「嫁姑問題」という言葉があるように、お嫁さんと姑の関係は難しいものです。姑が何気なく発した言葉や、良かれと思って発した一言も、場合によってはお嫁さんを傷付けたり、怒らせたりしてしまいます。

本記事では、姑が嫁に言ってはいけないNGワードや、お嫁さんに嫌われないためのポイント、昔との違い、姑と嫁の仲が悪くなる理由などを紹介します。

  • 姑が嫁に言ってはいけない言葉とは

    姑が嫁に言ってはいけない言葉を、シーンごとに紹介します

姑が嫁に言ってはいけない言葉【夫に関すること編】

姑にとっては、自ら育てた息子はかけがえのない存在です。その一方でお嫁さんにとっても、共に家庭を築くパートナーとして、旦那さんはかけがえのない存在です。

年齢やこれまでの息子さんとの関係の長さから、姑の方が一般的には優位な立場になりがちですが、それが言葉に表れるとトラブルの元です。 そういったトラブルは、姑と嫁の関係のみならず、息子と嫁の夫婦関係、さらには姑と息子との親子関係を脅かす危険性があります。

早速、夫(息子)にまつわる、言ってはいけない言葉の例を見ていきましょう。

「あの子は~だから」

姑が「あの子は~」と言い出した場合、お嫁さんは「私の方が息子のことをよく知っているマウントだ」と感じてしまいます。

また、姑は子どもが結婚しても子離れできていないのではないか、とも感じます。

息子さんは既に自立し、お嫁さんと新たな家庭を築いていることを意識したいところです。いつまでも自分が息子の一番の理解者だとは限らないのです。

「息子のことならなんでも聞いて」

姑は、息子さんを育てた自分の方が、お嫁さんよりも息子さんのことをよく知っていると思いがちです。

しかしその気持ちをあからさまに出してしまうと、言い方や会話の状況によっては、息子さんをしっかりと理解できていないお嫁さんを遠回しに批判している、と受け止められることもあります。

「息子の好物を教えてあげるわね」

大抵の場合、これまで一緒に生活していた姑の方が、息子さんの好物について詳しい情報を持っています。

それでもこのような言い方では、お嫁さんの料理を否定する意図があると受け取られかねません。

さらに、「してあげる」という表現も恩着せがましく聞こえることがあります。

「うちの子、ちゃんとご飯食べてるの?」

もし息子さんがこれまで食事を抜くことが多かった場合、親としてはどうしても心配になるものです。結婚後きちんと食事をしているのか不安で、確認したくなるのも無理はありません。

しかし、このように唐突に聞かれると、お嫁さんの家事に対する批判と誤解されることもあります。

「息子に風邪をひかせないでね」

姑にとって、息子さんの健康状態はとても気がかりです。ただ、息子さんも子供ではないのですから、お嫁さんに「風邪をひかせない」責任はありません。

「息子は体が弱くて迷惑をかけるけど、どうかよろしくね」などと言いたいところです。

姑が嫁に言ってはいけない言葉【孫に関すること編】

  • 姑が嫁に言ってはいけない言葉【孫に関すること編】

    出産と育児に関する言ってはいけない言葉を取り上げます

息子さんが結婚すると、姑や舅は孫の誕生をどうしても期待してしまいます。期待が高まりすぎて前のめりになり、微妙な一言を発してしまうことがあります。

ここでは、孫に関するNGワードを紹介します。

「孫はまだ?」

息子さん夫婦にとって子を持つのか持たないのか、またそのタイミングは、あくまで二人が決めることです。仕事との兼ね合いやライフプランなど、あらゆることを含めて考えます。

子供を持つことにした場合も、その後順調に話が進むとは限りません。

非常にデリケートな事柄であり、あまり踏み込みすぎると、姑とお嫁さんのみならず、息子さん夫婦の関係にまで影響します。

どうしても確認したいときには、お嫁さんのいないところで、息子さんだけに確認しましょう。

「早く孫の顔を見たいわね」

前述の「孫はまだ?」と同様の表現です。聞き方次第で、息子さんとお嫁さんの関係まで傷付けてしまいます。

もしも不妊治療などの費用援助を考えていて、確認したいのであれば、言葉に注意しつつ、息子さんだけに聞いてみましょう。

また、もし二人が子供を持たない選択をした、あるいは望んでいたけれど授からなかった場合、それを責めたり、「子供を持つのはいいものよ」などと口にしたりするのは絶対にやめましょう。

「ちゃんと検査してる?」

先の「孫はまだ?」「孫を早く見たい」と似た表現です。

言い方にもよりますが、孫ができないことをお嫁さんの責任にしているようにも聞こえます。

そもそもプライバシーに踏み込み過ぎていてデリカシーの無い質問であり、控えた方がいい一言です。

「男の子を産んでね」

かつて、男子優先で男の子が望まれる社会が存在しました。しかし、本来は男の子であっても女の子であっても、子供の誕生は等しく喜ばしいことです。

たとえ過去には許されていた言い方でも、今では許されません。

そもそも男の子を産むように言われたところで、子供の性別は選べるものではなく、プレッシャーにしかなりません。こちらも絶対に控えた方が望ましい表現です。

逆に「女の子が欲しいわ」などの発言も同様にNGです。

「母乳で育てないの?」

母乳をはじめ、育児に関する口出しも問題を引き起こします。

姑が正しいと思っている方法でも、正しくない場合があり、また体質や環境の問題などで不可能なこともあります。

相談されたときのみアドバイスをするようにして、それ以外は、他の家庭の育児の仕方に余計な口出しをしないようにしましょう。

「孫がかわいそう」

姑の感覚や価値観から離れている状況を見て、つい事情を把握せずに「かわいそう」と口走ってしまうことがあります。しかしそのような状況になっているのには、何か考えや理由があるはずです。

意図的ではなかったにせよ、息子さんとお嫁さんのやり方や、2人で決めた子育てルールを批判することになり、お嫁さんだけではなく息子さんにも悪い印象を与えます。

干渉しすぎないように注意したいものです。

姑が嫁に言ってはいけない言葉【仕事に関すること編】

  • 姑が嫁に言ってはいけない言葉【仕事に関すること編】

    お嫁さんの仕事に関しても、言ってはいけないことがあります

お嫁さんが仕事をするのか、しないのかについても、口出しをするのは控えた方が無難です。

ここでは、仕事に関する言ってはいけない言葉を紹介します。

「仕事はまだ続けるの?」

総務省統計局による1980年~2001年の「労働力調査特別調査」、また2002年~2021年の「労働力調査(詳細集計)(年平均)」によると、もともとは夫と専業主婦の世帯が多かったのが、共働き世帯が徐々に増えていき、1991年~1999年ごろにはほぼ同数に、そして2000年以降は共働き世帯の方が多くなり、その差は2021年現在までどんどんと開いていきます。

1980年に夫と専業主婦の世帯が1,114万世帯、共働き世帯が614万世帯だったのに対し、2021年時点では、夫と専業主婦の世帯が566万世帯、共働き世帯が1,247万世帯と逆転しているのです。

このように時代によって多数派が変わるので、仕事に関して、お嫁さん世代と姑世代とで考え方が異なるのも当然とも言えます。

それでも、共働き世代が過半数である現代において、お嫁さんに仕事を辞めるよう迫る、あるいは迫っていると取られかねない発言をするのは、時代遅れと言わざるを得ません。

「働きながら家事(育児)、ちゃんとできるの?」

前述のように、以前とは異なり、夫婦で働き続けるのが過半数の時代です。夫婦でお互いに仕事を調整しながら、家事や育児をする必要があります。

そもそもお嫁さんだけが家事や育児をするのが当然という考え方から、意識を変える必要があります。

「この年齢から保育園に預けるの、かわいそう」

お嫁さんは、経済的なゆとり、自分のキャリアなどのために仕事を継続し、そのために保育園を活用しています。

結果として子どもを保育園に預けているだけで、育児を軽視しているわけではないのです。

それに、かわいそうかどうかは姑が決めることではありません。

「働かないの?」

姑が、お嫁さんが働くことに対して口を挟むだけではなく、逆に働かないことに対して口を挟むこともあります。お嫁さんに働くよう促すこともNGです。

働くか働かないかは、お嫁さん本人や、夫婦で決めることです。

また、体調の問題や育児の負担が大きい、夫の転勤に帯同することが多いなどの理由で、働きたくても働けないという場合もあります。

「専業主婦はいいわね」

「働かないの?」と似たような口出しです。言い方と状況にもよりますが、仕事をせずに家で楽をしていると考えているように取られて当然の言い方です。

お嫁さんとしては非難されている、皮肉を言われているように感じたとしても、不思議なことではないでしょう。

専業主婦は決して楽をしているのではなく、膨大な家事や育児、地域やPTAの活動などをこなしているのです。

「息子は働いているのに」

「息子は働いているのに」という言葉は、お嫁さんが働かずに家にいることを責めている、また息子さんのみに肩入れしているように聞こえます。

もし経済的なことが心配なのであれば、お嫁さんのいないところで息子さんに確認しましょう。

姑が嫁に言ってはいけない言葉【家に関すること編】

  • 姑が嫁に言ってはいけない言葉【家に関すること編】

    世代間の違いも、言ってはいけない言葉に影響しています

人はどうしても、自分のやり方を基準として、さまざまなことを判断しがちです。

加えて姑が専業主婦の場合、結婚後はほとんど家の中だけで生活してきたというケースもあるでしょう。その場合、最近の社会の変化に無頓着なこともあります。

今日、さまざまなハラスメントに厳しい目が向けられています。特に、自らを基準に相手を否定する言い方は許されません。

「お嫁さんってそういうものよ」

姑の「そういうもの」が、お嫁さん世代でも共有されているとは限りません。「常識」あるいは「ルール」は時代の変化とともに変わります。

また姑が持っている常識が、時代に関係なく、そもそも狭い世界だけのものだった可能性もあります。

自分の価値観を押し付けるのは避けましょう。

「お母さんに習わなかった?」

「習わなかった?」と指摘した内容について、お嫁さんの実家のお母さんが教えなければならないことを前提としています。そこに間違いがないのか気になるところです。

さらにお嫁さんにとっては、自分だけではなく自分の母親が批判されているように聞こえるため、かなりの地雷ワードです。

「うちのやり方に従ってね」

仮に自分が嫁いだときは、嫁いだ先、姑のやり方に従うように求められていたとしても、それと同じことをお嫁さんに強制していいことにはなりません。

「夫の家に嫁ぐ」という感覚は、もう過去のものです。息子さん夫婦は「別の家」と考えましょう。

「うちとは違うのね」

「うちとは違うのね」は、何気なく出てきそうな言葉です。言い方にもよりますが、「うち」が正しい、そしてお嫁さんやお嫁さんの実家のやり方は誤り、という意識があると思われるかもしれません。

実際にその意識があるとしたら、さらにこじれる元です。

個々の家庭には、考え方や家事のやり方に大なり小なり違いがあり、千差万別です。どちらが正しいのか、ということはありません。

「それって、あなたの地方ではそうなの?」

個々の家庭で違いがあるように、生活している地域によっても差異は存在します。差異があると述べるだけなら問題はありませんが、相手の風習を下に見たり、必要以上に奇異な扱いをしたりすれば、お嫁さんはいい気がするはずはありません。

「そっちのやり方を楽しんでみようか」あるいは「こっちのやり方も試してみて」といったフォローがあると、誤解を防げます。

「お家がご苦労されてたものね」

言い方や状況にもよりますが、育った家庭をばかにされているように聞こえてしまいます。「育ちがよくない」あるいは「品がない」と言われるのも同じです。

お嫁さんは苦労してきたのだな、と思ったのなら、「お嫁さんやご両親が頑張ったんだよね」と言いたいところです。

姑が嫁に言ってはいけない言葉【好きなこと・趣味に関する編】

  •  姑が嫁に言ってはいけない言葉【好きなこと・趣味に関する編】

    趣味、嗜好は人により千差万別です

好みは人それぞれです。価値観の違いに配慮して、相手の趣味や嗜好(しこう)には干渉しないようにしましょう。

好きなこと・趣味に関するNGワードを紹介します。

「家具や家電はうちでそろえてあげるわね」

結婚し、新居で夫婦が暮らし始めるというときには、家具や家電をそろえる必要があります。金銭面の負担を心配し、このように申し出をしたいと考える気持ちも分かります。

ただ、お嫁さんを含む人間には、それぞれ好みがあります。長く使うものだからこそ、デザイン、機能など、実際に使う人が納得したものをそろえたいはずです。

押し付けるのではなく、選択肢として「うちでそろえることもできるよ」と伝えたいところです。間違っても、勝手に買ったものを送り付けるなどということのないようにしましょう。

「このシャンプー(化粧品)、使ってみて」

シャンプーや化粧品など、肌に触れるものは、個々人の肌との相性を考えなければなりません。

姑にはよくても、お嫁さんには合わない、場合によってはアレルギーで炎症を起こす場合もあります。

良かれと思って、使うことを無理強いしないようにしましょう。

「この服が似合うわよ」

衣服や靴、バッグなどのファッションは、個人の嗜好が大きく影響します。姑の嗜好が、お嫁さんの嗜好と合わないことは大いにあります。

また、ファッションは時代とともに変化します。

お嫁さんが着るものに対して、口出しするのは避けましょう。自分のお下がりを押し付けるのも考え物です。

「ヨガなんて効果あるの?」

ヨガに限らず、お嫁さんが好きでやっている趣味や娯楽を、ネガティブに言うのは避けましょう。

お嫁さんからすれば、放っておいてほしい、好きにさせてほしい、と思うはずです。

「そんなに痩せていたら出産で苦労するわよ」

誰しも、他人から体形について指摘を受けることは、精神的に大きな負担になります。

出産の話が絡むとさらに微妙です。控えるべき表現です。

姑が嫁に言ってはいけない言葉【同居・介護・帰省に関すること編】

  • 姑が嫁に言ってはいけない言葉【同居・介護に関すること編】

    家族観の違いが、言ってはいけない言葉に影響します

以前と異なり、現在では核家族が一般的です。介護に関しても、「嫁の仕事」という概念は古い考え方です。

以下のような、時代の変化に気付かない発言は、相手をもやもやした気持ちにさせます。

「一緒にいたら助けてあげられるのに」

「一緒にいたら助けてあげられる」と言われると、お嫁さんは同居を迫られているように感じます。

現実に困っている状況であれば話は変わりますが、その場合もあくまでも、お嫁さんが助けを求めていることが前提です。

「最後は面倒を見てもらうんだから」

人間誰しも、最期に近づくにつれて、他人の手を借りることが増えます。特に姑にとってはそこまで遠くない将来の話です。

ただ、嫁いだばかりの時期にこの話を聞かされても、頭を整理できません。加えて多くの場合、お嫁さんは自分の実家の親の面倒も見なければならず、この言葉は重すぎます。

介護に関しては現在、全てを家族が行うのではなく、外部のサービスを利用することもできます。また在宅介護だけではなく、施設へ入居するなど、介護の形は多様化しています。

「自分の介護をしてもらうことは当然の決定事項」というような物言いは、避けた方がいいでしょう。

「~さんのことは実の娘だと思ってるのよ」

姑からすると、お嫁さんに対する、親しみを込めての言葉でしょう。

ただ、言い方や状況によっては、お嫁さんにプレッシャーを与えます。さらには、束縛と捉えられることもあります。

「いつ帰ってくるの?」

息子夫婦の帰省や、孫に会うことを楽しみにする気持ちは理解できます。

ただ、お嫁さんにとって旦那さんの実家は「他人の家」であり、気の休まる空間とは言い難いのが実情です。

「いつ帰ってくるの?」とプレッシャーを与えるのではなく、「暇なときにでも帰っておいで」と言いたいところです。

「ご実家にはずいぶん遊びに行ってるのね?」

「ご実家にはずいぶん遊びに行ってるのね?」という言い方では、自分の家に来ないことを責めているように聞こえます。

しかしお嫁さんにとって、自分の実家は生まれ育った場所です。実家でしかできないこともあり、実の両親とは気を遣わずに話せるでしょう。

一方で姑と舅の住んでいる旦那さんの実家は、どこまで行っても他人の家でしかありません。実家の方に足が向きがちなのも当然です。

「いつでもいいから、こっちにも遊びにおいで」などと言いたいものです。

昔と現代における嫁姑関係の違い

以前は3世代家族も多く、結婚後に専業主婦となったお嫁さんは、姑のもとで嫁いだ家の家事をこなすケースもよく見られました。

その場合、大抵のお嫁さんは姑の意向に従って家事をすることになり、出産後は育児も姑のもとで行っていました。

しかし今では核家族が増え、義理の親と同居せず別居することも多くなりました。そのため舅と姑の家、そして息子とお嫁さんの家がそれぞれ独立し、別の価値観・やり方で暮らすことが多いと言えるでしょう。

姑と嫁の仲が悪くなる理由は?

姑とお嫁さんは、息子さん(旦那さん)を取り合う、潜在的なライバル関係にあると言うこともできます。

さらに、両者の属する世代の違い(年齢の差)が、価値観の違いにつながるとも考えられます。

特に今の姑世代は、数十年前に退職し専業主婦として家庭に入った後、社会の大きな変化を身近に感じる機会が少なかった人も多いでしょう。

その結果、仕事をしていたり、若い世代同士で情報交換をしたりしているお嫁さんとの間で、意識と価値観の違いが大きくなり、両者の関係に好ましくない影響を与えている可能性があります。

お嫁さんに嫌われるのを防ぎ、末永く良好な関係を築こう

この数十年で、わが国における社会の環境や経済環境は大きく変化しています。それに伴い、姑世代の常識が、お嫁さん世代では通用しないことも多くなりました。

自分の価値観を押し付けることは避け、お嫁さんを適度な距離で見守ることで、お互いに末永く良好な関係を築きましょう。