お笑いコンビのダブルヒガシが9日、ABCテレビで生放送・ABEMAで生配信されたお笑い賞レース『第44回ABCお笑いグランプリ』の決勝で、チャンピオンに輝いた。

  • ダブルヒガシ(左から大東翔生、東良介) (C)ABCテレビ

ダウンタウン、ナインティナイン、中川家、ますだおかだ、フットボールアワー、千鳥、かまいたち、霜降り明星など、現代のお笑い界を代表する面々が頂に立ってきた、お笑い芸人の登竜門的コンテストも今年で44回目。現在は出場資格が「デビュー10年以内」「日本全国のプロのお笑い芸人」となっており、漫才、コント、ピン芸など、「面白ければ何でもあり」の熱き“お笑い異種格闘技戦”が展開されている。

今年は575組のエントリーから勝ち進んだ12組が決勝で火花を散らし、1stラウンドで、Aブロックのこたけ正義感、サスペンダーズ、天才ピアニストとの戦いを制した素敵じゃないか、Bブロックのダウ90000、友田オレ、ハイツ友の会との戦いを制した令和ロマン、Cブロックのオフローズ、ストレッチーズ、ヨネダ2000の戦いを制したダブルヒガシがファイナルステージにコマを進めた。

ファイナルステージでは、3組が漫才を披露。審査の結果、令和ロマンとダブルヒガシが671点という大会史上初の同点に。そこで大会規定に基づき、ファーストステージの得点が高かったダブルヒガシが第44代のチャンピオンに輝いた。ダブルヒガシには、トロフィーと優勝賞金100万円のほか、副賞が贈られた。

ダブルヒガシは、大阪府大阪市出身で高校の同級生である大東翔生と東良介が2014年4月に結成した、現在30歳同士のコンビ。今大会は今年がラストイヤーのため、優勝の感慨もひとしお。「ほんまにうれしいですね。ABCをずっと獲りたくて。コントもあるし、ピン芸もあるし、漫才もあるなかで、若手で一番を獲れたのがうれしいです」と東が歓喜の声を上げれば、大東も「全てが10年で区切られたりする中で、間に合ったという。ABCもYTVも獲れたというのは、ほんまに良かったです」と喜びを語った。

そんな2人は今回、優勝する自信があったのだろうか。大東が「優勝する自信は正直、五分やったんですけど、決勝には確実に行くと思ってました。優勝は運もあるんでね。でも、2本目をネタ合わせしながら仕上げていくにあたって、5割がドンドン6割、7割に上がっていって。ただ、決勝の舞台に立つことは分かってたというか自信があったので、自分が思ってることに対する答え合わせができて良かったです」。片や東は「ファーストステージを勝てれば優勝できるかな、という感じの2本目の仕上がりでしたね。ただ、どこのコンビが上がってくるかで変わってくるんで。でも、信じて良かったです」とコメント。

決勝戦で重要なポイントとなるのが、ネタ選び。大東は「ネタは基本的に僕が選ぶんですね。1本目は、早い段階から決まってて。2本目をどうするか、みたいな」と手の内を明かす。しかし「1本目のネタは、自信があったというよりは、ABCのコンクールでやりたかったっていうのが強いかもしれないですね。何年か前もやろうとして、悩んだんですけどやめて。そこから、やらなくなったんですよ。で、ある日、もう一回やってみたら『やっぱりエエなぁ』みたいになって。良いネタやからと今年に持ってきたんですよ」と東。大東曰く、「前は、ビビッてもうたんですよ。(キャッチセールスという)テーマがテーマなだけに。今年の最終予選も、あのネタをしてるんですけど、ちょっとだけ倫理的にどうなんだという懸念点はありました。ギリまで東はビビってましたけど」と、ネタ選びの難しさを語った。

そんな彼らが、ネタを作るうえで重きを置いていることとは。大東が「こればっかりは、ほんとに答えのない旅でして……。特に僕らって、ネタにあんまりシステムとかないんですよ。ダブルボケをやったりとかもありますけど、作ることにおいての大事な部分は、楽しんでネタ合わせをするというのを意識してますかね。ネタ合わせの段階で楽しくないとあまり良くならない」と言えば、東は「全部、相方にまかせてるんで、大東の持ってきたものは、ほぼほぼOKっていう感じですね。こいつの持ってきたチケットで旅に出るという」と、漫才のネタ作りを互いに“旅”に例えてみせた。

ファイナルステージは2組のコンビによる、史上初の同点となった。「いやぁもう、どうなんねんって感じ。ルールを知らなかったんで、同点やった場合とかのことも考えてないし。負けたらどうしよう、勝ったらどうしようとかしか考えてなかったんで、パニックになりましたね」と東が笑顔で振り返れば、大東は「例えば審査委員長が最後に決めるとかなら、審査委員長は誰やと。リンゴ姉さんか? じゃ、リンゴ姉さんは令和ロマンの時に、メチャクチャ弾けるもぎたて笑顔で笑ってたし」と、その瞬間の複雑な心境を打ち明けて笑わせた。

さらに、優勝賞金の使い道を尋ねてみると東は「オカンに電動自転車を買ったり、オヤジはちょっとハゲてるので育毛剤とか買ったり。何か家族に還元したいというのと、お世話になってる方々にちょっと何かができたらいいかなと思います」と答えると、大東は「僕は明後日、引っ越しですから、ちょっと家電のグレードも上げていこうかなと思います。それと妹が最近、3人目の子どもを産みましたので、パパ替わりに何でもしてあげようかな」と語った。また、2人は高校の同級生ということで、東が「思い出の公園があるんですけど、そこに遊具を建てたり、貢献できたらいいですね」と提案すれば、大東も「平野西公園ね。それはオモロイな」と大乗り気。しかし「ちっちゃい俺らの銅像を建てるとか」と東が振れば、大東は「いらん。汚されて終わりや」と一蹴。果たして、2人の思い出の公園に、銅像は建つのだろうか。