レクサスは電気自動車(バッテリーEV=BEV)のオーナー向けに専用の急速充電ステーションを開設した。これから全国に約100カ所を設置する計画の第1弾で、場所は「東京ミッドタウン日比谷」(千代田区)だ。60日前から予約が可能になるなど特典はいろいろだが、おもてなしの中身とは?
充電の待ち時間をポジティブに
レクサスは「LEXUS Electrified Program」(LEP)加入者向けとして、2030年までに約100カ所の急速充電ネットワークを整備していく方針。今回の施設が第1弾で、2023年内には「軽井沢コモングラウンズ」(長野県北佐久郡軽の複合施設)にも開設予定だ。
LEPはBEVにまつわるユーザーの不安解消とレクサスならではの体験価値提供を2本柱とするサービス。レクサス初のBEV専用車「RZ」発売(2023年3月)に合わせて提供を開始した。
レクサス充電ステーションは最大60日前からの事前予約が可能。レクサスの調べによれば、当日に電話などで予約できるEV充電施設はこれまでにもあったが、これほど早くから予約ができる施設は国内初だという。充電の事前予約ができれば、例えば旅行の計画が立てやすくなるなどのメリットがあるとレクサス担当者。予約しておけば、充電に行ってみたものの設備が使用中で待たされるということも起こりえないはずだ。
BEVオーナーは「My LEXUS」アプリを使うなどすれば事前予約が可能。支払いは登録したクレジットカードから自動的に引き落としてくれるので手間いらずだ。金額については最初の3年間は月額基本料が無料、それ以降は月額1,000円。充電自体は1分間80円。別途、施設の駐車料金がかかる。
予約したクルマで充電ステーションに向かうとカメラが車番(ナンバー)を認識し、スタンドが自動で下がり、充電可能となる。駐車後は急速充電器から給電口にプラグを差し込めば充電が始まる。東京ミッドタウン日比谷には急速充電器2基(規格はCHAdeMO)を設置。充電の出力は最大150kWだ。ちなみに、レクサスが全国184の販売店に設置している急速充電設備は50kW。
ガソリンを給油するのとは違って、BEVは充電に時間がかかるのがネック。今回の取り組みでレクサスは、EV充電の待ち時間をポジティブに捉えられるものにしたいという。充電を待っている間、東京ミッドタウン日比谷で受けられるレクサスならではの「おもてなし」とはどんなものなのか。6月15日現在の内容は以下の通りだ。
東京ミッドタウンにある「LEXUS MEETS...」のアフタヌーンティーを1人分の料金で2人分提供(要予約)。シーズナルパフェorアルコール以外のドリンクが1品無料
Jet Setでシャンプー&ブローが優待価格に(予約推奨)。首肩マッサージも優待価格
NEUTRALWORKS.HIBIYAで体成分分析装置での無料計測
Q CAFE by Royal Garden Cafeではワークスペース1人分の1時間延長料金が無料に(BOX席をのぞく)
理容ヒビヤでは平日限定で全メニューが10%オフに(予約推奨)
レクサス充電ステーションは予約したレクサスオーナーが優先的に使える施設だが、空いていればレクサスオーナー以外でも使えるようにすることを検討しているらしい。
BEVユーザーにとって出先での充電時間は有効活用が難しい無駄な時間になりがちなのではないかと思われるが、レクサスが各地に整備する充電施設が何らかの特別な体験と結びつけば、BEVの充電も楽しみのひとつという風に考え方が変わっていくのではないだろうか。レクサス担当者にいわせると、充電ステーションは「人が確実に集まる場所」。ここで商品やサービスを提供することにチャンスを見出す企業も増えていくかもしれない。