パナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW)は、直方体の4面に映像を映し出す照明器具「LANTERNA(ランターナ)」を発表しました。本体の受注を7月から開始し、付随するクラウドサービスとともに展開します。

ランターナは、10.1インチの液晶パネルを4面に搭載し、内側には60形電球一灯相当のLED照明を備えたランプシェード型の照明器具。液晶パネル部分に任意の映像を映し出すことによって、プロジェクターやデジタルサイネージなどこれまで主流だった映像装置とはひと味違った「Well-Being」な空間を映像演出によって提供します。

  • パナソニックEWが次世代の照明器具として発売する「LANTERNA(ランターナ)」

【動画】映像コンテンツは4面それぞれ別のものを表示したり、各面を自由に設定したりできます。視野角に優れたIPS液晶を採用しており、輝度の保持期間は1日12時間の使用で約5年(5年後年後に輝度が半減)

現時点で想定している利用シーンは、オフィスやレストラン、ホテルのフロントなど。基本的には業務向けとなり、価格は1台あたり270,000円前後ですが、1台あたり月額3,000円のクラウドサービスも必要です。また、月額10,000円で本体のレンタルとクラウドサービスを利用できるサブスクリプションモデルも用意しています。

ランターナはWi-Fiを内蔵しており、クラウドサービスを通じて映像コンテンツを配信するほか、専用のオーサリングツールを用いてオリジナルの写真や動画コンテンツを手軽に編集することが可能です。Bluetoothも搭載し、外部のスピーカーをペアリングしてサウンドを組み合わせた演出もできます。

  • オフィスでの導入事例。社員が集うコミュニケーションスペースに設置し、社内の情報を表示したり、コミュニケーションのきっかけとなるコンテンツを表示したり

  • ホテルでの導入事例。フロントに設置し、インテリア照明としてだけでなく、宿泊客向けに情報表示なども行えます

  • 飲食店での導入事例。テレビに配信している映画に合わせた照明やコンテンツを投影します

  • そのほかの導入事例

本体は、置きタイプと天吊りタイプの2種類をラインナップ。置きタイプは100Vコンセントプラグ、天吊りタイプはダクトレールや引掛埋込ローゼットに取り付けて使います。

本体サイズと重さは、置きタイプが幅163×奥行き163×高さ297mm・3kg、天吊りタイプが幅163×奥行き163×高さ237mm・2kg。それぞれホワイトとブラックの2色を用意しています。

  • 置きタイプ。木目調など外観カバーのカスタマイズ版も用意する予定です

  • 天吊りタイプ。通常の照明器具と同じように、天井のダクトレールや引掛埋込ローゼットに設置します

映像コンテンツは、ステンドグラスやアクアリウムなどインテリア性・アート性のあるデザインをはじめとして、桜や花火といった季節感のある映像、フードやドリンクなど多彩。専用のオーサリングツールを用いて、メッセージなどの文字情報と映像を表示することもでき、4面すべてに異なるコンテンツを表示したり、パノラマ映像のように1枚のコンテンツを連続して表示したり、自由度の高い演出が可能です。

  • 専用のオーサリングツールを用意。コンテンツのダウンロードやオリジナルコンテンツの編集とアップロードをスマホから手軽に行えます

  • プレイリストやスケジュールにも自由度の高い設定

  • 専用アプリで映像コンテンツの設定を変更

映像コンテンツのダウンロードや各種の操作は、専用アプリを使ってスマートフォンやタブレットから可能。本体は10台までの接続をサポートし、複数のランターナをつないだときに1台を親機に設定して、子機となるランターナと連動するコンテンツを表示することもできます。

【動画】4台のランターナを連動させたコンテンツの表示例。それぞれがWi-Fiに接続してコンテンツをダウンロード。親機に指定した1台から表示タイミングなどを指令する仕組み(音声が流れます。ご注意ください)

メディア向けの体験会では、開発の発起人となったパナソニックEWの大島弘嗣氏が出席。「パナソニックは普遍的な照明器具を進化させてきましたが、新しい価値を創り出したいという思いから、光と映像に着目し、空間ソリューションの提案する照明を開発しました」と経緯を語りました。

  • パナソニック エレクトリックワークス社 ソリューションエンジニアリング本部 大島弘嗣氏

「ランターナの試作機は、自分で買ってきた中古の液晶テレビを社員寮で分解して作りました」と大島氏。製品化は同期仲間の尾崎泰一朗氏とともに進め、「経営層や部門を超えた社内のプロフェッショナルがつながる共創によって実現しました」と明かします。

今後は、さまざまな映像クリエイターと連携したコンテンツの制作など、社外とも手を組んだオープンプラットフォームを目指しているとのこと。加えて、蓄電池「e-block(イーブロック)」などパナソニックが手がける別の製品とも組み合わせたソリューションと事業展開も想定しているそうです。