パナソニックは8月1日に、衣類ケアができるロッカー型の家電「スマートクローゼット HCC-R600A」(以下、スマートクローゼット)を発売する予定です。衣類をかけて収納すると、消臭、花粉やウイルスの抑制、シワ伸ばしに乾燥までできるという、まさに賢いクローゼット。あまりにも気になったので、一足先にパナソニックで実機を見てきました。スマートクローゼットの価格はオープン、推定市場価格は330,000円前後です。
除菌・消臭からシワ取りまで、衣類を自動的にケア
スマートクローゼットは、衣類除湿器にも採用されるヒートポンプと、パナソニック独自のイオン技術「ナノイーX発生器」を内蔵した衣類収納型の家電です。縦に細長い本体を開くと、最大3着まで衣類をかけられるハンガーラックがあり、ここにかけた衣類をさまざまな方法でケア。専用ハンガーは3本付属します。
ケアコースは大きく3種類。(1)庫内にスチームを充満させてシワを伸ばした後、ヒートポンプによる温風で衣類を乾燥させる「シワのばし」コース。(2)庫内にイオンを充満させる「ナノイーX」(48兆)コース。このコースでは衣類を加熱せずに除菌や消臭、庫内ケアを行います。(3)ヒートポンプによる衣類の乾燥や衣類温めができる「乾燥」コース。
各コースには、「標準」「しっかり」「お急ぎ」「タイマー」などのサブメニューがあり、衣類の状態や汚れに応じて運転時間などを調整できます。
スチームの生成や乾燥のため、本体下部にはスチーム用の給水タンクと除湿した水を回収する排水タンクを配置。水道に直結する必要がないので、スマートクローゼットは宅内のどこにでも設置できます。給水は手動になりますが、スチームを発生させた場合も最終的にヒートポンプで湿気を回収するため、運転中に部屋の湿度が上がる心配がありません。
扉の内側には、ネクタイやストールなどを下げられるシンプルな小物掛けがついています。この小物掛けは、取り外してパンツプレス(別売)と交換できます。パンツプレス「HCC-PA1」は22,000円。ちょっと高いですが、ズボンを挟んでシワのばしモードで運転することによって、手軽にケアが可能です。
気になるシワのばしコースを試してみた
気になるのはやっぱり、本当に衣類をケアできるのか? そこで、筆者の自宅からシワシワのシャツを持参し、実際にどこまで「シワのばし」ができるのかをチェックしてきました。
シワのばし運転には「標準」「しっかり」「お急ぎ」の3コースがありますが、今回は約1時間のシワのばし運転を行う「標準」コースを選択。シワのばし運転では、庫内にスチームを充満させつつ、衣類に下から風を当てて風と衣類自身の重みでシワを伸ばします。振動はしないため、運転音はかなり静か。これなら寝室に置いても問題なさそうです。
運転終了後はドライキープ運転がスタート。庫内の結露を防ぐために、温風を40分ごとに10分間送風して衣類に湿気がつくことを防ぎます。このため、運転後にあわてて衣類を取り出す必要はありません。
さて、シワのばし(標準)後のシャツがどうなったかというと、綿シャツは一部のシワが残っているものの、カジュアルに着るなら許せるかも? というくらいにはシワがなくなりました。
一方、ノンアイロンタイプの化繊シャツは、このままスーツの下に着ても問題ないレベルでしっかりシワが伸びていました。これはなかなか優秀です。
このスマートクローゼットを見て、LGエレクトロニクス・ジャパンの「LG Styler」を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。両製品ともスチームとヒートポンプで消臭・除菌、シワ伸ばしができる衣類ケア家電です。
スマートクローゼットとLG Stylerの大きな違いは、LG Stylerが「衣類を振動させる」こと。衣類に付着した花粉などを物理的に落とすとともに、強力にシワを伸ばします。一方のスマートクローゼットは振動がないぶん、運転音が静かなところがメリット。ナノイーXによる消臭・除菌も、パナソニックならではの機能といえるでしょう。
筆者はLG Stylerを自宅で愛用しており、その便利さを知っているだけに、スマートクローゼットにもすごく興味を持ちました。手放せなくなる便利さがある「衣類ケア家電」、スマートクローゼットが呼び水となって1つの製品ジャンルとして活性化することを期待しています。