JR四国と鉄道総合技術研究所は28日、デジタル技術を用いた設備等のメンテナンス省力化・省人化に向けた共同研究を2023年6月から2025年3月まで行うと発表した。
鉄道の安全・安定運行において、鉄道設備等のメンテナンスは必要不可欠であり、鉄道事業者は法令等にもとづき、定期検査や必要な補修・修繕を行っている。しかし近年、少子高齢化による労働人口の減少等により、メンテナンス要員の確保が難しくなっており、メンテナンス省力化・省人化が喫緊の課題となっているという。
この問題を解決するためのひとつの方法として、メンテナンスのデジタル化(デジタルメンテナンス)を挙げる。具体的には、鉄道総研が開発している統合分析プラットフォームを用い、最新のセンサと画像処理技術により、営業車両で取得した土木・軌道・車両・電力・信号など各分野の設備状態等に関するデータをキロ程の表現を合わせた(統一キロ程)上で統一形式データサーバ上に集約。複数分野のデータを組み合わせた分野横断的な分析によって新たな知見を引き出し、従来の個別分野のデータ分析では検知できなかった異常の早期検知や、徒歩巡視や個別設備の検査の省力化をめざしていく。
鉄道総研はこのプラットフォームを用いて新たな異常検知手法や劣化診断法を提案し、その有効性を実路線データで検証する。JR四国は分野横断分析の有効な検査項目や分野間で重複している作業の抽出など行った上で、鉄道総研が提案する新たな異常検知手法・劣化診断法等を実務に適用した場合の業務フローを提案し、業務改善効果を検討していく。