身近な人が病気やケガで手術を受けることになったとき、どのような言葉をかけるべきかわからないという方は多いでしょう。特に自分が手術を受けたことがない場合は、ふさわしい言葉が思い浮かばないものです。
本記事では、手術前にかける言葉の例文を家族、恋人・夫婦、ビジネス、子ども、友人の関係性別に紹介します。また、控えたいNGな言葉も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
手術前にかける言葉を選ぶ上でのポイント
まずは、手術前にかける言葉を選ぶ上で大切なポイントを解説します。
不安を和らげる言葉
手術前は誰しも不安で神経質になってしまいます。例えそれが成功率の高い手術だとしても、不安は拭えないものです。そんな相手の心情を踏まえ、手術前には不安を和らげる言葉をかけてあげましょう。
もちろん、完全に不安を取り除くことはできません。しかし、思いやりのある言葉や前向きで明るい言葉をかけられたりしたら、不安や心配な気持ちは多少和らぐはずです。
余計な心配をさせない言葉
手術で入院するときは仕事を休んだり、家事ができなかったりする日が続いてしまいます。このような状況になると、「迷惑をかけているのではないか」「治った頃には自分は必要なくなるのではないか」などと手術以外のことでも不安になり、ネガティブな思考に陥りがちです。
そのため、手術前には相手の心配事を聞いた上で、心配する必要はないということを具体的な言葉とともに伝えてあげましょう。余計な心配をさせないことで、安心して治療に専念できる環境を作ってあげることが大切です。
手術前にかける言葉の例文【家族編】
家族の誰かが手術を受けるときは、身近な存在ゆえ自分自身にも不安な気持ちがあり、どう言葉をかけたら良いか迷うでしょう。ここでは、両親や祖父母、義父母などの家族に対して手術前にかける言葉の例を紹介します。
父親や母親
親が手術を受けるのが不安でネガティブになっていたら
「手術で病気を治してもらったら、美味しいもの食べようね」
「早く治して帰ろうね。待っているからね」
などの言葉はいかがでしょう。終わったあとに楽しみが待っていると思うと、つらいことも頑張ろう・耐えようなどと思える気持ちが湧いてくるものです。また、大切な息子や娘からの「待っている」という言葉も心強く感じ、前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。
祖父母
祖父母の場合は高齢ゆえ、手術に対する不安もさらに大きくなるものです。先述したような、終わったあとに食事など楽しいことを約束する言葉や、待っていることを伝える言葉は祖父母にも効果的でしょう。そのほかには
「目が覚めるまでずっとそばにいるからね」
「治ったらまた美味しいご飯を作ってね。約束だよ」
などの言葉もおすすめです。「ずっとそばにいる」という言葉は相手に独りじゃないという安心感を与えます。また、何かしてもらうことを約束するような言葉もおすすめ。祖父母にとって「孫との約束」は特別なものです。孫との大事な約束を守るためにも頑張ろうという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
義父母
義父母の場合は血のつながりがないため、言葉選びも難しく感じるかもしれません。普段どの程度の距離感で接しているのかによっても選ぶべき言葉は変わりますが、本当の子どものようにかわいがってもらっているなら、先述した両親や祖父母と同じような言葉をかけても良いでしょう。
一方、そこまで親しくないのであれば下記のような言葉はいかがでしょうか。
「みんなで乗り越えましょうね」
「元気な姿を見られる日を、家族みんなで待っていますよ」
ポイントは「みんなで」という言葉を添えることです。そこまで親しくない相手から寄り添いの言葉をかけられると、場合によっては嘘くさく感じたり大げさに思えたりしますが、「みんなで」という言い方であれば、気にならないでしょう。
また、血がつながっていない方が話しやすいこともあるので、「心配なことがあったら何でも言ってくださいね」と伝えておくのもおすすめです。
手術前にかける言葉の例文【恋人・夫婦編】
恋人や夫婦は血のつながりはないものの大切な存在です。そんな大切な相手にはどのような言葉をかけたら良いのでしょうか。ここでは、相手が恋人や夫婦の場合の例を紹介します。
彼氏や彼女
彼氏や彼女など恋人にかけてあげる言葉は、相手の気持ちを少しでも楽にしてあげたい、何かしてあげたい、という素直な気持ちを表現して
「あなたと同じくらい私も心配だけど、私がついてるよ」
「私が変わってあげたいくらいだけど、あなたなら乗り越えられると信じてる」
など、気持ちが1つになるような言葉をかけてあげるのがおすすめです。そのほか
「治ったらどこに行く?」
「退院したら旅行しないとね」
などの言葉も良いでしょう。病気やケガが治癒したあとの姿を想像して気分が晴れるかもしれません。
妻や夫
妻や夫にかける言葉は、労いの言葉や相手の心配を察してフォローするような言葉が良いでしょう。例えば
「これまで忙しかったのだから、手術が終わったらのんびりしよう」
「家のことは心配しなくて良いから、今は治療に専念してしっかり治そう」
などは、共に家を守ってきた者同士だからこそかけられる言葉です。このような気持ちを伝えることで、相手の不安や心配も和らぐでしょう。
手術前にかける言葉の例文【ビジネス編】
相手が職場の上司や同僚の場合、家族とは違い仕事への不安を取り除く言葉をかけてあげましょう。ここでは、上司・同僚の相手別に例を紹介します。
上司
上司は自身の担当している仕事はもちろんのこと、部下のことも心配に思うはずです。その不安や心配を取り除くためにも、上司に対しては
「仕事はみんなで力を合わせて頑張るので、ゆっくりご養生ください」
「仕事はわたしたちにお任せください」
などの言葉をかけるのはいかがでしょう。部下からこのような言葉をかけられたら、きっと頼もしく感じるはずです。
同僚
同僚には仕事面のサポートを約束してあげるような言葉がおすすめです。例えば
「仕事のことは心配しないで。手伝えることがあったら何でも言ってね」
「〇〇の件は私が責任もって進めるから、あまり心配しないでね」
などの言葉をかけてあげると、安心して治療に専念できるのではないでしょうか。
手術前にかける言葉の例文【子ども編】
自身の子どもが手術を受けることになったら非常に心が痛むものです。しかし、悲しみに暮れている場合ではなく、親として子どもの不安を取り除く言葉をかけてあげなければなりません。 ある程度の年齢であれば大人と同じ言葉でも良いですが、幼い場合はまた違った言葉での声がけが必要です。ここでは、子どもの成長段階別に例を紹介します。
5歳未満の子ども
5歳未満の子どもには、「悪いものがお腹にいるから退治してもらおうね」のように、手術の目的や必要性について簡単な言葉で説明し、「終わったらパパとママに会えるからね」と家族にまた会えることを伝えてみましょう。
5歳~8歳の子ども
5歳以上になると、自分の状況を理解できるようになってきます。そのため、「これから病気を治してもらうから安心してね」などと、手術する意味を伝えた上で安心させるような言葉をかけるとよいでしょう。
8歳~10歳の子ども
8歳~10歳の場合は理解力がある分、不安を感じやすくなります。曖昧に伝えてしまうと余計に不安が増してしまうので、病気や治療、手術についてきちんと説明し、「一緒に戦おう」と声がけすると良いでしょう。一緒に戦うという姿勢を見せることで、きっと安心できるはずです。
手術前にかける言葉の例文【友人編】
友人から同情されると、「なぜ自分だけが」という悲観的な気持ちが生まれてしまう人もいます。それを避けるためにも友人には
「会えなくて寂しいよ、待っているから早く治してね」
「退院したら遊ぼうね」
などの素直な気持ちを伝える言葉をかけると良いでしょう。仲が良いからこそ言えるような、良い意味で気を使っていないフランクな言葉の方が、相手の不安も和らぐはずです。
手術前にかけるのは控えたいNGな言葉
手術前は非常にナーバスになっていて傷つきやすいため、言葉選びに気をつけなくてはなりません。ここでは、控えたいNGな言葉を紹介します。
すでに頑張っているので頑張ってとは言わない
お見舞いの際は、頑張ってほしい気持ちや励ましの意味で「頑張って」という言葉を使いがちです。しかし、病気やケガと戦っている人は、すでに精一杯頑張っています。それなのに「頑張って」という言葉をかけられると、「まだ頑張りが足りないのか」とマイナス思考になってしまうこともあるのです。
もちろん言った方に悪意がないことは本人もわかっているはずですが、それでも傷ついてしまう可能性があるので、なるべく「頑張って」という言葉は使わない方が良いでしょう
絶対大丈夫などの言葉を安易に言わない
相手を安心させたいという思いで、「絶対大丈夫」と声をかけたくなる人も多いでしょう。しかしナーバスになっているときに言われると、「医者でもないのになぜ絶対などと言い切れるのか」「自分が一番自分の状態を知っているのに、なぜあなたが大丈夫と言い切れるのか」などと不快な気分になることがあります。
不快な思いをさせないためにも、相手の病状を知っている・いないに関わらず、安易に「絶対に大丈夫」と言うのはやめましょう。
病状や治療法を問いただすようなことはしない
病名や症状・治療法についてこちらから詳しく聞き出そうとする人もいますが、このような行為は相手を不快な気持ちにさせてしまう恐れがあります。また、何気ない一言で相手の不安を助長させてしまう恐れもあります。向こうから話したがっている場合は別ですが、そうでない限り病状や治療法を問いただすようなことはやめましょう。
手術前にかける言葉は慎重に選ぼう
手術前にかける言葉の例を相手との関係性別に紹介してきました。
手術前は非常にデリケートな状態です。相手に不快な思いをさせたり、余計な不安を与えたりしないためにも、言葉選びは慎重に行いましょう。
相手との関係性に合った言葉を選び、ぜひ相手の不安が和らぐような言葉をかけてあげてください。