農家を悩ます雑草”オヒシバ”とは?
オヒシバは、日本在来のイネ科オヒシバ属の一年生植物で、日本国内ではほぼ全国に分布し、特に暖かいエリアで生育しています。
また、畑以外に道端でもよく見られ、漢字で「雄日芝」と表記されるように日の当たるところに多く生育している点が特徴です。
さらに、「オイジワ」や「チカラグサ」とも呼ばれています。オヒシバは、日本在来の植物ですが日本以外の国でも決して珍しい植物ではありません。暖かかったり、熱帯に属していたりする地域に広く分布している点が特徴です。
見た目と活動期
雑草としては太めで、長い葉を持つのがオヒシバの特徴の一つです。平たい形をした穂が、1つのオヒシバにつき2〜6本程度放射状に生えています。
草丈は、低いもので15cm程度、高いものでも60cm程度と穂の数と同様に個体差はあるものの、そこまで背は高くはありません。
多くの雑草と比較すると、葉や茎、穂は硬質で頑丈である点も特徴的です。オヒシバは8〜10月が開花期ですが生育期間は4〜10月となっており、暖かい時期は常に成長を続けます。
強い生命力とひげ根が特徴
オヒシバの最大の特徴は強い生命力です。人や車が多く通る場所にも生育し、太く硬い茎を持つため、踏みつけられても成長に大きな影響が見られません。
また、グラウンドやアスファルトのある場所でも見られるなど基本的に生育場所は問いません。日の当たる暖かい場所で育つ植物ではあるものの、耐暑性のほか、耐湿性や耐乾性、耐寒性も高いのが特徴です。
更に、オヒシバは地中にひげ根を伸ばし成長します。土壌を強くつかみながら根を張っていくため、簡単に抜き取れない点も特徴の一つです。除草剤の主成分として知られるグリホサートに対して抵抗性を持つオヒシバも国内外で確認されています。
生育すると種子は数千個もつくられ飛散。放置すると、周囲にオヒシバが広く生育していきます。こうした強い生命力を持っているため、早めの除草が必要です。
農作物への影響
オヒシバが成長し蔓延すると、農作物に悪影響を及ぼしかねません。
例えば、雑草の生育が過剰となり農作物よりも優勢となれば、肥料成分が奪われ、農作物の生育そのものが悪くなります。
また、イネ科雑草を好む虫がオヒシバを経由し畑などに入り込み、農作物にも付きはじめると品質を落とす可能性も出てきます。
オヒシバの除草対策は?
農作物へ悪影響を与えかねないオヒシバをはじめとした生命力の強い雑草に対しては、早めの処理が不可欠です。ここでは、主な除草対策を紹介します。
引き抜く・刈り取る
オヒシバは、あまり背は高くありませんが、一目で認識することが可能です。そのため、非常に労力はかかりますが、目についたオヒシバを都度引き抜いたり刈り取っていけば除草できます。
しかし、この方法は根本的な解決策とはなりません。
なぜなら、オヒシバの特徴の一つとなる、ひげ根を完全に除去できないからです。根がそのままになっているとその後再生してしまうので、これらの方法は労力がかかる割には表面上の対策にしかならないでしょう。
【簡単】除草剤の散布
根本的な解決策となる除草方法は、除草剤の散布です。オヒシバはイネ科の植物のため、イネ科に効果を発揮する除草剤を使うことで効率的に除草ができます。
刈り取ったり引き抜いたりする方法と比較して手間がかからず、高い除草効果が期待できる点が大きなメリットです。
ただし、除草剤の選択は慎重に行わなければなりません。
なぜなら、主要な除草剤成分に対して抵抗性を持つオヒシバも存在しているからです。また、他の農作物にも悪影響を与えない安全性の高い除草剤を選ぶことも求められます。
さらに可能であれば、根までしっかり枯らし再生しにくい除草剤を選びましょう。
おすすめのオヒシバ除草剤は「ナブ乳剤」
オヒシバの除草に向いているのは、日本曹達株式会社が発明・開発した「ナブ乳剤」です。ここでは、オヒシバの除草剤として最適な「ナブ乳剤」の特長を紹介します。
高い殺草効果
ナブ乳剤の最大の特長は、茎葉処理により高い殺草効果を発揮する点です。
特に、オヒシバに代表されるイネ科の雑草に優れた効果が期待できます。有効成分であるセトキシジムが、イネ科雑草に対して脂肪酸の生合成を阻害し枯殺することで、除草効果を発揮します。根まで枯らして再生能力も奪うため、何度も除草作業を行う必要がありません。
オヒシバのような一年生のイネ科雑草のほか、非農耕地での散布ではススキやチガヤなどの多年生イネ科雑草も適用雑草となっています。
グリホサート抵抗性雑草にも効果を発揮
国内でも確認されているグリホサートに抵抗性を持つオヒシバにも、ナブ乳剤は高い効果を発揮します。
日本曹達株式会社による社内試験(静岡県)においても、グリホサートを有効成分とする除草剤と比べて、ナブ乳剤が優位な効果を発揮することを確認済みです。
また、オヒシバだけではなく、同じくグリホサートに抵抗性を持つ個体が確認されているネズミムギ(イタリアンライグラス)の除草にも活用できます。
非選択性除草剤を使用してもあまり効果が見られなかった場合は、抵抗性を持っている可能性があります。そうしたケースも考慮し、オヒシバなどに対してはナブ乳剤を試す価値があるでしょう。
抵抗性の発達を防ぐためにもオヒシバ、ネズミムギ等のイネ科雑草が主体の場合はナブ乳剤を併用すると効果的です。
登録作物は50種類以上
ナブ乳剤の農薬登録作物数は50種類以上です。そのため、多くの作物で使用することが可能です。
登録作物には、例えば大豆やえんどう豆、あずき、枝豆などの豆類、馬鈴薯やさつまいも、いちご、人参、トマト、セロリ、かぼちゃなどの野菜があります。登録のある作物には直接かかっても影響はありません。
優れた浸透移行性と安全性
優れた浸透移行性を有しているため、ナブ乳剤が乾いたあとであれば雨が降っても効果が弱まることはほとんどなく、まき直しの必要はありません。
また、ナブ乳剤は散布後、土壌で速やかに分解されます。散布時・散布後にかかわらず、薬害のリスクが少ない点もナブ乳剤を使用する大きなメリットです。
ナブ乳剤の使い方は?
使い方のポイントは散布のタイミングにあります。
一般的には、ナブ乳剤は土壌処理では効果を示さないので、雑草が生えそろった時期にまきますが、雑草が大きく育ちすぎる前の散布が重要です。
また、ナブ乳剤を公園、庭園等に生育しているイネ科雑草に対して使用する場合は、150〜400mLのナブ乳剤を100〜200Lの水で薄め、雑草の茎や葉に散布しましょう。
その際、適切な散布薬量と水量は、適用作物や雑草の種類、雑草の葉齢によって異なります。対象となるイネ科雑草や雑草の生育ステージによっても使用薬量が異なるので、使用前に製品ラベルを必ず確認してください。
抵抗性雑草に対するナブ乳剤の散布時期と散布方法は?
非選択性除草剤を使用してもイネ科雑草が残っている場合には、できるかぎり早いタイミングでナブ乳剤を散布します。
特に、種子の形成前の散布を心がけましょう。放置すると種子が拡散し、雑草の生育範囲が拡大してしまうため注意が必要です。
3〜5葉期の散布が効果的
ナブ乳剤の散布時期として最適なのは、オヒシバの3〜5葉期です。発見した際、すでに穂が出ている場合は、散布後数日してから刈り取り、処分しましょう。このような処理方法でも再生はほとんど見られないため、農作物などへの影響を最小限に抑えられます。
農作物の上から散布も可能
農作物の上から全面的に散布する方法でも作物に悪影響はありません。ナブ乳剤は、農薬登録のある農作物に直接かかっても影響がないことが確認されているため、しっかりと散布することが大切です。
しかし、近くでイネ、麦類、トウモロコシ等のイネ科作物を栽培している場合にはドリフト(飛散)による薬害が発生することがありますので、十分に注意して使用してください。
ナブ乳剤を使用する際の注意点は?
ナブ乳剤は、イネ科の雑草に非常に高い効果を示す除草剤です。しかし、使用時にはいくつか注意点もあります。より高い効果を得て農作物に悪影響を与えないためにも、以下の注意点を守りながら使用しましょう。
雑草生育期に散布する
ナブ乳剤が高い効果を発揮するのは、生育期のイネ科雑草に対しての散布です。そのため、出穂期以降など雑草の生育が停止している時期の散布は、生育期での散布と比べて効果が劣ります。また、冬の低温期では、効果発現に時間がかかります。
上述した通り、オヒシバの生育期間は4月頃から始まり、8〜10月頃が出穂期となるため、ある程度生育した4月以降の適切なタイミングでナブ乳剤を使用しましょう。
イネ科の農作物には使用しない
ナブ乳剤は、イネ科の植物に選択的に作用する除草剤です。イネ科の場合、雑草と農作物の区別ができず、どちらにも影響を与えてしまいます。
そのため、イネ科の農作物には絶対に使用せず、周辺にイネ科の農作物がある場合にはかからないように十分に注意して散布しなければいけません。
オヒシバの除草には「ナブ乳剤」が最適
非常に生命力の強いオヒシバなどのイネ科の雑草は、放置したままだと農作物に悪影響を及ぼしかねません。引き抜いたり刈り取ったりする方法もありますが、より省力的に高い効果を求めているのであれば除草剤の使用が最適です。
イネ科の雑草はもちろん、グリホサート抵抗性のオヒシバにも「ナブ乳剤」は効果的です。登録作物が多く、選択性に優れ使い勝手もよいため、除草剤に慣れていない人でも安心して使え、多くの農作物に使用できる点が魅力です。
オヒシバにお困りの方は、ぜひナブ乳剤をご利用してみてはいかがでしょうか。
日本曹達株式会社
ナブ乳剤(除草剤)
オヒシバにも効果あり