています。カスタマーセントリック、顧客中心に物事を進めていくうえでは、ラグジュアリーのお客様が対象とならざるを得ません」とのことだ。
7シリーズを筆頭に、全てのモデルでワンランク上を目指しているのが今のBMWということらしい。フルモデルチェンジした5シリーズについては、「前世代の6~7シリーズに乗っているようなお客様にご購入いただけるのでは」というのが長谷川社長の見立て。とはいえ、新型5シリーズの価格については「(原材料の高騰や円安はあるものの)相当、がんばった」(長谷川社長)そうだ。
ただ、ラグジュアリー路線への移行が加速していってしまうとBMWのハードルが高くなるというか、間口が狭まってしまいそうで心配なのだが、そのあたりについては「1シリーズ、2シリーズもこれまで通りラインアップしているので(間口の広さは)担保できる」というのが長谷川さんの回答だった。「できれば、ラグジュアリーの要素を下のモデル(1~2シリーズ)にも持っていきたい」とのことなので、今後は比較的安いBMWにどんな高級感が加味されていくのかにも注目しておきたい。
新型5シリーズの納車はガソリンのMHEVとi5が2023年第4四半期以降、ディーゼルのMHEVが2024年第1四半期以降となる見通し。