アイドルグループ・乃木坂46の中心メンバーとして活動する傍ら、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』(22)や、テレビ東京系ドラマ『弁護士ソドム』などに出演し、女優としても頭角を現している山下美月。現在出演中のテレビ東京系ドラマ『さらば、佳き日』(毎週月曜23:06~)では、鈴木仁演じる兄・桂一に恋心を寄せる妹・晃という難役に挑戦している。
密かに不安を抱えながら、「勇気を持って演じないといけない」と決心して臨んだ同作。その不安を“安心”に変えることできた裏側には、共演者やスタッフの存在があったという。山下は、そこをいかにして乗り越え、「安心」へと転化させることができたのか。そして、女優として経験を積んでいく中で、自然に変化していったという演技への向き合い方とは。
■出演してきた作品との違いに不安も「勇気を持って演じないといけない」
――現在放送中のテレビ東京系ドラマ『さらば、佳き日』で鈴木仁さんとW主演を務められています。まずは、今作の印象からお聞かせください。
お話しをいただいてから、原作全8巻に目を通させていただきました。私自身、ひとりっ子なので兄がいるという感覚は持ち合わせていないのですが、桂一と晃の間に生まれている絆や関係性が繊細に、そして淡く美しく描かれている作品だと感じました。“これを実写化するのは大変なことなんじゃないか……”と内心思ったのですが、今は安心してやらせていただいています。
――出演発表時のコメントでも「強さと脆さに胸を打たれて出演を決心した」とおっしゃっていました。
『さらば、佳き日』は、今まで自分が出演させていただいた作品とは違ったテーマの作品。“桂一と晃の兄妹の愛”をどのように感じてもらえるか、放送されないと想像がつかなかったですし、不安もありました。きっと観る人によってそれぞれの感性で受け取ってくださるんだろうなと。なので、どれだけ丁寧に演じられるかということと、私自身も勇気を持って演じないといけないなと。
――実際に演じてみて、そういった不安は解消されましたか?
キャストの皆さんをはじめ、監督、スタッフさんもこの作品に対して熱心に考えてくださっていて、私1人では生み出せないような感情も、皆さんのいろんな角度からの意見を聞いて表現できています。みんなで1つのシーンを作っている感覚があるので、これだけ丁寧に作品作りをしてくださるチームなら……と安心して撮影に臨めています。
■晃との共通点「“心地の良い時間・関係性”は何よりも大事にしたい」
――今回演じている晃の印象をお聞かせください。
晃は、世話好きでしっかり者。家事も得意で一見、大人びた雰囲気の女の子ではあるんですけど、原作を読み進めていくうちに、実は良い意味でピュアで子供な部分もあるんだなと感じました。自分の芯を曲げずにブレない部分とかはすごく強くてたくましいけど、ガラスのハートの持ち主でかわいらしい女の子です。
――兄である桂一に思いを寄せる晃ですが、山下さんは、晃が桂一のどんなところに惹かれていると思いますか?
クランクインする前から、ずっと考えているんですが、原作でも明確に好きになったタイミングは描かれていないんです。監督も「わからなくていい。わからないという感情を大切に演じてほしい」と声をかけてくださったので、きっと物心がつく前から、桂一がいて、必然的に好きになったんだろうなと思います。
晃がたどってきた成長の中で揺れ動く瞬間というのが、桂一といる時間だったのかなと思いますし、そういう時間が晃の軸になっている気がします。なので、好きになったというよりは、この人がいないと生きていけないという“強い気持ち”なんだと思います。
――晃に共感する部分はありますか?
友達でも、ずっと一緒にいるからこその“心地の良い時間・関係性”は何よりも大事にしたいと思いますし、それが家族だと、よりかけがえのないものだと思うので、その大切さは私もすごくわかります。
■同学年の役者4人がそろう現場に刺激「もっとがんばらなきゃ」
――兄・桂一を演じる鈴木仁さんの印象はいかがですか?
実年齢は同い年ですし、兄妹なので最初からどれだけ壁を作らずにお芝居できるかということが重要だと思っていました。実際にお会いしたら、とても優しいし、お芝居に対しても真剣に取り組んでいらっしゃる方です。
――鈴木さんをはじめ、共演者の皆さんとのエピソードがあればお聞かせください。
私を含め鈴木仁さん、伊藤あさひさん、加藤小夏さんは全員が同い年という24歳のキャストがそろったので、4人でいると学校の休み時間みたいな空気です。きょうも朝から鈴木さんと撮影をしてきたのですが、鈴木さんが前の取材会で私の印象を聞かれたと言っていて、「私が鈴木さんの印象を聞かれたらなんて答えたらいい?」と聞いたら、「紳士的な人ですって言って」と言われたので、ここで言っておきます(笑)。
――鈴木さんも、山下さんに「素敵な女性と言って」と言われたとおっしゃっていました(笑)。同学年の役者さんがそろうと現場も楽しそうですね。
同い年の子って、乃木坂46でも少ないのですごく嬉しいです。私は趣味という趣味がないのですが、みんなそれぞれカメラやスポーツなど多趣味でいいな~と思いながら話しています。私もこれからもっとがんばらなきゃいけない時期なので、また別の作品でご一緒できたら嬉しいです。