Insta360の超小型アクションカメラ「Insta360 GO 3」が登場しました。親指サイズの小型カメラで、マグネットマウントを含めた自由度の高い使い勝手や高度な手ブレ補正など、独特のスタイルを実現したカメラの3世代目となります。
今回新たに、カラー液晶ディスプレイを搭載した「アクションポッド」が標準で付属し、普通のアクションカメラのようにも使えて使い勝手が向上しました。
小さくても本格的なアクションカメラ
親指のような細長いデザインとサイズのアクションカメラである「GO」シリーズは、背面にマグネットを搭載し、さまざまな場所に張り付けて撮影できるほか、付属の磁気ペンダントを服の下に入れて、服の上からGOを張り付けて装着できるなど、自由度の高い撮影ができることが特徴です。
本体はレンズが付いただけのシンプルなボディ。本体を押し込むことで動画撮影の開始、停止などが行えるので、気軽に撮影できるのも特徴です。初代GOでは短時間の動画しか撮影できなかったので、繰り返し撮影するような使い方でした。
GO 2でも長時間撮影はできなかったのですが、GO 3ではいよいよこの動画の記録時間の制限がなくなりました。バッテリー持続時間もGO 2から50%延長したそうで、連続45分の記録が可能とされています。後述するアクションポッドに装着すると、170分間の連続撮影に対応したそうです。
動画性能も向上。GO 2では最大解像度が1440P止まりでしたが、2.7K解像度の撮影が可能に。撮影機能でも、新たにプリ録画、ループ録画、予約録画の3モードが追加されています。特に予約録画は、指定した時間にGO 3が自動起動して撮影を開始するので、「日の出のタイムラプスを撮影する」なんて時に自動で録画してくれます。
全体的に撮影機能は向上していますが、基本的な撮影方法は従来通り。磁気ペンダントで胸に装着するなどして普段持ち歩き、撮影時には本体を押して動画撮影。撮影したらもう一度押してオフにする、という手軽さがメリットです。
常にカメラを構えているようなものなので、ワンタッチで自分目線のライフログをいつでも撮影できます。ループ撮影機能もあるので、ある意味ドラレコのような“歩きレコ”ができそうです。
ついにカラー液晶ディスプレイと合体できるように
カメラの基本性能以外だと、充電ケースが毎度進化しているのも特徴です。初代GOは単なる充電ケースで、かつスマートフォンと接続して撮影データの転送をするためのアダプターとしての役割でした。
GO 2では、充電ケースかつリモコンの役割も搭載。三脚のように自立できるようになりました。リモコンとして撮影モードの切り替えなども可能で、そのまま手に持って自撮り撮影もしやすくなって、使い勝手が向上しています。
そして第3世代目の今回は、「フリップ式タッチスクリーン付き多機能アクションポッド」となりました。いよいよ待望のカラーディスプレイを搭載しました。無線で接続する点は変わりませんが、まるで普通のアクションカメラのような見た目でディスプレイを見ながら撮影できます。
タッチパネルを利用した撮影モードの切り替えなどの操作も可能。シャッターボタンを押して撮影もできます。もちろん、本体だけを取り外して、リモコンのように離れた場所でディスプレイを見ながら撮影をすることも可能。従来はスマートフォンを使わなければできなかった撮影が、本体とアクションポッドだけでできるようになりました。
ディスプレイはフリップしてレンズ側に向けることもできます。要はライブビューを見ながら自撮りができるため、使い勝手は大幅に向上。ワンタッチで撮影開始する手軽さと、ちょっと気を使った撮影の双方に対応できる、利便性の高いカメラに進化しています。
アクションカメラとして一般的なデザインなので、平面に設置して撮影することも可能です。底面に三脚穴はありませんが、マグネットを内蔵していて、マグネットマウントを備えたクイックリリースマウントなどが用意されています。
これを使うことで、アクションポッドに装着した状態でも、取り外した本体単体でもマグネットマウントに固定して三脚などで固定できます。アクションポッドは充電ケースとしての役割や外部バッテリーとしての機能も果たすので、GO 3本体のみで撮影しつつ、撮影のたびにアクションポッドに戻せば、自動的に充電されて、長時間の撮影が可能になります。
GO 3単体では水深5mの防水性能を備えています。アクションポッドはGO 3を装着した状態ではIPX4の防滴機能を備えます。GO 3単体なら海に潜っての撮影も可能ですが、アクションポッドと併用した場合は雨の中での撮影ぐらいにとどめておきましょう。基本的に、ハードなアクションカメラとしての利用はGO 3単体で撮影する想定のようです。
撮影データを再生する機能も見逃せません。これまで、スマートフォンに接続しないと撮影データの確認はできませんでしたが、アクションポッドのディスプレイでデータの再生も可能です。
ちなみに、GO 3とアクションポッドの接続は、ライブビューまではBluetoothを使い、再生の段階になって無線LANで接続しているようです。そのため、ライブビューは5m程度の距離が推奨されています。また、再生モードになると無線LAN接続になるので少々時間がかかります。ただ、スマートフォンを使わずに気軽に再生できるのはメリットです。
なお、アクションポッドの操作は、同社のアクションカメラ「Insta360 ONE」シリーズなどとほぼ同等です。上から下へのスワイプでメニュー表示、左右スワイプで撮影モード切り替えになります。画面の左端から右へのスワイプで再生モード、右端から左へのスワイプでシャッター速度などのマニュアル操作、下から上へのスワイプで録画解像度やアスペクト比、フレームレートの切り替えとなります。
ディスプレイ自体は2.2型と決して大きいわけではなく、実際のところ、Insta360の他のアクションカメラのように、スマートフォンに接続して撮影した方が操作はしやすいのですが、全般的な反応はそれほど悪くないので、単体で画面を見ながら操作できる手軽さは強みです。
強力な手ブレ補正、強化された撮影機能
小型ボディながら、アクションカメラとして強力な手ブレ補正も健在です。通常の動画撮影では2つのモードがあり、「FreeFrame動画」と「動画」から選択します。FreeFrame動画は、従来「プロモード」と呼ばれていたもので、Insta360アプリでの後編集を前提にしたモードです。
本体を回転させても水平が維持される強力な水平維持機能、アスペクト比やアングルを調整する機能など、より本格的に編集したい場合に最適です。動画モードは、最大2.7K/30fpsでの撮影に対応したモードで、3レベルのFlowState手ブレ補正から選べます。アプリから書き出しをせずに、そのまま他のアプリなどでも利用できるため、汎用性が高いモードです。
GO 2やほかのアクションカメラと同様、スマートフォンと接続して撮影データを確認し、必要に応じて編集して、スマートフォンに出力する、というのが一般的な操作でしょう。GO 3でも操作は同様で、Insta360アプリを利用します。
このアプリ自体はInsta360の他のアクションカメラや360度カメラでも利用しているので、既存ユーザーならいつものように使えるでしょう。AIを使った編集機能なども搭載されています。
ほかにも、マイクの数もこれまでの1つから2つになって音質が向上。128GBモデルも用意し、より長時間の録画も可能になりました。全体的に順当なアップデートと言えますが、アクションポッドのおかげで使い勝手が一段と向上しています。
一般的なアクションカメラ並みのタフネス性能はないので注意が必要ですが、カメラ機能としてはアクションカメラレベルになっています。GOシリーズの良さは、本体をタッチするだけで気軽に撮影できる点でしたが、この手軽さは維持したまま、より遊べるカメラに仕上がっています。
個人的には、小型で紛失しやすそうなボディなので、そろそろ紛失トラッカーのAirTagのような機能も搭載してほしいと感じます。スマートウォッチのwena 3には「MAMORIO」機能が搭載されているので、GOシリーズでも対応できなくはなさそうではあります。
いずれにしても、こうした特徴的な製品を投入するだけでなく、継続してくれるところにInsta360の強みはあるでしょう。今後の製品展開も期待したいところです。