映画『水は海に向かって流れる』(公開中)の舞台挨拶が25日に都内で行われ、主演の広瀬すずと前田哲監督が登壇した。

  • 映画『水は海に向かって流れる』の舞台挨拶に出席した広瀬すず

同作は田島列島氏による同名漫画の実写化作。高校への通学のため、叔父の家に居候することになった高校1年生の直達(大西利空)は、親に黙って脱サラしたマンガ家である叔父(高良健吾)、女装の占い師(戸塚純貴)、海外を放浪する大学教授(生瀬勝久)、そしてどこか冷めていて笑わない26歳のOL榊さん(広瀬)と、曲者揃いの人物とシェアハウスで暮らすことになる。共同生活を送るうち、日々を淡々と過ごす榊さんに淡い思いを抱き始める直達だったが、「恋愛はしない」と宣言する榊と自分との間には思いも寄らぬ因縁があることを知る。

イベントでは、広瀬と前田監督が撮影についてフリートークを展開。海のシーンでは日の出の一瞬を撮影するために、スタッフ、広瀬ともに前日の夜中から準備をしていたそう。

撮影で真冬の1月の海に入った広瀬に、前田監督が「冷たかったんですよね……?」と問いかけると、まさかの質問に驚いた広瀬は「冷たいですよ! 1月ですよ!? 早朝ですよ!?」と信じられないといったリアクション。水温が気温より高かったという前田監督の弁明に対しても、「全然っ! 手くらいだったら大丈夫ですけど、ここ(腰あたりを指しながら)まで浸かっちゃたら、いぃ~! って」と寒さを表現し、過酷な撮影を振り返った。

また、劇中では学生服姿も披露している広瀬。前田監督から「まだ全然いけますね! 高校生」と言われると、「もちろんです! なにを言うんですか!」と自信をのぞかせる場面も。前田監督から「やる気満々やん」とツッコまれ、笑顔を見せた。

今回のイベントは、集まった観客からの質問に直接答えるティーチイン形式で実施。「いちばん生っぽさを感じた瞬間・シーンは?」という質問が寄せられると、広瀬が勢いよく挙手して回答。「直達くんと感情的なやり取りをするシーンのときに、予定されていたところでカットがかからなかったんですけど、そういうときにぐわっと上がってくるタイプ」と明かし、「自分の中でも“あ、今”と思う瞬間があって、監督も気づいてくれていたのかな……」と視線を送ると、前田監督は「気づいてましたよ~」と返した。

続いて、「ロケで思い出に残っていることは?」という質問に、広瀬が「旅館のシーンで、いつもお弁当だったんですけど、旅館のご飯を……」と話し始めると、前田監督が「えっ!」と反応。広瀬は「あ、監督は食べてないわ! やばっ!」と慌てた様子を見せ、「私と利空くん、マネージャーさんたちは旅館のおいしい豪華なお膳を。おいしかったです」と申し訳なさそうに語る。前田監督は「新鮮な海産物を食べたんですね。あそこは海の近くですから。私は冷えたお弁当を……」と恨み節で会場の笑いを誘った。

最後に、「撮影したのは1年半前ですが、私もいまだにお風呂に入りながら作品を何回も観ています」と告白した広瀬。「すごく人間らしく感情のままに役として過ごせた時間でした」と当時を思い浮かべながら、「みなさんに寄り添ってくれる作品になってますので、多くの方に届くことを願っています」と同作に込めた思いを伝えていた。