日本にはさまざまな漢字があり、一文字だけで心にグッと響く、深い意味を持つ漢字があります。
本記事では心に響く漢字一文字のうち、男の子・女の子の名前に使える漢字や、目標・座右の銘に使える漢字、すてきな意味を持つ漢字やかっこいいい漢字、簡単だけど深い意味を持つ漢字、逆に難しい漢字を紹介。
それぞれの意味や由来も、わかりやすくまとめています。
【心に響く漢字一文字】男の子の名前におすすめの漢字一覧
まず男の子の名前におすすめの漢字を紹介します。
漢字一文字の名は覚えてもらいやすく、また、どのような意味が込められているのかが伝わりやすいでしょう。
男の子の名前におすすめの漢字|翔
「翔」は音読みで「ショウ」、訓読みで「かけ(る)」「と(ぶ)」と読みます。
空高くとぶ、かけるなどを意味し、「飛翔(ひしょう)」「高翔(こうしょう)」といった言葉もあります。
「翔」を用いた「鸞翔鳳集(らんしょうほうしゅう)」という四字熟語は、優れた才能を持つ人が集まって来ることの例えです。
「空高く舞い上がるようにステップアップしてほしい」「夢に向けて羽ばたいてほしい」といった願いを込めることができるでしょう。
男の子の名前におすすめの漢字|昴
「昴」は音読みで「ボウ」、訓読みで「すばる」と読みます。
プレアデス星団(おうし座の一部)の日本語名であり、清少納言の『枕草子』などにも登場する、古くから親しまれてきた漢字の一つです。
元々は「統べる(すべる)星」の意味で、星が集まっている様子を表していたといわれています。
名前に使う場合は「光り輝く星のような人になってほしい」などの願いを込めることができるでしょう。
男の子の名前におすすめの漢字|慧
「慧」は賢く聡明(そうめい)であることを表す漢字です。
音読みで「ケイ」「エ」、訓読みで「かしこ(い)」「さと(い)」と読み、かしこさや、仏教で真理を見極める力などを意味します。
「心」と、「セイ」「スイ」と読む「彗」とを組み合わせてできた漢字であり、「セイ」「スイ」が「クエイ」、そして「ケイ」という音に変化したといわれています。
【心に響く漢字一文字】女の子の名前におすすめの漢字一覧
ここからは女の子の名前に人気の、華やかなイメージのある漢字や、芯のある漢字を紹介します。
一文字の名にすることで漢字の意味を強調でき、印象的で覚えられやすい名前になるでしょう。
女の子の名前におすすめの漢字|雅
「雅」は音読みで「ガ」、訓読みで「みやび」「みやび(やか)」「つね」と読み、おくゆかしさや上品なこと、洗練された様子、風流である、正しいことなどを意味します。
元々は、紫っぽい光沢を帯びた黒色の羽を持つ「深山鴉(みやまがらす)」を意味する漢字であり、鳥を表す「隹(ふるとり)」と、鳴き声を表す「牙(ガ)」を組み合わせてできた漢字だといわれています。
名前に使う場合は「おしとやかで落ち着いた雰囲気を持つように」「上品で伝統的な美徳を持つように」などの願いを込めることができるでしょう。
女の子の名前におすすめの漢字|郁
「郁」は音読みで「イク」、訓読みで「かぐわ(しい)」「さか(ん)」と読みます。
元々は昔の中国にあった地名であるといわれ、それが転じて香りが良い、かぐわしい、文化が盛んであることを意味します。
名前に使う場合は「文化的で教養のある人になるように」「華やかで上品な人になってほしい」などの願いを込めることができるでしょう。
女の子の名前におすすめの漢字|凛・凜
「凛」は「凜」の異体字で、「凛」も「凜」も女の子の名前として人気の漢字です。
これらの漢字は音読みで「リン」、訓読みで「さむ(い)」「すさ(まじい)」と読み、きびしく寒い、すさまじい、りりしい様子などを意味します。
きりっと引き締まった感じ、賢い様子を表す「凛々しい(凜々しい)」という言葉があるように、芯の強さやクールな印象を与えます。
なお「凛」も「凜」も、以前は人名として使うことは認められていませんでした。しかし「凜」は、平成2年3月1日の戸籍法施行規則改正にて、その後「凛」は、平成16年9月27日の戸籍法施行規則改正にて、人名用漢字に認められたという経緯があります。
【心に響く漢字一文字】人生の目標・抱負や座右の銘に使える漢字一覧
目標や抱負、座右の銘と聞くと、多くの場合、ことわざや四字熟語を思い浮かべるでしょう。しかし、漢字一文字で表すと印象的で、他の人とは違った個性を表現できます。
そこでここからは目標や座右の銘でも使える、一文字で深い意味を持つ前向きな漢字を紹介します。
人生の目標・抱負や座右の銘に使える漢字|進
「進」は音読みで「シン」、訓読みで「すす(む)」「すす(める)」と読み、すすむ、下から上へ昇る、向上するなどを意味します。
恐れることなく目標に向かって前進することを意味する「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」や、既に努力を尽くした上でなお尽力することを意味する「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)に一歩を進む」など、多くの四字熟語やことわざに使われている漢字です。
「道を切り開き進む」「あきらめることなく目標に向かって前へ進む」などの願いを込めて、人生の目標や抱負として選んでみてはいかかでしょう。
人生の目標・抱負や座右の銘に使える漢字|叶
「叶」は音読みで「キョウ」、訓読みで「かな(う)」と読み、望み通りになる、願いがかなう、一致するなどを意味します。
「願いや夢を諦めず、努力して叶える」「夢を叶えるために全力で頑張る」などの、折れない心を表現したいときにおすすめです。
人生の目標・抱負や座右の銘に使える漢字|実
「実」は音読みで「ジツ」、訓読みで「みの(る)」「まこと」などと読みます。
くだもの、みのる、内容がそなわる、真心、ありのまま、うそ偽りのないことなどを意味します。
「頑張ってきた夢を実らせる」「誠実で中身のある人間になる」などの願いを込めて、常に心に掲げてみてはいかがでしょうか。
【心に響く漢字一文字】すてきな意味の漢字一覧
漢字には、一文字ですてきな意味を持つものが数多くあります。その一部を紹介します。
すてきな意味の漢字|祉
「祉」は音読みで「シ」、訓読みで「さいわ(い)」と読みます。
さいわい、しあわせ、神の恵みなどの意味を持つ漢字であり、「礻(しめすへん)」が「神」を、「止」が「とどまる」を表しているとされます。
今では公的な配慮やサービスによる安心を意味する「福祉」という言葉も、元々は「幸福、さいわい」を表しています。
すてきな意味の漢字|絆・紲
「絆」は音読みで「ハン」「バン」、訓読みで「つな(ぐ)」「きずな」「ほだ(す)」と読みます。
そして「紲」は音読みで「セツ」、訓読みで「つな(ぐ)」「きずな」と読み、どちらもつなぐ、きずな、などを意味します。
「絆」「紲」は読みや意味の通り「人と人との断ち切れないつながり」を表す漢字であり、恋人や親友など大切な人との縁やつながりを意味する、すてきな漢字です。
ただし動物や罪人をつなぐ縄という意味もあるため、使い方には注意が必要です。
すてきな意味の漢字|偲
「偲」は音読みで「シ」、訓読みで「しの(ぶ)」と読み、なつかしく思い出す、互いに励まし合う様子、かしこい、などを意味します。
松尾芭蕉が信夫(しのぶ/現在の福島市)にある「しのぶもぢ摺りの石(信夫文字摺石/信夫文知摺石)」を訪れた際、昔を偲ぶと掛けて「早苗とる手もとや昔しのぶ摺(さなえとる てもとやむかし しのぶずり)」という句を詠んでいます。
たまには昔を思い出し、遠く離れてしまった土地や友人を偲ぶのもいいでしょう。
すてきな意味の漢字|愿
「愿」は音読みで「ゲン」、訓読みで「つつし(む)」「すなお」と読み、つつしむ、かしこまる、すなお、真面目などを意味します。
中国語でも使われる漢字で、中国語の場合、現在では主に「願い」や「~したい」などを意味します。言語の違いによって表すものが異なりますが、どちらの意味もすてきな漢字です。
【心に響く漢字一文字】かっこいい漢字
文字の見栄えが良かったり、意味が立派だったりと、かっこいいイメージの漢字を紹介します。
かっこいい漢字|獲
「獲」は音読みで「カク」、訓読みで「え(る)」と読みます。「と(る)」と読むこともあります。
手に入れる、つかまえる、などを意味し、特に獲物を捕獲する、手中におさめるときに使われる漢字です。
漁師や猟師など獲物を捕らえる職業はかっこよく、憧れる方も多いでしょう。
努力をして手に入れるという意味の「獲得(かくとく)」にも使われている漢字であり、前向きなイメージがあります。
かっこいい漢字|綺
「綺」は音読みで「キ」、訓読みで「あや」「うつく(しい)」「いろ(う)」と読み、あや織りの絹、うつくしい、きらびやか、などを意味します。「綺麗(きれい)」という言葉にも使われているので、見たことがある方も多いでしょう。
奈良時代あたりでは「かむはた」「かんはた」とされており、ひも状の織物を表していたようです。
なお「綺羅星(きらぼし)」という言葉は、きらきらと輝くたくさんの星や、輝いている人、地位が高く立派な人がそろう様子を指します。
かっこいい漢字|燈・灯
「燈」は「灯」の旧字体です。「燈」「灯」は音読みで「トウ」「ドン」、訓読みで「ひ」「あかり」「ともしび」などと読みます。
火や明かり、ともしび(ともした火)という意味の他、世の闇を照らす仏の教えといった意味があります。
なお旧字である「燈」は現在、一般的には新聞や公的な文書では使用されませんが、「灯台(とうだい)」であれば「燈台」、「灯篭(とうろう)」であれば「燈篭」と表現することで、レトロな雰囲気に仕上がります。
かっこいい漢字|鳳
「鳳」は音読みで「ホウ」「ブウ」、訓読みで「おおとり」と読みます。
古代の中国で「徳のすぐれた天子(君主)の世に現れる」といわれている想像上の霊鳥である「おおとり」の雄のことを意味します。なお「おおとり」の雌は凰(おう)と言い、合わせて「鳳凰(ほうおう)」と言います。
また「鳳」は、天子に関することにも使われる漢字です。
【心に響く漢字一文字】シンプルで簡単な漢字
画数が少なく簡単で覚えやすい漢字にも、心に響く意味を持つものが多くあります。その一部を紹介します。
シンプルで簡単な漢字|大
「大」は音読みで「ダイ」「タイ」、訓読みで「おお(きい)」「おお(いに)」などと読みます。人の名前に使われている場合は「た」「ひろ」などと読むこともあります。
物事の大きさや多いこと、重要である、優れた、などを意味し、「大先生」や「大兄(たいけい)」など、名詞の前につけることで他人を敬う使い方もできます。
「大」はことわざ、四字熟語などさまざまな場面で使われ、画数が少なく作りはシンプルながら、多くの前向きな意味を持つ漢字です。
シンプルで簡単な漢字|仁
「仁」は音読みで「ジン」「ニ」「ニン」と読み、訓読みはありません。
こちらも画数が少なくシンプルな漢字ですが、思いやり、いつくしみ、人、儒教における最高の徳など、深い意味を持つ漢字です。
『論語』にある「仁に里るを美と為す。えらびて仁におらずば、いずくんぞ知たるを得ん」という孔子の言葉は、「『仁』を心に持つことは美しい。自ら『仁』を選び心掛けなければ、知がある人にはなれない」という、心の在りようを表しています。
「仁」という漢字を胸に、人を思いやる心を常に忘れないようにしましょう。
【心に響く漢字一文字】難しい漢字
画数が多く書くのが難しい、読み方や意味が想像しづらいなど、難しい漢字も数多く存在します。
ここからは、難しいけれど、心に響く漢字を紹介します。
難しい漢字|煌
「煌」は音読みで「コウ」、訓読みで「かがや(く)」「きら(めく)」「あき(らか)」と読みます。
きらめく、輝く、立派、あきらか、などの意味を持ち、上品できれいなイメージのある漢字です。
元々「皇」という字には、燭台(しょくだい)の上に火が光る様子から、輝くという意味がありました。しかし時代とともにこの意味が薄れ、「王」や「天子」のような意味だけで使われるようになりました。そして代わりに「火」と組み合わせて作られた文字が「煌」なのです。
難しい漢字|轟
「轟」は音読みで「ゴウ」、訓読みで「とどろ(く)」と読み、車・雷などの大きな音が鳴り響くこと、大いに、有名になることなどを意味します。
雷の低い音が鳴り響く様子を表したり、「その名を轟かせる(とどろかせる)」というように世間に名を広める様子を表したりします。
漢字を見ただけでは読み方を想像しづらい難読漢字ではありますが、「車」という漢字を三つ重ねており印象深い漢字のため、一度見たら忘れられないでしょう。
心に響く漢字一文字を見つけて、意味や成り立ちを調べてみよう
日本人にとって、漢字は日常生活のいたるところで目にする文字です。
今回ご紹介した漢字も、さまざまな場所で見掛けることがあるでしょう。意味や成り立ちを知ると、より心に感じるものがあるのではないでしょうか。
今回は紹介しきれなかった心に響く漢字一文字は他にもたくさんあるので、ぜひ探してみてください。