米Dropboxは6月21日(現地時間)、AIを活用した新機能「Dropbox AI」と「Dropbox Dash」を発表した。Dropbox AIは、ファイルの内容を要約し、質問に答える機能であり、今年急速に注目を集めている対話AIを取り入れている。Dropbox Dashは、ユーザーが日常的に使用しているWebツール、コンテンツ、アプリを1つの検索バーでつなぐ、インテリジェントなユニバーサル検索を提供する。Dropboxの新たな展開として注目を集めている。

Dropbox AIは、ファイルプレビューにAIを適用した機能だ。契約書やサービス利用規約のような長い文書、会議の録画など、全体を確認するのに時間がかかる大きなファイルでも、ワンクリックで素早く簡潔な内容の説明を作成してくれる。さらに内容に関して、自然な言葉で質問できる。例えば、契約書の期限を知りたい時にこれまでは「契約期間」や「有効期限」といったキーワードを入れて手作業で検索していたが、そうした手間なく、Dropbox AIでは「契約が切れるのはいつ?」と質問するだけで、すぐに回答を得られる。

Dropbox AIはアルファ・サービスとして、21日から米国のProfessional加入者が利用できるようになり、チーム向けサービスの一部の顧客へのテスト提供も開始する。今はファイルが対象だが、将来的にはDropboxフォルダ、Dropbox全体についても質問できるようにする計画。

Dropboxは2008年に、クラウドストレージをハブに複数のPCの間でファイルを同期するサービスを開始した。それまでは、複数のPCを使っていると必要なファイルがどのPCにあるか分からなくなることが度々起こっていたが、Dropboxに必要なファイルを入れておくことで、使用している全てのPCで同じようにアクセスできるようになった。

今、私達は新たな問題に直面している。「仕事はファイルやフォルダーだけを扱うものではなくなりました。以前はデスクトップに100個のファイルが散らばっていたのが、現在はブラウザ上に100個のタブがあり、Googleドキュメント、Airtable、Notionドキュメント、今日使用している他のクラウドツールが表示されています」とDropbox CEOのドリュー・ヒューストン氏は述べる。

そうしたツールは優れた生産性を与えてくれるが、便利なツールが増えたことで、それらに情報や作業が埋もれて見つけられなくなる。「色々な意味で、私がDropboxを始めたきっかけと同じ種類の問題に戻ってしまったように感じます」とヒューストン氏は指摘する。

Dropbox Dashは、AIを活用したユニバーサル検索エンジンだ。「Googleがパブリックな情報の検索ボックスのニーズを満たしたように、私達はプライベートな情報のための検索ボックスを必要としています」とヒューストン氏。

Dashは、Google Workspace、Microsoft Outlook、Salesforce、HubSpot、Asana、Notionなど主要なプラットフォームとの接続をサポートし、1カ所で検索できるようにする。機械学習によってユーザーの作業を学習して結果を改善し、コンテンツの共有、ミーティングへの参加、同僚が共有したデッキの検索といった作業でアプリ間を行き来するような手間を省略できるようにサポートする。

Dashには「スタック」と「スタートページ」という2つの追加機能が用意されている。

スタックは、リンクやクラウドコンテンツに不足している組織レイヤーをスマートに提供するコレクションだ。クラウドサービスの長所の1つが共有とコラボレーションだが、共有には制限があり、多くの場合は1度に共有できるリンクが1つに限られる。ファイルをフォルダにまとめ、音楽をプレイリストにまとめられるように、スタックはリンクをコレクションとして保存・整理するコンテナの役割を担う。保存・整理を全て手作業で行うのは負担になるが、スタックは機械学習によるスマートな提案を表示し、コレクションの整理を支援する。

スタートページは、Dashユニバーサル検索ボックス、スタック、最近の作業へのショートカット、ミーティングの管理などを一箇所で見渡せる作業用のダッシュボードだ。スタートページには重要な作業が記録され、中断した作業をスタートページから再開できる。気を散らすタブを避けて仕事に集中するといった使い方にも役立つという。

Dashは規模を制限したベータ版(対応言語:英語)として提供され始めており、Dashのサイトで順番待ちリストへの登録を受け付けている。