Avidはデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)「Pro Tools」において「2023.6ソフトウェア・アップデート」の提供を開始した。これには、トラック・マーカー、最大9.1.6および7次Ambisonicsの新しいトラック幅、イベント操作ウィンドウの改善、96kHz Dolby Atmos ADMサポート、Pro Tools | Carbonサラウンド・モニタリング、スクリプティングSDKアップデートなどが含まれている。サブスクリプションならびに、永続版ライセンスで有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランに加入しているユーザー、すべてのPro Tools Introユーザーは無償でアップデートが可能。

  • 「Pro Tools 2023.6」

新しく加わったトラック・マーカー機能は、トラック上の特定の場所に印をつけたり、トラックのオーディオに含まれるダイアログや歌詞を参照したり、編集内容をメモするといったことが行え、編集時にクリップとともに移動することもできる。デフォルトではトラック下のレーンにあり、フォルダを含むすべてのトラックタイプのマーカー表示のクリップに追加可能。フォルダでは、マーカー・ラインはフォルダ内のすべてのトラックにまたがって表示されるため、ポジションやそれらに関連する重要なコメントを記すのに役立つ。トラック・マーカーには、コマンドキーでトラックにマーカーを追加できるターゲティング・システムが含まれており、テンキーのEnterを使用してタイムライン・マーカーを追加する既存のワークフローはそのままに、Command+テンキーのEnterを使用して、ターゲット・トラックにマーカーを追加できるようデフォルト設定がなされている。トラックとルーラーのマーカーには、16色から選んでカラーを割り当てられる。選んだカラーはマーカー・アイコンとラインに反映され、カラーをレーンの背景色と合わせることもできる。色を自動的にランダムで割り当てるオプションもあり、トラックおよびタイムラインの区切りを示すのに利用できる。さらにAvidのビデオ編集ソフト「Media Composer」のトラック・マーカーにも対応。Media Composer(バージョン2022.12以降)で生成されたPro Toolsセッションには、対応するトラックにマーカーが含まれるようになる。カラーは同じものが使用され、Media Composerの場合は、重要な情報をコメントに入れることが多いので、デフォルトでコメントが表示される。

また、イベント操作ウィンドウのUIとUXが改善され、MIDI機能の向上、ツールバーのクオンタイズ・コントロールのフォローアップとして、使用可能なすべての機能が単一のウィンドウに、セクションごとにドロップダウンで表示できるようになり、各セクションに適用(Apply)ボタンを用意。パラメーターは、より論理的になるように再編成され、セクション間の表現の不一致が解消されている。

  • イベント操作ウィンドウのUIとUXを改善

Pro Tools StudioとUltimateでは、新しいトラック幅とバス幅が導入され、Pro Tools Studioでは5.0.2~7.1.6ch、Ultimateでは5.0.2~9.1.6chおよび4次~7次Ambisonicsに対応する。これはDolby Atmosミックスのモニタリングを簡素化するために導入したとのことだ。この機能の追加により、レンダラーからの信号の受け渡しや、リレンダリングのインポートと再生が簡単になるという。また、以前は1つのビデオトラック上にMOVまたはMXFビデオのどちらか一つしか表示できなかったのが、混在が可能となった。

  • パンナーも9.1.6chまで対応

そのほか、MIDIエディタの改善、ブレイクポイントへタブ移動の設定、ガイド付きオーディオ・デバイスの設定などの機能が追加され、Pro Tools | Carbonのサラウンド・モニタリングが最大7.1.2chに対応している。