4つの漢字で一つの熟語が作られている四字熟語。四字熟語は数多くありますが、中には語呂や響き、意味が面白い四字熟語も多数あります。四字熟語は難しいと感じている方も、面白い四字熟語を知ると興味が持てるかもしれません。
本記事では面白い四字熟語とそれぞれの意味や例文、創作四字熟語や四字熟語の意味も紹介します。
【面白い四字熟語】響きが面白い四字熟語
まず、音の響きが面白い四字熟語を紹介します。
奇奇怪怪(ききかいかい)
奇奇怪怪(ききかいかい)とは、常識では理解できないほど、極めて奇怪、不思議な状況を意味する四字熟語です。
特に小さいお子さまであれば「かいかい」という響きを面白く感じるでしょう。語呂がよく比較的覚えやすい四字熟語の一つであり、漢字から意味も紐付けしやすいです。
使い方としては、「奇奇怪怪なことに、誰もいないはずの部屋の扉が開いた」「奇奇怪怪な事件」などです。怪奇現象について語る際にも、よく使われます。
呵呵大笑(かかたいしょう)
呵呵大笑(かかたいしょう)とは、大声をあげて笑う様を表した四字熟語です。
「呵呵」には大声で笑う様子や笑い声という意味、「大笑」には大いに笑う、大声で笑うという意味があります。
呵呵大笑の面白ポイントは語呂です。語呂や響きが「カッカッカッ」と大声で笑う様子に似ている点が、面白いと感じられます。
使い方としては、「彼は呵呵大笑のあまりその場に倒れ込んだ」「父は応援しているチームが勝つといつも呵呵大笑している」などです。
侃侃諤諤(かんかんがくがく)
侃侃諤諤(かんかんがくがく)とは、遠慮せずに正しいと思うことを主張することや、議論が盛んな状態を指す四字熟語です。
「かんかんがくがく」という音の響きが面白く、頭に残りやすくて覚えやすい四字熟語の一つと言えます。
使い方としては、「侃侃諤諤の議論の末、ようやく結論を導き出した」「今日も朝から侃侃諤諤の論争が繰り広げられている」などです。
切切偲偲(せつせつしし)
切切偲偲(せつせつしし)とは、丁寧にお互いを励ますことを表す四字熟語です。
仲間同士高めあうような意味も込められており、前向きに取り組むことを意味します。同じ言葉が並んでいるため響きが独特で、比較的覚えやすい四字熟語の一つと言えるでしょう。
『論語』に出てきた孔子の言葉が由来です。
五里霧中(ごりむちゅう)
五里霧中(ごりむちゅう)とは、五里にもわたる深い霧の中にいて方角が分からなくなってしまっている状態のように、物事の様子や方針が分からず、見込みが立たなくて困っている状態のことを意味する四字熟語です。手さぐりで進むという意味もあります。
小さいお子さまなら、「ゴリ」の響きが「ゴリラ」を連想させて面白く感じるのではないでしょうか。
なお「ごりむちゅう」と書く際、「むちゅう」を「夢中」や「無中」と誤る方がいます。「ごりむちゅう」は、霧の中にいて方角が分からない状態を表現した言葉です。意味を理解すれば、書き間違えることがなくなるでしょう。
馬耳東風(ばじとうふう)
馬耳東風(ばじとうふう)とは、春風が吹いても馬は何も感じないように、他人の言うことを聞き入れない様子を表した四字熟語です。
頑固な人は、自分が正しいと思い込んで他の人の意見やアドバイスに耳を傾けません。また、向上心が無かったり、何事にも無関心だったりする人も、人のアドバイスを聞き流してしまいます。このような状態を「馬耳東風」と言います。
馬耳東風の面白ポイントは、語呂です。「ばじ」という普段の会話ではあまり聞かれない緊張感のある音と、「とうふう」のやや気の抜けた響きのある音の組み合わせが印象に残りやすく、覚えやすい四字熟語の一つと言えるでしょう。
独立独歩(どくりつどっぽ)
独立独歩とは、他人に頼らず、自分が信じる道を進んでいく様子を表す四字熟語です。「どっぽ」という言葉の響きが、あまり他では聞かれず、印象に残る四字熟語です。
似た四字熟語として、独立独行(どくりつどっこう)という四字熟語もあります。意味は同じであるため併せて覚えておきましょう。
使い方としては、「独立独歩であなたの道を邁進してください」「彼の父親は独立独行の人で、誰の力も借りずに事業をあそこまで大きくした」などです。
【面白い四字熟語】意味が意外だったり大げさだったりして面白い四字熟語
次に、字面からは想像できない、意外な意味や、たいそうな意味を持つ四字熟語を紹介します。
付和雷同(ふわらいどう)
付和雷同(ふわらいどう)とは、むやみに他人に同調する様子を表した四字熟語です。
「付和」は自分にしっかりした意見が無く、他人につき従ってあいづちを打つこと、「雷同」は雷が鳴ると無条件で万物に響くことから、やはり自分の考えを持っておらず他人の意見にむやみに同調してしまうことを意味します。
付和雷同の面白ポイントは、字面はかっこいいにも関わらず意味があっけないことです。
使い方の一例は、「あの人は多数派の意見に付和雷同しがちだ」です。
変態百出(へんたいひゃくしゅつ)
変態百出(へんたいひゃくしゅつ)とは、姿や形を次々と変化させていく様を表した四字熟語です。
決して変態が100回出たという意味ではありませんが、一見そのような意味に思えてしまう点が面白さです。漢字をそのまま意味として受け取らないように、正しい意味を覚えておきましょう。
変態百出の使い方の一例は、「まさに変態百出の演技で難しい役柄をやりきった」です。
粉骨砕身(ふんこつさいんしん)
粉骨砕身(ふんこつさいしん)とは、骨が粉々になったり身を削ったりするほどに、自分の最大限を尽くして物事にあたることを意味する四字熟語です。
一生懸命さを表したい場合に使う四字熟語です。骨を粉々にし、身を削るという例えが大げさすぎる点が面白ポイントです。
粉骨砕身の使い方としては、「今年こそ粉骨砕身の精神で邁進する」「初心に戻って、粉骨砕身の気持ちで頑張ります」などです。
機械之心(きかいのこころ)
機械之心(きかいのこころ)とは、悪だくみのための偽りの心や策略をめぐらす心という意味の四字熟語です。
そもそも四字熟語の語感として珍しく、文字が与えるイメージと実際の意味のギャップが面白いポイントです。
言葉の並びだけ見ると、ロボットのような感情のない心の状態を表しているように見えます。実際には策略・陰謀・偽りなど、ある意味とても人間らしい心の動きを表現した四字熟語です。
石部金吉(いしべきんきち)
石部金吉(いしべきんきち)とは、非常に物堅く生真面目な人、融通の利かない頑固者を指す四字熟語です。
四字熟語ですが、あたかも名前のような文字の並びであることが面白ポイントです。これは、石や金など硬いものを並べて架空の人名にすることで、非常に頑固な様子を表しているのです。
石部金吉は、単に真面目な人を指すだけではなく、真面目過ぎるというようにからかうニュアンスもあります。例文としては、「あんなに石部金吉では彼女ができないだろう」です。
なお四字熟語ではありませんが、石部金吉の堅物具合をさらに強調した、石部金吉金兜(いしべきんきちかなかぶと)という言葉もあります。
【面白い四字熟語】きっと聞いたことのある面白い四字熟語
テレビや漫画などで聞いたことのある、面白い四字熟語も見てみましょう。
極楽蜻蛉(ごくらくとんぼ)
極楽蜻蛉(ごくらくとんぼ)とは、重大な事態が起きても楽観的な人、ぶらぶらと遊びほうけている人をからかう言葉です。
人気お笑いコンビの名であるため、ただのコンビ名としての意味しかないと思い込んでいる方もいるかもしれませんが、実は古くからある四字熟語です。
「蜻蛉」は読み方が難しい漢字ですが、皆さんが見たことのある、あの昆虫のトンボのことです。トンボには、気楽で何もしない人という意味もあります。
極楽蜻蛉の使い方としては、「極楽蜻蛉で有名な後輩が、来週から私のもとで仕事をすることになった」「あの息子は極楽蜻蛉で心配だ」などです。
猪突猛進(ちょとつもうしん)
猪突猛進(ちょとつもうしん)とは、目標に向かって、脇目も振らずにまっすぐと突き進む様子を表した四字熟語です。
猪(いのしし)には、一度走りだすと簡単には曲がれないという性質があるとされていたので、その様子から「猪突猛進」という四字熟語が生まれました。なお実際には、猪は急な方向転換も可能です。
大きなブームを巻き起こした人気アニメ「鬼滅の刃」で、キャラクターの性格や口癖としても有名です。四字熟語をあまり知らなくても、猪突猛進は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
【面白い四字熟語】創作された四字熟語
四字熟語には、昔からある言葉だけではなく、近年になって創作されたものもあります。昔からある言葉だと思っている四字熟語も、実は創作された四字熟語である可能性もあるのです。
また住友生命では、「創作四字熟語」と題して、世相を反映した創作四字熟語を毎年募集し、入賞作品を選んでいます。
例えば2022年は、コロナ禍の水際対策の緩和により海外からの旅行客が再び来るようになったという意味の「遠客再来(えんきゃくさいらい)」、コロナ禍の規制が緩和されて久々に帰省できたという意味の「帰省歓輪(きせいかんわ)」、円安が急激に進んだという意味の「急円超下(きゅうえんちょっか)」などが選ばれています。
そもそも四字熟語とは?
そもそも四字熟語とは、漢字4文字で構成されている熟語のことです。
そのため、「高速道路」「雨天決行」など、ただ漢字4文字で表されているだけの熟語も四字熟語と言いますが、何らかの教訓や歴史を持つものに絞って四字熟語と呼ぶこともあります。
四字熟語の面白い響きや意味を覚えて、ネタにしてみよう
4つの漢字から一つの熟語が作られている四字熟語。見聞きしない漢字や読み方が多い場合もあり、難しいというイメージをお持ちの方もいるでしょう。
しかし、ご紹介したように四字熟語には面白いものも数多くあります。まずは面白い、気になると感じた四字熟語の意味や語源を覚えて、話のネタとしてストックしておくのもいいでしょう。