「柔らかい」と「軟らかい」は同じ読みで、意味もよく似ている言葉です。両者の正確な違いを知らない方も多いでしょう。

本記事では「柔らかい」と「軟らかい」の違いや使い分け方について、例文を交えて解説します。それぞれの意味を正しく理解して上手に使い分けましょう。

「柔らかい」と「軟らかい」の意味の違い・使い分け方とは

  • 「柔らかい」・「軟らかい 」の違い・使い分け方とは

    「柔らかい」と「軟らかい」の違いと使い分け方を解説します。

「柔らかい」と「軟らかい」は、両方「やわらかい」と読みます。どちらも、ふんわりとした状態や性質などを表すときに使われる言葉です。 しかし、二つの言葉はそれぞれ異なるニュアンスを持っています。

「柔らかい」は、しなやかで弾力性がある様子を表す言葉です。一方で、「軟らかい」は、中身がしっかりしておらず、歯ごたえや手ごたえがない様子を表します。

力を加えた後に形が戻るものは「柔らかい」、力を加えた後に形が戻らないものは「軟らかい」と表現することを覚えておくと分かりやすいでしょう。

「柔らかい」は「ふわっとしたやわらかさ」のことをいうのに対して、「軟らかい」は「ぐにゃっとしたやわらかさ」というイメージです。

ただし、「柔らかい」と「軟らかい」の線引きが曖昧なケースもあります。一般的には「軟らかい」よりも「柔らかい」の方が幅広い意味を持ち、多く使用されています。

「柔らかい」「軟らかい」の意味

  • 「柔らかい」・「軟らかい 」の意味

    「柔らかい」と「軟らかい」それぞれの意味を解説します。

「柔らかい」と「軟らかい」は似ていますが、前述のようにニュアンスの違いがあります。

ここでは「柔らかい」と「軟らかい 」について、それぞれの意味を詳しく解説します。

「柔らかい」の意味

「柔らかい」とは、「ふっくらしている」「しなやかである」「穏やかである」ことを表す言葉です。力を加えても形が元に戻るやわらかさを意味し、しなやかで弾力性がある様子を意味します。

布団や毛布など衣類によく使われ、その他にも動物の毛やぬいぐるみ、パンなど幅広いもののやわらかさを表す言葉に「柔らかい」が使われます。

その他に、「物事や状況が穏やかで心地よい」という意味でも使われる言葉です。 この場合、音色・声・物事・態度に対して使われます。見たり聞いたりした際に、優しい印象を抱いたり心地よいと感じたりしたときに「柔らかい」と表現します。

「軟らかい」の意味

「軟らかい」とは、「手ごたえがない」「弱々しい」ことを意味します。力を加えると変形して元に戻らないようなもろい様子や、中身がしっかりしておらず、手ごたえがない様子を表した言葉です。

煮込んだ野菜のような、歯ごたえのない食べ物について、「軟らかい」を使って表すことが多くあります。また、タコやイカなどの軟体動物の様子を表すときにも使われます。

その他に、「本の内容が軟らかい」「文章が軟らかい」など、堅苦しくないという意味で使う場合にも使われる表現です。

「柔らかい」の使い方・例文

  • 「柔らかい」の正しい使い方・例文

    「柔らかい」の正しい使い方とは?

「柔らかい」は、ふっくらとしていて硬くない様子や、物事が穏やかであること、堅苦しくないことなどを表す際に使います。

ここからは、「柔らかい」の使い方と例文をご紹介します。

  • 先日新しく購入したこのベッドは、柔らかくて非常に寝心地がよい

この例文での「柔らかい」は、使っているベッドがふんわりとしていて硬くないことを表しています。さらに、ベッドは力を加えても元に戻る性質があるため、この場合は「軟らかい」ではなく「柔らかい」を使用します。「柔らかい」を使うことによって、ベッドの心地よさも併せて表現できるでしょう。

  • 彼女は小さい頃からずっとバレエを習っているため、体が非常に柔らかい

この場合の「柔らかい」は、ふっくらとしていて硬くない様子を表すものではなく、体が柔軟でしなやかな様子を表すものです。タコやイカなどの軟体動物の体について表すときは「軟らかい」を使用しますが、人の体では「柔らかい」と表現することがほとんどです。

  • 彼は頭が柔らかく、社内でも多方面で活躍するアイデアマンです

この場合の「柔らかい」は、「堅苦しくない」「融通が利く人」という意味で使われ、考え方に対する柔軟性を表しています。

「頭が柔らかい」と同じように「堅苦しくない」や「融通が利く」という意味で「柔らかい」が使われる表現には、「柔らかい性格」「人当たりが柔らかい」などがあるでしょう。 「柔らかい性格」「人当たりが柔らかい」には、「穏やかである」という意味が含まれることもあります。

  • 小さな子どもが使用するため、今回は柔らかいゴムボールを購入します

この例文での「柔らかい」は、ゴムボールがふんわりしていて硬くないことを表す言葉です。力を加えても形が元に戻るやわらかさであり、しなやかで弾力性がある様子を表現しています。

このように、「柔らかい」はふんわりしていて硬くないことを表す言葉として、幅広いものを対象に使用できます。

「軟らかい」の使い方・例文

  • 「軟らかい」の正しい使い方・例文

    「軟らかい」の正しい使い方とは?

「軟らかい」は、手ごたえがなく弱々しいことを意味し、力を加えると変形して元に戻らないようなもろい様子を表します。

ここからは、「軟らかい」の使い方と例文を見てみましょう。

  • 先日、こちらの有名店で軟らかくて美味しい大根をたくさん食べました

「軟らかい」は、肉の食感や煮込んだ野菜など、料理や食材の表現でよく使われます。肉や野菜などの食材は力を加えると変形したり壊れたりするため、「軟らかい」が使われるのです。

ただし、一般に「柔らかい」という表現も多く使われており、「軟らかい」との線引きは曖昧な部分があります。 食材自体のことだけでなく、「軟らかく煮込む」のような使い方もされる表現です。

  • 弊社が取り扱っているこちらの製品は、比較的軟らかい材料を使用したものです

この例文の場合は、使用している材料は力を加えると壊れてしまったり変形してしまったりするもののため、「軟らかい」が使われます。

材料に力を加えても形が元に戻るようなものであれば、「軟らかい」ではなく「柔らかい」を使用します。

  • 彼はいつも通り、軟らかい内容の本しか読まないでしょう

この例文の「軟らかい」は、物質のやわらかさを表すものではなく、「堅苦しくない」という意味で使われています。 物事や態度、性格などには「柔らかい」が使われやすいことに対して、本や文章の内容については、多くの場合「軟らかい」が使われます。

「柔らかい」と「軟らかい」の使い分け方を知っておこう

  • 「柔らかい」と「軟らかい」の使い分け方を知っておこう

    「柔らかい」と「軟らかい」を正しく使い分けよう!

「柔らかい」と「軟らかい」は、「柔軟」という言葉があるように、よく似ていて使い分けが難しい言葉です。

「柔らかい」と「軟らかい」の意味を理解して、正しく使い分けられるようにしましょう。