明治大学農学部生命科学科動物生理学研究室の中村孝博専任教授らの研究グループは6月19日、「長日環境と性周期」に関する研究結果を発表した。それによると、季節繁殖動物ではない動物においても、長日環境下で性周期が安定することが明らかになったという。
実験には、ヒトと同じく、1年中繁殖が可能である周年繁殖動物であるマウスを用いて行われた。
まず、サーカディアンリズム(概日リズム)の主要な時計遺伝子であるPer1, 2, 3が壊れている遺伝子欠損マウス(Per1/2/3 KOマウス)を用い、通常の照明条件(12時間明期:12時間暗期)下で飼育したところ、雌性Per1/2/3 KOマウスの性周期は不規則であり、5%のマウスしか正常である4日間(または5日間)の性周期を示さなかった。しかし、14時間明期:10時間暗期という1日のうち2時間明るい時間を長くする長日環境条件で飼育すると、38%のマウスが正常である4日間(または5日間)の性周期を示すように。
同様に、遺伝子が欠損していない野生型マウス(C57BL/6Jマウス)を用いて実験を行ったところ、12時間明期:12時間暗期の照明条件では47%のマウスが正常である4日間の性周期を示したが、残りは不規則な性周期で回帰。このマウスを長日環境下で飼育したところ、正常な4日間の性周期を示すマウスが68%まで増加。遺伝子を操作していないマウスにおいても、長日環境は、性周期の期間を短縮および安定させることがわかった。
今回の実験では、周年繁殖動物であるマウスにおいても、長日環境下で飼育することにより、繁殖効率が上がることを確認。このことから、女性においても、光環境周期を調整しサーカディアンリズムの適応をはかることにより月経周期が安定し、より妊娠しやすい体になる可能性が示される結果となった。