日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’23』(毎週日曜24:55~)では、難聴の人が働きやすいリンゴ飴専門店を取材した『リンゴ飴のこえ~難聴って、なんなん?~』(福岡放送制作)を、きょう9日に放送する。

  • リンゴ飴づくりを教える梶本真佑さん(左)と田中奏汰さん

昨年4月、福岡市内にオープンした「あっぷりてぃ」。スタッフとして働くのは、耳に補聴器をつけた難聴の人たちだ。店内には音声認識ソフトが設置され、注文は指さしで行う。この店は全国でも珍しい難聴の人が働きやすい店。“何度でも失敗していい”をテーマに、聴覚障害のある人たちが一から店づくりを行った。

スタッフの田中奏汰さんは高校卒業後、IT関連の仕事に就職したが、マスク生活でコミュニケーションの壁を感じ、退職。1年間、ほぼ外に出ることができなかった。そんな田中さんを再び外の世界に連れ出してくれたのが「あっぷりてぃ」。健聴者と難聴者が互いに理解し合う社会を目指して、彼は新たな一歩を踏み出す。

「あっぷりてぃ」を立ち上げたのは梶本真佑さん。生まれつき難聴の妻と娘がいる。「娘が社会に出て行くときに、難聴への理解が広がってほしい」という思いから、「あっぷりてぃ」を一民間企業として成功させたいと考えている。音声を文字化するシステムや、文字を映し出すプロジェクターなど、環境を整えるため梶本さんは800万円の借り入れを申し込む。「いいことをしているから売れなくていいというわけではない。障害があっても勝負できることを証明したい」と、父として、経営者として、娘の未来を変える挑戦だ。

今年2月、「あっぷりてぃ」を訪れたのは、福岡県聴覚特別支援学校に通う高校3年の男子生徒。「あっぷりてぃ」で働きたいと採用面接に臨む。「あっぷりてぃ」にとって初めての新卒採用。彼の成長が難聴の人たちの新たな可能性へとつながる。

福岡で広がる難聴理解の輪。その取り組みを、声優・早見沙織のナレーションで追っていく。