帝国データバンクは7月7日、「老舗企業」の倒産発生状況に関する調査結果を発表した。集計期間は1月~6月30日、集計対象は負債1,000万円以上法的整理による倒産。
2023年1~6月に発生した業歴100年以上の「老舗企業」の倒産は計38件。前年同期(33件)と比べ1割以上増加したほか、1~6月としては2019年(58件)以来、4年ぶりに前年を超えた。なお、同調査では「倒産する前に自ら休廃業を決断する場合もあり、実際に市場から退出した老舗企業の数はさらに多いとみられる」と推測している。
業種別にみた場合、食品関連を中心とした「製造業」が最も多く28.9%。一方、食品スーパーが多い「小売業」は26.3%、宿泊業を含む「サービス業」は10.5%など、「B to C産業」が約4割を占め、3年ぶりの高水準を記録した。コロナ禍以降、「B to C産業」における老舗企業の倒産は減少したが、2021年を底として再び増加傾向にあるという。
同調査では「長年の経験に裏打ちされた有形・無形の教訓や、経営資源を蓄積している老舗企業の存在は、雇用確保の面からも地域経済の担い手として重要だ。ただ、近年は少子高齢化による国内市場の低迷に加え、新興・海外企業の参入など、事業環境は目まぐるしく変化している。『老舗の看板』を有するだけでは生き残りが難しい局面が続く」と分析している。