脅迫状のような恐ろしげな新聞切り抜き? …と思って中身を読むと脱力するような一句が! いったいこんな川柳、誰が詠んだの?どうやって作ったの?
新聞紙の言葉を切りとってつくる川柳。
川柳とは、和歌にルーツを持つ短い詩です。季語のないものや、風刺や機知、世相などを読みこんだものが多く、俳句などと比べて自由度の高い詩と言えます。とはいえ、五七五の17文字で作られるているわけですから制約は大きいですよね。日本人の特徴なのでしょうか。短歌も、俳句も、川柳も少なく定型の文字数で表現していきます。制限がある中で遊ぶことで、逆に表現の幅が広がっていくかのようです。
さて、問題のコラージュ川柳ですが、こちらはさらに制限がキツイ。新聞の文言を切り取り、貼り付けたもの。「が」「は」「を」などの助詞だけ切り抜くのは禁止。上の句、中の句、下の句の3つの切り抜きで構成するというのが決まり事です。制約があるからこそ、思いがけない文字の結合が新しいイメージを生み出していきます。一体誰が、「ひざ関節」に「マヨネーズ」をかけようなどと思いつくでしょうか。この突拍子もない川柳は多くのフォロワーたちの賞賛と笑いを呼び寄せました。
「天才」「もうあっぱれ、間違いなく才能アリです」「真のマヨラー」「なるほど…マヨネーズを使えば、膝がパキらなくなるのか! 」「情景が明瞭に浮かぶ良い作品」「マヨネーズに何を期待したのか」「ジワる」「そんな状況ねーよ! wwww」「超ダメ元w」「新聞に『ダメ元』なんて言葉が載るんですねw」などなど。投稿者でありコラージュ川柳の家元である淀川テクニックさんにお話を伺いました。
■家元に聞く
……なぜコラージュ川柳をやろうと思いましたか? きっかけは?
普段は淀川テクニックという名前で海洋ゴミなどを使ったオブジェを作る芸術家をしています。2011年ごろに普段とは毛色の違う展覧会をすることになり、コラージュ川柳を思いつきました。当初は色々な人にコラージュ川柳を作ってもらい、投稿してもらうワークショップ形式でした。
……コラージュ川柳の難しさは? 面白さは?
元々バラバラだった記事を五文字七文字で切り取り組みわせて川柳にするのですが、難しいところは単純に日本語として意味のある文章を作るところです。ついつい「は」や「を」などの助詞を別の記事から切り抜いて持ってきたくなるのですが、それはナシにしています。面白いところは非日常でちょっと笑ってしまうような組み合わせや、リズムの良い句が出来た時です。
……コラージュ川柳への反応は?
頭の中に絵が浮かぶような句が出来るとより楽しいのですが、Twitterのリプライを見てると同じ句でも人によって色々なイメージが浮かんでるようで興味深いです。
……コラージュ川柳を作っていて発見したことはありますか。
世の中の人の作ったモノってすでにある何かと何かの組み合わせだなと…。コラージュ川柳もその延長だな〜ってフワッと思ってます。
▼新聞紙の言葉を切りとってつくる川柳。
新聞紙の言葉を切りとってつくる川柳。 pic.twitter.com/tRkfuFhUqy
— コラージュ川柳®︎ (@collage575) June 7, 2023