第54期新人王戦(主催:しんぶん赤旗)は準々決勝が進行中。7月10日(月)に関西将棋会館で行われた高田明浩四段-片山史龍三段戦は、高田四段が千日手指し直しの熱戦を乗り切って101手で勝利。一足先にベスト4進出を決め、準決勝で斎藤明日斗五段-藤本渚四段戦の勝者と戦うことが決まりました。

18歳三段の勢い続くか

片山三段は東京都出身の18歳で居飛車党。今期の加古川青流戦で小山怜央四段や岡部怜央四段を破る快進撃を継続しています。本棋戦では黒田尭之五段や山本博志五段といった実力者を破っての登場となりました。振り駒が行われた本局、先手となった片山三段は角換わり腰掛け銀の定跡形に誘導しますが、序盤に誤算があり千日手を余儀なくされます。

昼食休憩をはさんで開始された指し直し局は先手の高田四段が相掛かりに誘導して幕を開けました。互いに右銀を玉の囲いに活用し、やがて局面は持久戦の先後同型に落ち着きます。手番を得た後手の片山三段は角交換で局面を打開。一時的に手損にはなりますが、後手だけが左銀を中央に活用できるのがその主張です。

高田四段が貫録示す

手番を得た先手の高田四段が陣形発展に舵を取って長い中盤戦が続きます。この直後、玉を力強く自陣三段目に上がったのは、後手が角を手放している点に注目して押さえ込みを目指したもの。この盤面中央での小競り合いを感想戦で振り返った高田四段は、「形勢はわからないが後手が最善手を指すのが難しい展開と思った」と評しました。

互角の時間が続くなか、後手の片山三段にひとつの疑問手が出ます。5筋での銀交換で積極的に局面の打開を図ったのがそれで、先手に銀を渡したことで自玉が危険になったのが最後まで響きました。終局時刻は16時9分、優位に立ってからは緩みない指し回しで敵玉を寄せきった高田四段が、デビュー3年目にして自身初となるベスト4進出を決めました。次戦で決勝進出をかけて斎藤明日斗五段-藤本渚四段戦の勝者と戦います。

  • 今年度14勝2敗と好調を維持している高田四段(右)(写真は第35期竜王戦のもの 撮影:相崎修司)

    今年度14勝2敗と好調を維持している高田四段(右)(写真は第35期竜王戦のもの 撮影:相崎修司)

水留 啓(将棋情報局)

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