7月になると、夏ボーナスの話題が本格化しますよね。「今年はどのくらい支給されるのだろう」「ボーナスをどうやって使おう」と今から思い巡らせている人も多いでしょう。
今回は、日本経済団体連合会や三菱UFJリサーチ&コンサルティングの発表をもとに、2023年夏の民間企業のボーナス平均支給額をご紹介します。
■2023年夏のボーナス、平均支給額はいくら?
6月29日、日本経済団体連合会(経団連)は、「2023年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」の第1回集計(中間集計)結果(※1)を発表しました。これによると、妥結額の総平均は95万6,027円です。2022年の妥結額の総平均は92万76円でしたので、前年比3.91%増、金額にして3万5,951円増となります。
集計済みの企業が異なるため、単純な比較はできないものの、中間集計段階では、2019年の97万1,777円、2018年の96万7,386円に次ぐ過去3番目の高水準です。
なお、製造業の妥結額の平均は、94万9,186円で前年比3.07%増(2022年は92万922円)、非製造業の妥結額の平均は、100万1,251円で前年比9.48%増(2022年は91万4,571円)でした。
では、業種別の妥結額はどうでしょうか。妥結額の高かった業種から順にまとめました(左から、業種、妥結額、前年比の増減率、2022年の妥結額の順)。
建設 127万8,054円 2.33%減 130万8,540円
機械金属 108万9,354円 15.33%増 94万4,542円
造船 101万2,763円 9.38%増 92万5,920円
自動車 101万2,409円 10.54%増 91万5,842円
食品 100万5,851円 4.22%増 96万5,151円
電機 97万6,579円 2.09%増 95万6,553円
鉄鋼 97万2,759円 4.54%減 101万9,071円
化学 90万397円 6.38%減 96万1,713円
情報通信 88万3,134円 7.03%増 82万5,139円
非鉄・金属 81万1,744円 7.37%減 87万6,372円
印刷 77万9,152円 0.37%減 78万2,077円
繊維 77万7,280円 6.25%減 82万9,057円
セメント 67万3,612円 10.20%減 75万137円
紙・パルプ 67万148円 3.19%減 69万2,242円
コロナ禍からの経済活動の回復を受けて業績が上向いた企業が多くみられ、従業員へのボーナスも手厚くなった印象がうかがえます。自動車や食品、造船など8業種では前年比で増加となりました(※2)。なお、業種別で最も妥結額が高かったのは建設で127万8,054円でした。
一方、資源・エネルギー価格の高騰で業績が厳しいセメントや紙・パルプ、非鉄・金属など、半数にあたる8業種では前年の水準を下回りました。近年まれにみる物価高のもとでの労使交渉で、ベースアップを含む月例賃金の引き上げを重視した結果、ボーナスを抑えた企業もあるといいます。
そうした背景もあり、16業種の中で最も妥結額が低かったのは、紙・パルプの67万148円でした。
今回の集計結果について、経団連の新田秀司・労働政策本部長は、「全体として賃上げのモメンタム(勢い)が維持されている」と説明しました。
※1:調査対象は、原則として従業員500人以上、主要21業種大手241社。第1回集計では、このうち業界団体を通じて回答を得た16業種121社の状況をまとめた。 ※2:集計社数が2社に満たない場合は妥結額の数字を伏せているが、平均には含まれる。
■中小企業も含めた民間のボーナス支給額は
前項でご紹介したボーナス額は大手企業の平均でしたので、次に、中小企業も含めたボーナス支給額を見てみましょう。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、2023年夏の民間企業の一人あたりのボーナス支給額は、前年比2.8%増の40万276円と予想されています(※3)。
このうち、製造業は前年比2.4%増の53万9,565円、非製造業は前年比3.1%増の37万3,217円であり、いずれも前年比プラスとなっています。
民間企業の夏ボーナスは2年連続で高めの伸びが見込まれており、本格的な回復が続くでしょう。コロナ禍の影響が和らいだこと、そして、良好な企業業績と雇用情勢がボーナス増加の要因となっています。
また、コロナ禍でボーナスの支給を取りやめていた事業所でも支給が再開され、支給労働者割合は81.1%と、こちらも2年連続で上昇するものとみられます。
※3:民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)は、賞与を支給する事業所で働く全常用労働者(当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者も含む)の平均
■資源・エネルギー高により前年比マイナスの業種も半数
コロナ禍の影響を抜け、民間企業のボーナス支給額は、全体的には増加傾向にあるようです。一方、資源・エネルギー高により業績が厳しく、前年比マイナスとなる業種も半数ほどありました。
食品や日用品、エネルギーなどの値上げが家計の重荷になっている昨今。賃金やボーナスが上がり、少しでも負担軽減につながってほしいものです。