生きている限り、気分が落ち込むことは誰しもあることです。しかし、「全てどうにでもなれ!」と感じて自らの首をしめるような行動を起こしてしまう人は、破滅願望が強いせいで、自ら不幸に飛び込んでいることも。
今回の記事では、破滅願望の意味や破滅願望が強い人の特徴・心理、対処法などを紹介します。
破滅願望の意味とは?
破滅願望とは、直面している問題や将来への不安に対して、「全てのことがどうでもよい」「もういっそのこと、なるようになってしまえ」と投げやりになり、自ら破滅を望むような考えに陥ってしまうことです。
ネガティブな出来事や困難などを対処・解決できないことが続いたときに陥りやすいといわれています。
気分が落ち込んだときには誰にでも起こりうる心理状態ですが、長期化すると家事や仕事などが手につかなくなってしまうこともあるようです。
破滅願望の具体例
破滅願望に陥っている人がとりがちな分かりやすい行動とその心理として、以下のようなものが挙げられます。
- 友人や恋人と唐突に縁を切ろうとする
頻繁に周りの人と縁を切ろうとする人は、破滅願望が強い可能性があります。周りの人とのつながりを切って1人でまた一から人間関係を構築したいという人もいれば、「独りぼっちの私」というシチュエーションに酔っている人もいます。また、「離れるふりをすることで、相手に引き留められたい」と思っているケースも。
- 恋愛において、自分を不幸にするような相手ばかり選ぶ
自分から、一緒にいても幸せになれない相手を追いかけてしまう人も、破滅願望が強い場合が多いです。「報われない恋」「結ばれない男女」といった、悲劇的な恋愛をしている自分に酔ってしまっている可能性があります。
- 深刻な場面で仕事をすっぽかす
自分のせいで仕事で問題が起きてしまったというような深刻な場面で、「もう何でもいいや! 明日から欠勤してそのまま辞めてしまおう!」というような発想になるのも、破滅願望の一つといえるでしょう。
破滅願望が強い人の特徴・心理
同じような状況に置かれても、破滅願望を抱く人とそうではない人がいます。破滅願望に囚われやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、破滅願望を抱きやすい・長期にわたって抱えやすい人に多い特徴を紹介します。
自己陶酔が強い
強い破滅願望を抱いている人のなかには、「可哀想な自分に酔っている」「内心で可哀想な自分を楽しんでいる」タイプの人がいます。
このようなタイプの人は破滅願望を内心で正当化しているため、1つの問題が解決しても、別の問題が現れると同じように破滅を望むような言動に走ります。
破滅願望を抱くことで自分自身を憐れんだり、人に憐れまれたりする状況を、苦痛やストレスの捌け口にしているともいえるでしょう。
現実逃避をしたがる
自分では対処しきれない不幸やトラブルに見舞われた際、現実から目を背けたいという気持ちが破滅願望につながる人もいます。「今のような状況が続くぐらいならいっそ破滅してしまった方がよい」という心理です。
このような状況から破滅願望に陥ってしまった人は、1人では解決できない状況に追い込まれているため、周囲が適切にサポートすることで破滅願望を抜け出せる可能性もあります。
ネガティブすぎる
現実逃避したくなるような大きな不幸やトラブルが無くとも、普段からネガティブで自己嫌悪感が強い人は、破滅願望に陥りやすいといえるでしょう。自己肯定感が低い故に、本来は大きな障害ではないことを必要以上に負担に感じて、破滅願望につながってしまうのです。
頑固・意固地すぎる
誤った考えを持っていると周りから指摘されても、意固地すぎて考え方を変えられない人もいます。
特に、先述したような自己陶酔しているタイプの人のように、破滅願望に浸ることで満足してしまっている場合は、問題を解決しようという意志を持ちません。むしろ、不幸な状態をキープすることに意固地になるケースもあります。
破滅願望を持ってしまう原因
普段は明るい性格の人でも、きっかけがあれば破滅願望に囚われても不思議なことではありません。長期にわたって破滅願望を抱き続けている人には、多くの場合そうなるきっかけがあります。
ここでは、破滅願望の原因となりうる出来事について解説します。
強いストレスがある
普段は暗い考えに支配されているわけではない人が破滅願望に陥る要因として、最もよく見られるものは、突発的な強いストレスです。対処できない程に過剰なストレスをかけられることで、投げやりで破滅的な考えになることは、誰しも見られます。
これは、ストレスの要因になった出来事や、その解決について考えることを脳内から遠ざけようとしている状態です。自力で対処できないほどのストレスを感じたときは、破滅的な考えが定着する前に周囲に助けを求めることをおすすめします。
失敗を恐れている
過去に失敗して恥ずかしい思いをした、過剰に怒られたなどの経験がトラウマになり、後々まで尾を引いて破滅願望につながっているケースがあります。
このような場合は、物事に挑戦することと失敗して嫌な思いをすることが脳内でセットになり、行動を起こすことに恐怖を覚えます。
日常生活で繰り返し恐怖を感じるうちに、「いっそ破滅して、滅茶苦茶になってしまえ」「どうにでもなれ」という考えに支配されるようになるのです。
過去の生活環境が影響している
先に紹介した「失敗を恐れているタイプ」と似ていますが、幼少期の親や兄弟、先生などとの関係がトラウマになり、破滅願望につながっている人もいます。
幼少期に周囲の年長者から否定されながら育つと、大人になったときには劣等感が強くなり、自己否定的な考えが定着します。 何かと「どうせ自分には無理だ」と考え、困難に立ち向かえず破滅願望を持つようになるのです。
このような考えは、適切に評価したり褒めたりしてもらえる人と交流することで、時間をかけて改善されることもあります。
強い破滅願望を治すための対処法
自分が破滅願望に陥っており、それを直した方がよいと自覚したとき、どのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは、代表的な対処法を3つ紹介いたします。これらを参考にしつつ、必要であれば身近な人やカウンセラーなどに相談しましょう。
ストレスを発散する
積もり積もったストレスが破滅願望につながるというのは、よくあることです。日頃からストレスを適度に発散させるようにすると、破滅願望が長期化せず、健全な精神を保てます。
破滅願望を解消するために、代わりに欲求を満たせるような行動(代償行動)をとると気分が変わります。破滅的な歌を聴いたり映画を見たりして感情移入をすることで、破滅願望を満たす行動のことです。自分が破滅的な行動をせずとも、そのような作品に触れて感情移入をするだけで、意外と満たされるケースが多いです。
また、仕事や芸術などに打ち込むことで解消する方法もあります。
客観的な視点を持つ
破滅願望が強い人は思い込みが強く、その思考を簡単に変えられないことが多くあります。自分の破滅願望や自己肯定感の低さを直したいと思ったときは、一歩引いて自分を見つめ直すとよいでしょう。
「思っていたほど周囲から疎まれていなかった」「想像していたほど大きな失敗をしていなかった」と自覚することで、破滅願望や自己嫌悪を和らげられます。
自己分析が難しくとも、信頼できる家族や友人がいる場合は、自分についてどのように思うか聞いてみることもよいでしょう。
心の内を話せるような、信頼できる人をつくる
破滅願望の持ち主は、人間関係を上手く構築できないケースが見られます。過去の生活環境によるトラウマから破滅願望を持つ人に特に多いといえるでしょう。
他人によって植え付けられた自己否定は、別の他人と関わることで癒えることがあります。破滅願望を直したいときは、苦痛になりすぎない程度に人と関わってみることがおすすめです。
他者と良好な関係を築き、何でも話せる友人ができれば、自然と破滅願望も弱まるでしょう。
「破滅願望」をしっかり理解しておこう
破滅願望は、どのような人にも陥る可能性があるものです。陥ること自体が悪いことではなく、誰にでもあることだということを覚えておきましょう。
破滅願望が長期化して生活に支障が出たり周りに迷惑をかけたりしないように、適度に発散することが大切です。今回の記事を参考に、適度に破滅願望を発散できるように工夫してみてくださいね。