パナソニック ホールディングス(パナソニックHD) マニュファクチャリングイノベーション本部は6月28日、パナソニック エコテクノロジー関東(PETEC関東)および三菱マテリアルと協力し、エアコンの分解工程において室外機をロボットで分解する「エアコン外装自動分解設備」と、分解に必要な情報を蓄積する「分解データベース」による「エアコン室外機外装自動分解システム」を開発した。
パナソニックHDでは、AIによる認識技術と正確な位置決め制御および人の手技を再現するロボット制御技術を用いて、エアコン室外機外装のビス外しとカバー外しを自動で行う「エアコン外装自動分解設備」を開発した。
リサイクル工場では、使用済み家電の数量増加と将来の労働人口の減少に備え、分解工程の省人化・自動化が求められている。しかし、エアコン室外機は屋外に設置されているため汚れやサビなどの付着が多いうえ、メーカーによってサイズやデザインなどが異なっているため、これまで分解工程の自動化が困難だった。
エアコン外装自動分解設備では、エアコン室外機をカメラで撮影。それにより汚れやサビがあるビスをAIが正確に見つけ出し、ドライバーを備えたロボットアームでビスを外した後、人が行う動きを再現する把持ハンドでカバーの嵌め込みを外して分解する。これらにより、分解工程の一部の自動化を実現した。
また、PETEC関東および三菱マテリアルと協力し、分解ラインに投入されるエアコン室外機の情報を型番ごとに蓄積し、設備の稼働率向上など分解工程自動化における基盤となる「分解データベース」を構築した。
三菱マテリアルのAI-OCR技術によりラベルから読み取った型番と、自動分解設備から取得したエアコン室外機のビス本数や位置など分解に必要な情報を紐づけて蓄積。「分解データベース」に登録済みとなったエアコン室外機では、ビスの誤認識によるロボットの無駄な動きを削減することで分解効率が向上するという。
これらにより自動分解設備を使い続けることで、「分解データベース」への登録機種数が増え、分解動作が進化していくシステムを作り上げた。
パナソニックHDは2022年度、PETEC関東での実証評価を完了した。今後は対象機種の拡大や生産性向上の取り組みを進め、将来的には同社グループを含めた全国のリサイクルプラントへの普及を進めるとしている。