OPPOから、ミドルレンジの最新スマートフォン「OPPO Reno9 A」が発売されました。ワイモバイル/楽天モバイルのほか、MVNO各社でも取り扱われるOPPOの定番シリーズです。シンプルかつスリムなデザインに、約6.4インチの有機ELディスプレイ、超広角、マクロもサポートする4,800万画素カメラ、たっぷり8GBのRAMと、4,500mAhの大容量バッテリーを搭載。さらに日本仕様の防水やおサイフケータイにも対応し、直販価格は46,800円。まさに不足のない王道といっていいモデルなっています。
しかし「OPPO Reno9 A」は、CPUに前モデルの「OPPO Reno7 A」と同じSnapdragon 695 5Gを採用するなど、メモリ容量や外観のほかにはアップデートされた点が少ないようにも思えます。なぜ変えなかったのか、敢えて変えなかったのか。オウガ・ジャパン 専務取締役の河野健三氏と、製品を担当したプロダクト部 企画課 課長の齋藤裕明氏にお話を聞きました。
──まず、「OPPO Reno A」シリーズは、どういう位置づけの製品なのでしょうか。
河野:Renoシリーズはグローバルで展開していますが、Reno Aシリーズは日本に特化した、日本専売モデルになっています。OPPOは2018年に日本市場に参入したのですが、Reno Aシリーズはその翌年の2019年から販売しています。2020年には「Reno3 A」、以降5、7、9という形で投入してきました。今年3月時点で累計の出荷台数は180万台を突破していて、市場認知も含めて非常に好評をいただいているシリーズになっています。最新モデルの「OPPO Reno9 A」もまだ発売したばかりですが、初日の売り上げだけでいうと、前モデル比で約133%と大変好調に滑り出しています。
──好調な理由をどのように分析していますか。
河野:これは2018年の参入当時から一貫してお伝えしていることですが、我々だけが得をする企業であってはならないというのが企業理念としてあります。販売パートナー様と共に歩んできた結果、安心して売れるメーカー、端末であるというお声を非常に多くいただいておりますので、そういったところが数字として現れているのかなと思っています。
齋藤:おかげさまで、ブランド認知度も年々上がってきています。初日の売り上げが良かったのも、お客様に発売時点で指名買いをしていただけるようになってきたのかなと思っています。
──前モデルでは「長く使える」ことを打ち出していましたが、Reno Aシリーズの買い換えサイクルはどのくらいなんですか。
齋藤:Reno Aシリーズだけでなく、3~5万円のAndroidのスマートフォンは市場全体として、買い替えサイクルが長い傾向にあります。我々の調査では3年以上という方が7割を超えています。ユーザー様へのアンケートやインタビューでも、次に買い替えるまでどれくらい使いたいかを伺うと、だいたい3年くらいという声が多い。前の機種も壊れるまで使っていたから、次も壊れるまで使いたいというお客様もいます。初代の「Reno A」が発売から4年、「Reno3 A」が3年ですので、今回の「OPPO Reno9 A」はそこからの乗り換えや、一部「Reno5 A」からのお客様もいるかなというところだと思います。
──前モデル「OPPO Reno7 A」からの乗り換えはあまり想定していないから、敢えて大きく変えなかったということになるんでしょうか。
齋藤:Reno Aシリーズは、ミドルレンジの価格帯でワンランク上の体験を提供するということを、重要なコンセプトとして製品を企画しています。この価格帯を考えていらっしゃるお客様が、どんな風にスマートフォンを使いたいのか、まずそのニーズにフィットしないといけない。たとえば、サクサクと快適に動いて欲しいとか、カメラもきれいに撮りたいとか、本格的な編集をするわけじゃないけど、子どもの映像をきれいに残したいとか。そのニーズに応えられる製品を、予算にあう価格帯でご提供することが一番大切なことだと考えています。
──価格を考慮した結果だということでしょうか。
齋藤:円安や為替の影響、物価高などもありますが、そういった状況であっても安定して同じ価格帯で提供し続けることに重点を置いたのは確かです。Reno Aシリーズをお使いいただいたお客様が、次に買い換えようと思った時に、スペックは確かに上がったけれども、値段もすごく上がったとか、逆に価格は変わらないけど防水がなくなったとか、そういうことがないようにしなければならない。その上で同じ価格帯で見たときに、ワンランク上の体験が提供できるようにということを考えています。
──とはいえ、部品調達や物流のコストは上がっていますよね。スペックを大きく変えなくても、価格を上げざるを得ない部分もあるのではないですか。
齋藤:これは我々の大きな強味でもあるのですが、チップセットやメモリ、バッテリーなど、グローバルに部材を調達できます。半導体不足が言われたときも、実はまったく影響を受けませんでした。Reno Aシリーズは日本オリジナルのモデルで、日本向けに開発を行っているのですが、一方で部材の調達の部分ではグローバルメーカーのスケールメリットを活かせる。これが同じ価格帯でワンランク上を提供できる理由でもありますし、この価格を維持できる理由でもあります。
──同価格帯にはライバル製品も多いですが、そこは十分に戦っていけると考えているということでしょうか。
河野:確かにこの価格帯は激戦区かもしれせんが、我々からすると、やるべきことはReno Aの開発当初から変わっていません。他社についてはあまり意識していないというか、お気づきだと思いますが、発表会等でも他社比較はやっていません。来年のモデルをどうしようかとなったときに、我々が考えるのはお客様が何を求めているかということだけです。
その上で、強味は2つあると思っていまして、1つは齋藤が言ったグローバルのスケールメリットを活かした調達ができること。日本専売のReno Aシリーズについても、グローバルモデルと共通のコンポーネントを活用することでコストメリットが出せています。もうひとつは先ほどもお話しした通り、2018年の参入当時から日本に根ざしたビジネスをやるために、中長期を見据えた戦略を立てている点です。販売パートナー様との関係もそうですし、アフターサービスもそうです。グローバルメーカーであり、日本に根ざした企業である、そこが強味だと思っています。
──ユーザーが何を求めているかを考えて、今回は敢えて変えないという選択をされたということでしょうか。
河野:そう考えていただいて構いません。昨年「Reno7 A」を出したときに「ナガモッティ」というキャラクターを使ってコンセプトムービーを作りました。そのムービーに限らず、製品コンセプトでも、環境に配慮した長く使えるスマートフォンだということ、3年から4年のライフサイクルで長くお使いいただける端末であるということを訴求しています。「Reno9 A」の仕様はそれを引き継いだものですから、現時点で購入いただくお客様にも十分長くご利用いただけるものだと考えていますし、ぜひ長く使っていただきたいと思っています。
我々としては、最新の端末が最良の端末であるというような言い方は全くしていなくて、お客様の使い方やご希望にあわせて選んでいただければいい。スマートフォンはデジタル製品ですが、長く愛着をもって使っていただけるものを目指していきたいということです。
──長く愛着使ってもらうために、どのような工夫をされているのでしょうか。
齋藤:昨年の「Reno7 A」から「システム劣化防止機能」を搭載しています。長く使っているとどうしても動作が重くなることがあるのですが、その劣化を5%内に抑えて、3年以上ご利用いただいてもサクサク感が持続するようにしました。「Reno7 A」を購入いただいたお客様へのアンケートでも、この機能が購入理由の上位になっています。我々としては次に買い換えるまで快適にお使いいただいて、良かったからまた次もと選んでいただけるのが一番だと思っているので、ずっと快適に使っていただけることを大事に開発しています。
またサポートの面では、保証や修理といったサービスはもちろんですが、ユーザー様とのコミュニケーションにも力を入れています。購入時にはガイドブック等でできるだけ詳しくご案内させていただいてますし、SNSでも多く発信しています。またホームページでは「OPPOヒントBox!」という形で、最近だとマイナンバーカードですとか、お問い合わせに対してできるだけタイムリーな回答を掲載させていただいています。また、チャットでのお問い合わせも可能になりました。
──「OPPO Reno9 A」もキャリア向けとオープン市場向けに販売されますが、今後もこの2つの市場の両方で製品を展開していかれるのでしょうか?
河野:そうですね。キャリア市場とオープン市場の2つの軸足でというのは変わりません。おかげさまでオープン市場では、2022年にSIMフリーのAndroidスマートフォンで売上ナンバーワンを獲得させていただいております(※)。引き続き2023年もそうなれるといいなと思っています。
※BCN調査による(BCNでは「キャリアフリー」と表現)
販売パートナー様がお客様のニーズにあわせて製品を薦められるときに、冒頭にもお話ししたように安心して売れるメーカー、端末であるという声を非常に多くいただくので、引き続きそういう製品を出していきたいですね。
齋藤:販売パートナー様へのアンケートでは、初期不良や故障が少ないということも言っていただいていて、非常にうれしく思っています。そこはグローバルで積み上げているノウハウが活かせる、我々の強味だとも思っています。
──最後に、Reno Aシリーズではずっとブルーのモデルがあったのですが、今回なくなった理由を教えてください。
齋藤:カラーについては、毎回日本国内でカラー調査を実施し、その結果をもとに決定しています。ホワイトについては、以前からお客様からの要望があったカラーでもありました。
──ありがとうございました。