リビングや個室などで、いつでも冷たい飲み物を楽しめるセカンド冷蔵庫・冷凍庫が人気です。注目の家電ということで、ここ数年でさまざまなタイプが登場しています。
中でも2023年4月発売のシャープ「グルメクール FJ-HM7K」(以下、グルメクール)はユニークで実用的。「冷凍」「冷蔵」だけでなく「微凍」という温度帯も設けており、右開き・左開きのどちらにもできる「つけかえどっちもドア」を搭載。惹かれたので、試してみることにしました。
豊富な温度帯でユーザーが保存する飲み物や食品に合わせて設定できる
まずは外観。前面のドアは、インテリアになじみやすいスタイリッシュなメタリックグレーのメタルドアです。家具とのバランスを考えて本体の高さを77cmに抑えており、リビング、ダイニング、書斎などでも設置しやすいサイズです。
幅は49.5cmで奥行きは59.8cm。リビングにある一般的なカウンターの奥行きは45cm程度までのものが多いので、実際に置いてみると前に少しはみ出る印象です。奥行きが84cmある我が家のソファの横に置くとちょうどいいサイズでした。
定格内容積は72Lでたっぷり入ります。可動式の棚板が2枚付属しており、上段と中段の棚は2段階(5cm)で高さを変えることができます。棚は清潔感のあるガラス棚を採用。一番下には引き出し式のカゴもあります。
カゴは、奥側を少し持ち上げると外れるようになっています。一般的な小型冷凍庫には引き出しを引くとそのまま抜けてしまうものもありますが、グルメクールは一定の場所できちんと止まります。セカンド冷凍庫の引き出しは小さいので軽く、外れることも多いものです。グルメクールのカゴならストレスがありません。小さいセカンド冷蔵(凍)庫としては、このような配慮は珍しい部類なので感心しました。
グルメクールの冷却方式は、霜取りが不要なファン式です。庫内の温度帯は「冷凍」に加えて、「微凍」「冷蔵」に切り替えられます。モードそれぞれで3段階の温度設定を用意しており、冷凍モードが-21℃/-18℃/-15℃、微凍モードが-7℃/-5℃/-3℃、冷蔵モードが0℃/3℃/6℃という全9段階です。
特に珍しいのは「微凍」モード。-5℃の温度は、日本酒に向くとされる温度帯です。とっておきの日本酒をグルメクールに保存して、日々楽しめるわけです。生活スタイルや季節に合わせて9種類の中から温度帯を選び、使い道をユーザーが自由に決められるのはとても重宝します。
シャープ製ということで、プラズマクラスターユニットも搭載。冷蔵モードでは庫内の浮遊菌や付着菌の繁殖を抑え、清潔さを保ちます。運転音はスペック上で23dB。今回はリビングに置いて使ってみたところ、音に関しては静かで気になりませんでした。
また、リビングに置くと上にコーヒーメーカーなどを乗せたくなるものです。グルメクールの上面は耐熱100℃のトップテーブルを採用しているので、コーヒーメーカーや小型の電子レンジも安心して乗せられます。
アッという間にドアの開閉方向を変えられる「つけかえどっちもドア」が便利
何よりユニークなのは、左右どちらの開き方にも対応できる「つけかえどっちもドア」です。工具を使わず、簡単にドアの左右開きを変更できます。
引っ越しのときはもちろん、部屋の模様替えをするときも安心です。ズボラ主婦としては、ソファの横に置いた場合、座ったままで飲み物などを取り出したいのです。座ったときに手前側からドアが開かないと、立ち上がって少し移動して中の食品を取る必要があるので避けたいところ。左開き・右開きのどちらにも変えられるのはとても魅力的でした。リビングなどで使う冷蔵庫は、やはり使い勝手も大事になるわけですが、これならどこに置いても問題なく使えます。
ドアの付け替えは、実際にやってみると想像以上に簡単。最初に電源プラグを抜き、天面にあるカバーを外します。
次にドアを止めてある軸を上に引き抜きます。マイナスドライバーを使うと簡単に外せました。このとき、ドアは閉めて作業します。軸は扉を留めている本体の上と下にありますが、これは上の軸となります
軸(上)を外すとドアに穴が空いてしまうので、反対側にある「穴カバー」を移動します。これは手で取り出しにくいので、マイナスドライバーで端の部分を押すと簡単に外れました
続いて、ドアの下部分を支えている軸(下)を反対側に移動させ、ドアをはめるだけ。最初は取扱説明書を見ながら3分ほどかかっていましたが、次からは1分くらいで付け替えられるようにました。扉は軽く、サイズも小さいので女性でもラクに作業できるでしょう。
これで、ソファのどちらに置いても座ったまま飲み物などを取れます。グルメクールは座って出し入れするのにちょうどいい高さで、模様替えをしても安心です。置く場所を変えても、ストレスなく使い続けられそうですね。
あふれた食品を入れるサブ冷蔵(凍)庫で使うのはもったいない
先述の通り、カラーはセカンド冷蔵(凍)庫としては珍しいメタリックグレー。セカンド冷蔵(凍)庫はホワイトが主流ですが、落ち着いたカラーリングでリビングにもなじみます。ドア素材のダークメタルは金属のギラギラした感じはなく、高級感があり、実勢価格が77,000円と高価なのも頷けます。
ただ、残念に思ったのはSHARPのロゴと、プラズマクラスターのロゴ。他社を見ると高価格帯のセカンド冷蔵(凍)庫は、あえてロゴなどを目立たせないデザインにしているものが多いのですが、グルメクールは遠目でも目立ちます。好みもあるかもしれませんが、もう少し主張を抑えてくれたほうが、家具に調和しますし、家電っぽさを消せるのではないでしょうか。
電気代をチェックすると、スペック上では年間消費電力量が277kWh/年で、2021年の省エネ基準で100%を達成しています。シャープの大型冷凍冷蔵庫で最上位モデルとなる「SJ-X508K(502L)」は291kWh/年なので、比べると差は14kWh/年しかありません。
冷蔵庫は大きいほど電気代が高いと思われがちですが、最新の設計や技術を投入している大型冷蔵庫は、大容量から受ける印象ほど電気代が高いわけではありません。また、小型冷蔵庫の中に食品をたくさん入れると、冷気が効率的に行き渡らなくなって電気代のロスにつながることもあります。グルメクールに限らず、このクラスのセカンド冷蔵(凍)庫は、最新の大型冷蔵庫と同じくらいの電気代がかかることを頭に入れておく必要があります。
最近はいろいろなタイプのセカンド冷蔵(凍)庫が登場していますが、グルメクールに関しては、あふれた食品を保存するサブ冷蔵(凍)庫として使うのはもったいない製品です。お風呂上がりに冷たいビールを飲んだり、アイスクリームを食べたり、冷たいものをサッとリビングや個室で楽しんだり――といった使い方にぴったり。特に「微凍」モードで-5℃の設定を用意しているなど、細かい温度管理ができるコンパクトな冷蔵(凍)庫は珍しいのです。ユーザーの嗜好やライフスタイルに合わせて、さまざまな使い方に応えてくれるでしょう。
グルメクールは、左右両開き対応のドアや冷蔵・冷凍のハイブリッド仕様など、小型冷蔵(凍)庫の中では群を抜いて高機能。さらに使い勝手もよく、デザインも上質なので、ぜひ家電量販店などで実物を見てほしい製品です。