第17回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社・日本将棋連盟)は一次予選が進行中。第10ブロック1回戦の藤井猛九段―中川大輔八段戦は7月4日(火)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、四間飛車の熱戦を98手で制した藤井九段が2回戦進出を決めました。
藤井印の四間飛車
本予選は10名からなるトーナメントを勝ち抜いた計16名が二次予選にコマを進めるもの。振り駒が行われた本局、後手となった藤井九段は伝家の宝刀ともいえるノーマルな角道を止める四間飛車を採用します。先手の中川八段が自玉を銀冠囲いに収めて対抗した結果、戦型はクラシカルな持久戦に落ち着きました。
藤井九段は自陣を高美濃囲いに組み替えたのち△4四銀型に組んで戦いの時を待ちます。中川八段が飛車先の歩を突き捨てて本格的な戦いを準備したのを受け、藤井九段はこの歩を元手に5筋に垂れ歩を放って局面を活性化。ぴったりとした受けがないと見た中川八段が玉頭からの攻め合いに活路に出たことで局面は徐々に激しさを増していきます。
お手本のさばきで藤井九段勝利
盤面全体を使った応酬が続いたのち、中川八段は飛車を成り込んで勝負を迫りました。部分的には居飛車好調のようでも、後手もと金を作ることが出来るようになったので損得は微妙なところ。実戦はここから後手の藤井九段が軽快な指し回しでリードを奪います。角を金と刺し違えて飛車筋を通したのが振り飛車らしいさばきの一手でした。
反撃を目指す先手の中川八段は高美濃囲いの金を竜で取りつつ迫りますが、藤井九段からの金打ちが当然とはいえ受けの決め手。このように竜をしかりつけられると、先手からは思わしい追撃の手段がありません。終局時刻は15時38分、最後は豊富な持ち駒で中川玉を寄せ切った藤井九段が手堅く勝利。藤井九段は2回戦で高崎一生七段と顔を合わせます。
水留 啓(将棋情報局)
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