結婚し夫婦となったからには、二人の時間、あるいは子供を含めた家族との安らぎの時間を持ちたい、というのは当然の気持ちです。しかし妻が頻繁に実家に帰ることに悩む夫は多く存在します。
本記事では「嫁が実家帰りすぎ!」と夫が感じる瞬間や、実家依存症とは何か、そこから起きるトラブル、頻繁に実家に帰る嫁の心理や、離婚を防ぐための対処法などを紹介します。
「嫁が実家帰りすぎ!」と夫が感じる瞬間とは
妻にとって自分の親は、生まれてから長い時間をともに過ごしてきた家族です。気を遣うことなく、楽に一緒に過ごせる存在であることが多いため、実家が心地良いという感覚も理解できます。
しかしそれが行き過ぎてしまい、夫が妻に対し「実家に帰りすぎ」と感じる場面は、どのようなものでしょうか。例を紹介します。
自分と過ごす時間よりも、実家に帰っている時間の方が長いとき
体調を崩したときや、困ったときに実家を頼ることは、当然のことです。
しかし個人差はあるものの、毎日、または週に何回も実家に帰る、週末はずっと実家にいるなど、その頻度が高すぎると感じる場合に、夫は疑問を持ちます。
特に、夫婦で過ごす時間、または夫婦と子供での家族だんらんの時間よりも、妻が実家にいる時間の方が長い場合、夫はストレスや不満を抱くことが多いでしょう。
ちょっとしたけんかで、すぐに実家に帰るとき
価値観の違いなどから、夫婦がけんかをするのはよくあることです。しかしちょっとした言い争いでも、すぐすねて実家に帰る場合も、夫としては納得がいかないでしょう。
困ったときに温かく受け入れてくれる実家は、妻にとっては居心地が良いものです。その結果、実家が逃げ場所になる場合があります。
しかし、逃げていても解決にはつながらず、ますます夫婦の距離が広がってしまうだけです。お互いにクールダウンが必要な大きいけんかの場合は実家に避難することも大切ですが、ささいなけんかの度に実家に帰る妻に、夫は不満を抱くのです。
親の意見を優先しているとき
夫である自分の意見よりも、親の意見を優先しているときにも、夫は疑問を持ちます。
親の意見を取り入れることは、親を大切にしていることの表れであり、親孝行にも思える行動です。しかし、夫婦の問題なのに実家の親にばかり従って、夫の意見を全く受け入れないようなケースでは、夫は「ないがしろにされている」と感じてしまいます。
夫の意見を聞きもせずに、自分と親で勝手に物事を決めてしまい、夫には事後報告という場合は、より問題です。
こういった場合には、夫婦の深刻な問題になり得ます。
親友のように、何でも親に話していると分かったとき
仲が良過ぎて、親子というよりは親友のような関係性にあり、普通なら親に話さないような内容も話してしまう親子も存在します。
親子仲が良いのは素晴らしいですが、例えば夫の愚痴や夫婦の秘密なども親に話していると分かったとき、夫は恐怖と憤りを感じるでしょう。
実家に帰りすぎている嫁にありがちな「実家依存症」とは
実家依存症とは、結婚後も実家との結びつきが強く、親離れができていない様子のことです。また、精神的や経済的に、実家を頼りにしすぎている状態も当てはまります。
「実家依存症」は病気?
「実家依存症」は病気ではなく、常識の範囲を超えて実家に甘えすぎてしまう心理、状態を表した言葉です。
親は、多くの人にとって自分の良き理解者です。大人になってもついつい頼ってしまうこともあります。「実家依存症」は、親子の関係が悪ければ起こらず、親子関係が良好だからこそ生まれるものです。
しかし、結婚して実家を出れば、夫婦で新しい生活を送ることが一般的です。夫婦の結婚生活や、夫婦と子供との家族の時間をないがしろにし、実家からなかなか自立できないことは問です。
実家に帰りすぎている妻は、実家依存症とも呼べる状態なのかもしれません。
頻繁に実家に帰る嫁の心理・理由とは
しかし、妻が実家によく帰りたがるのにも、理由があるはずです。考えられるいくつかの要因を紹介します。
心の余裕が欲しい
実家に帰りたがる妻は、「心に余裕が欲しい」と思っている可能性があります。
特に子どもが生まれた後は、心に余裕がないことがあります。夫が仕事で忙しく、育児や家事に参加しない場合には、妻はつい実家に頼ってしまうこともあるでしょう。
「育児も家事も一人でしろ、とはひどい。夫は仕事があるからと言い訳できるが、自分は何でも一人でしなければいけないのか」と感じている妻はたくさんいるはずです。
「妻は心に余裕が欲しいと思っていないか?」「ストレスがたまっていないか?」などと、夫の方で察するような、思いやりの心を持つことが大切です。
家事や育児を休みたくなるときもある
夫か妻かに関わらず、「毎日の家事や育児を少し休みたい」「羽を伸ばしてゆっくりしたい」と思うことがありますよね。
そのような場合に、家事や育児の経験者である親は強い味方です。特にかわいい孫の世話は喜んでしてもらえることがあるため、つい甘えてしまうことがあるでしょう。
家事や育児に疲れて妻が実家に戻らないように、お互いに助け合うことが大切です。
金銭的にも援助がある
親から金銭的にも援助があることは、妻が実家に帰りたがる理由の一つと言えるでしょう。金銭面での援助とは、例えば以下のようなものがあります。
- 食事代を出してもらう
- 料理のお裾分けをもらう
- 子供(親にとっての孫)へのプレゼントやお小遣いをもらう
- 教育費などの金銭的援助がある
実家の金銭的な援助は、夫婦にとっては大変ありがたいことです。ゆとりのある生活のために、無意識に実家に帰る回数が多くなる要因になる可能性があります。
実家依存から生まれるトラブル3選
実家に頻繁に帰りすぎる実家依存症から生まれるトラブルには、さまざまなパターンが考えられます。
以下に、妻が実家依存症の場合に起きうるトラブルの例を挙げます。
夫が疎外感を抱く
妻が実家に帰りすぎてなかなか自宅に帰ってこない場合、夫は、自分だけが仲間に入れてもらえていないような気持ちになり、疎外感を抱くことがあります。
仮に「実家に夕ご飯があるから夫も来ればいい」と言われても、夫にとって妻の親は他人とも言えます。そのため、義理の実家に行っても、居心地の悪さを感じることが多いでしょう。たまに行くならば耐えられますが、それが頻繁に、となるとストレスがたまります。
「自分の家で嫁と子どもだけでゆっくりしたい」と考える夫もいるでしょう。
義理の親が家に来る頻度が多くて困惑する
妻が実家依存症の場合は、妻が頻繁に実家に帰ってしまうだけではなく、妻の実家の親が、頻繁に家に来てしまうこともあります。
個人差はありますが、あまりにも頻繁に義理の親が家に来る場合には「また来ているのか」、「気を遣ってしまうな」などと感じても無理はありません。
合鍵を作って、留守中に勝手に出入りしたり、家を掃除して物を動かされたりすると、夫は気の休まるところがなく、自分の家にすら帰りたくなくなるでしょう。
さらに、妻と実家との依存関係がより悪化してしまうこともあります。
「嫁の実家ばかりずるい」「孫に会いたい」など、親族間の関係性が悪化する可能性も
妻の実家依存は、夫婦の関係性の悪化だけではなく、妻と夫の実家の関係悪化、またそれぞれの親同士の関係悪化にもつながる恐れがあります。
妻が自分の親ばかりと連絡を取り合ったり頻繁に会っていたりすると、夫の親は連絡や会う頻度の差に疑問を持つでしょう。特に子供(夫婦の親にとっての孫)がいる場合、孫と会えないことに不満を抱くケースは多いです。
気を遣う夫の実家よりも、居心地の良い自分の実家に妻の足が向くのは当然です。とはいえ、お互いの実家との付き合いの程度は、不公平感が出ないように心掛けることが大切です。
嫁が実家へ帰りすぎると離婚へつながることもある
実家依存症が悪化すると、離婚につながることもあります。
頻繁に実家に帰っていると、精神面や金銭面で親に甘えがちになる場合があり、そのことが夫への思いやりのない言葉や横柄な態度につながってしまう危険性があります。
また、本来は夫婦で担当する家事や育児がおろそかになる、夫婦の時間、あるいは夫婦と子供での家族の時間が取れないなどの悪影響も考えられるでしょう。
それらの要因で夫婦の関係が悪化していけば、離婚へとつながってしまうのです。
嫁の実家依存症で離婚して後悔しないための対処法
もし妻の実家依存症で離婚してしまうかもしれないと思った場合に、夫婦がお互いに取れる有効な解決策は何でしょうか。対処法を見ていきましょう。
夫婦の関係性を再構築して優先順位を上げる
夫婦間の関係をより深めることで、実家との関係よりも優先順位を上げることが大切です。
最初は実家に依存した状況からなかなか抜け出せずに、うまくいかないこともあるでしょう。しかし、諦めずにコミュニケーションを取って、少しずつ2人の関係を再構築することで、お互いの優先順位が上がり、離婚を防げる可能性があります。
家事は夫も妻も、お互いにできることを探す
夫婦それぞれの状況にもよりますが、家事はどちらか一方に任せきらないようにして、お互いにできることを探すことが大切です。
どちらかの手が空いているときは、夫であれ妻であれ、家事を率先してやることで、お互いに不満を抱くことが減るケースはよくあります。
特に専業主婦で子どもがいる妻の場合は、常に家にいて一人で家事や育児をしているせいで、強いストレスや閉塞感を抱いてしまうことがあります。
もし自分が仕事で忙しかったとしても、相手は専業主婦だからとすべてを押し付けず、自分にできる家事を探す、やってほしいことがないか常に尋ねるなど、相手への思いやりを持ちましょう。
子どもの面倒を見る
夫婦の間に子どもがいる場合、お互いが育児の当事者だと自覚することが大切です。お手伝いをする感覚で指示待ちをするだけでは、妻は夫を頼れません。
「旦那がしっかりしていないので、つい実家に甘えてしまう」という妻の声もあります。妻から「夫に育児を頼ってもいいんだな」と思ってもらえれば、実家に頼らなくてもよくなるため、実家依存が少なくなる可能性があります。
嫁の自由な時間を確保する
想像しているよりも妻の自由な時間は少ないかもしれないことを、夫は理解しておきましょう。
専業主婦で子どもがいる妻の場合は、家にいてもダラダラしているわけではなく、家事や育児、地域やPTAの活動などで一日が終わってしまうことがほとんどです。
仕事をしている場合も同様で、仕事と家のことをこなすのに精いっぱいで、自分の時間はめったに取れないでしょう。睡眠時間ですら削っていることはよくあります。
妻が家事や育児、仕事などで忙しいことをよく理解した上で、夫が率先して家の仕事を担い、妻の気が休まる時間を確保することが大切です。
実家に関して2人のルールを作る
実家に帰る頻度や金銭的援助の有無などの、実家に関するルールを決めてお互いに把握するといいでしょう。
ルールを決めたら、約束を破らないこと、後から「実はこんなこともしてもらっていた」「この家電も買ってもらった」などの隠し事をしないことが大切です。
またお互いの実家を行き来する頻度も、ある程度ルール化しておくと、トラブルが減る可能性があります。
実家から距離のある場所に住む
妻の実家が自宅と近い距離にある場合は、実家から距離のある場所に住むことも有効な手段です。物理的に距離が遠ければ、すぐに実家に帰りにくくなるためです。
親が頻繁に家に遊びにくることでトラブルが起きそうな場合は、遠くに引っ越すことを検討してもいいでしょう。
ただし、引っ越す際は夫婦でお互いに協力して、家事や育児ができることが前提です。
もし親に頼らざるを得なくなった場合に、実家が遠ければ頼れる人がいなくて困ってしまいます。
嫁が実家に帰りすぎていると感じたら、まずは夫婦関係を見直してみよう
自分の妻が実家に帰りすぎていると感じた場合は、まずは夫婦関係を見直してみるといいでしょう。
実家に帰りすぎる理由を知り、その原因を解決することで、実家依存症は改善する可能性があります。
お互いに思いやりを持つことを忘れずに、しっかりと夫婦でコミュニケーションを取りながら、実家よりも居心地の良い関係性を作ることが大切です。