2021年に公開され、最終興行収入45億円を記録した『東京リベンジャーズ』(21年)の続編、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(公開中)が2作連続で公開されている。
和久井健氏による人気漫画『東京卍リベンジャーズ』を実写映画化した前作は、どん底人生真っ只中のダメフリーター・タケミチ(北村匠海)が、何者かに背中を押され線路に転落した瞬間、不良学生だった10年前にタイムスリップし、人生唯一の彼女・ヒナタ(今田美桜)を助けるために、ヒナタの弟・ナオト(杉野遥亮)の協力で過去と未来を行き来しながら、東京卍曾に入り込み、自分の人生のリベンジに挑む姿を描いている。
そして『血のハロウィン編』では、凶悪化した東京卍會によってまたしてもヒナタが殺され、未来を変えようと過去に戻ったタケミチの奮闘を描く。ヒナタを救う鍵は“東卍結成メンバーを引き裂く過去の事件”と“東卍崩壊の危機となるかつての親友同士の戦い”にあることを知るタケミチ。マイキーの兄・真一郎の死により壊れてしまった仲間の絆は修復することなく、壮絶な決戦がついに始まった。タケミチは最悪の結末を止め、ヒナタと仲間の未来を救えるのか。今作では北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、村上虹郎、高杉真宙、間宮祥太朗、吉沢亮と旬の俳優陣がそろった。
今回は主役のタケミチを演じた北村匠海にインタビュー。主役として作品の中心にいながら、「もう1人のプロデューサー」とも称される北村は、『2』をやりたいと切望。一方で、前後編の公開となったことに不安もあったという。作品の裏側で行われていた熱いやりとりについて話を聞いた。
■どうしても『2』までやりたかった
――皆さんにお話を伺っていると、特に前編からの方は「前作で終わってもいい」くらいの気持ちを持ってたり、続編にプレッシャーがあったりというところでしたが、北村さんはいかがでしたか?
僕は『1』を撮影している時に、「『2』まではやる」という気持ちがあったんです。『1』だけで終わらせてしまうと、まだまだタケミチを演じ切れていないのかなと。もちろん『1』の中ではやりきれているんですけど、『東京リベンジャーズ』という原作を含めて見るとまだやりたいという気持ちがあって、漫画でも成長して行く姿を読んでいたので、どうしても『2』までやりたかった。
プレッシャーはもちろんありました。『2』までやりたいという思いを、監督さんとプロデューサーさんと話しながら、あとはみんなが「じゃあ、やろうぜ」と言ってくれるのを待っていました。
――実際に続編ができて、前編もヒット中で後編を迎えられることについてはいかがですか?
うれしさはあります。やっぱり僕らはせっかくやるなら『1』を超えようという思いで作ったんですけど、僕がもし映画を観る立場だったら、前編後編と分かれることに不安があったんです。前編があまりにも「いや、これからだろう」というところで終わるじゃないですか? 僕は試写で前編を観た時に、自分が映画ファンだとしたらこれを許せるのかどうかという不安があって。
でも別の日に観た裕貴くんが「いや、これは『-決戦-』観るでしょ」「前編でこんな面白いのかと思った」と連絡をくれて。僕はその一言だけで「早くみんなに『-決戦-』を観てもらいたい」「やっと自信を持てたな」と思えました。『-決戦-』を観終わって初めてこの作品が完成するので、そこまで終わって初めて感慨が湧いてくるのかもしれません。
――山田さんが言ってくれるというのが熱いですね。
そうなんです。あれだけキャリアがあって、ドラケンとしてこの作品を支えてくれた裕貴くんがそう言ってくれるのは、タケミチにとっても自分にとっても大きかったです。僕が『2』をやるにあたっての不安は前編と後編に分かれる部分にあったので、それを払拭してくれたのが裕貴くんでした。
――後編を観たらまた前編を観たくなるんじゃないかとも思いました。
『-決戦-』のための『-運命-』で、いい意味でも前編後編をあわせて一つの作品の面白さを持っています。体力もいるけど、続けて観てほしいなと思いますし、一つの作品として前編後編がまとまってるという思いではやっています。前編から後編までに2カ月空いてしまっているし、『-決戦-』を観た後に、もう1回『-運命-』を観たいと思ってもらえたらいいなと思っています。
■「全てを知って背負った上で」という思い
――岡田翔太プロデューサーは、北村さんをこの作品の「もう一人のプロデューサー」とも表しています。
そう言ってもらえてうれしいです。
――それはいつもなんですか? それとも『東京リベンジャーズ』だからですか?
いつも全体を見る気持ちではありますけど、今回の岡田さんは、『キミスイ』(『君の膵臓をたべたい』)における月川(翔)監督との関係とちょっと近い感覚があります。『キミスイ』の時には、月川監督が「これがお互いの階段を上るきっかけになると思います」と手紙をくれたんです。岡田さんは若いプロデューサーさんで、『1』で声をかけてもらった時にはまだ20代だったかな。世代も近い中で、仕事仲間でもありながら特別な思いがあるプロデューサーさんですし、今後ももちろん一緒に仕事をさせていただきたいと思いました。
――作品も撮影も熱いですが、裏側の熱さもすごいですね。
役者の仕事って、芝居だけかと思いきや宣伝にも絡んでくるし、僕は全てを知って背負った上で表に立ちたいから。宣伝でも単なる「仕事」としてではなく、 覚悟や責任も感じながらやりたかったので。
――そんな作品を、やっぱりぜひ観てほしいという思いは強いですよね。
今回もタケミチが主役ではあるんですけど、それよりもみんながかっこよかった。だからこそ、僕は主演という立場で、現場を引っ張る座長としての意識がすごく強かったような気がします。みんなが中心にいる、その中の座長でいる、という。公開までなんとか来れたのはとてもうれしいことですし、僕にとって誇りを持てる作品になったので、みんなの覚悟をぜひ映画館で観てください。
■一問一答 『東リベ』メンバーの中で〇〇な人
・一緒に戦いたい人は?
吉沢亮くんです。一緒に戦ってきた経験が長いのもあるし、彼は自分にとって役者として特別な存在です。一緒に舞台をやったりもしたし、間違いなくこの先も一緒に戦いたい。みんなに等しくそういう思いはあるんですけど、特にこの『東京リベンジャーズ』の始まりから考えると、お亮とのつながりは今後も感じるかな。
・守りたいところがある人は?
うーん……清水尋也ですかね。尋也は15歳ぐらいから知ってますけど、ほっとけない後輩の1人でもあって、僕の数少ない“後輩の友達”。だから、守りたさはある気がしています。
・「この人は何を考えてるんだろう?」と本音を聞いてみたくなる人は?
間宮くん。良い意味で独特のつかめなさがあるから、キサキという役をキャスティングされたのかなと思います。たぶんすごい情熱がある人だし、一緒に飲んだこともあるんですけど、まだ深くまで知らないところがあると思います。率直に本音を言うタイプだと思いますけど、すごく周りに気を使う人だし、空気とか場とか相手のことを考えて行動している人でもあると思います。
・兄弟、もしくは姉妹にしたい人は?
山田裕貴くんですね。年子のお兄ちゃんとかであってほしい。気が楽というのもありますし、あんなに明るさを維持できる人ってそうそういない。裕貴くんと兄弟だったら楽しそうだな。(山田、吉沢は2人とも「北村を弟にしたい」と回答)そうなんですか? うれしい。気は合いますよね。お亮と裕貴くん、2人とも一緒にいるとすごく楽なんです。この作品における存在としてもそうですし、裕貴くんともこの先確実に一緒になっていくことが増える気がしていて、特別な2人だと思っています。
・「この人タイムリープしてるんじゃないか」と思う人は?
磯村勇斗くんです。ちょっと独特な感性があるんですよね。 よく「似てる」とも言われるんですけど、いっそん(磯村)は自分と同じで、ものごとをけっこう俯瞰的に見ていたり、状況を楽しんでたり、なんかタイムリープしてそう(笑)。知ってそうな感じがする。
※映画『東京リベンジャーズ2』特集はこちら!
■北村匠海
1997年11月3日生まれ、東京都出身。『君の膵臓をたべたい』(17年)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。そのほか、『さくら』(20年)、『明け方の若者たち』(21年)、『とんび』(22年)など数々の話題作に出演し、2023年Netflixにて全世界同時配信予定の実写ドラマ『幽☆遊☆白書』への主演も決定している。声優としての出演は、『HELLO WORLD』(19年)、『ぼくらの7日間戦争』(19年)、『かがみの孤城』(22年)。