自治体への展開を目指してJAFとの協業を開始
長年にわたりヤマハ発動機が開発を進める電動小型低速モビリティは、その機能として、バッテリの高性能化や乗り心地の向上に加え、自動走行に関する技術開発も進めている。しかしこれらの技術を実際に提供するにあたっては、交通課題を抱える施設や自治体にアピールする機会が無く、サービスを展開させることができていなかったという。
そこで2022年6月、同社はJAFとの協業契約を締結。47都道府県すべてに拠点が存在し、各自治体とのつながりを持つJAFと連携することで、課題を抱える自治体の声を拾い上げ、モビリティ技術を届けることが可能になったとする。
協業開始から約1年間が経過した中で、実際にグリーンスローモビリティを提案した自治体などからは、「地域の交通課題解決に役立ちそう」といった意見や、「観光客向けの周遊サービスが無いため導入できそうだ」といった反応が得られており、前向きな回答が多いとのことだ。
しかし一方で、サービスの検討段階に入ると、継続的な運用体制の構築に対する課題感が表出するという。サービス自体がまだ開始してから日が浅く、実際の事例も多くはないため、長期的にサービスを提供し続けられるのか、といった面で、ためらいが生じることが少なくないとする。
しかしこれは裏を返せば、提供の形態に縛られることなく柔軟なサービス構成が可能ということでもある。JAFのブース担当者は「今は事例を多く作って皆さんに知っていただく拡大期だと考えている」と話しており、「こういった展示会でさまざまな方と対話する中で、新たなニーズや我々が知らない利用法を教えてもらいたい」と出展の狙いを語った。
なおグリーンスローモビリティにおいては、4人乗り・5人乗り・7人乗りという3種類のモビリティを展開中。同じ乗員規模の一般的な自動車に比べてコンパクトであり、ゴルフカーが開発基礎にあるために多少の悪路も問題なく走行できるとのことで、ラストワンマイルの輸送にも役立てることができるとしている。