言われたことしかできない人は、ただやる気が無いだけではない場合もあります。

本記事では、言われたことしかできない人の特徴や、彼らに対する指導法・対処法を紹介。「自分は言われたことしかできない」と思っている人向けに改善方法や、向いている仕事もまとめました。

  • 言われたことしかできない人とは

    言われたことしかできない人の特徴や、そんな人とどう接すればいいのか、自主的に動けるようになるための方法などを紹介します

言われたことしかできない人の特徴やそうなる原因とは

職場で言われたことしかできないのは、新人だけではありません。たとえ入社して何年もたっていても、消極的で指示を待ってばかりの社員は存在します。

ここでは、言われたことしかできない人によく見られる特徴や、言われたことしかできない原因を紹介します。

自分の意見を持っていない

言われたことしかできない人には、ビジネスシーンのみならず、普段の生活でも消極的な人が多くいます。

そのような人は、他人の意見に流されたり指示されたりすることに慣れ、そもそも自分の意見を持っていないことが大いにあり得ます。

成長する過程でも親の言葉を素直に受け入れ、学校生活でも真面目に過ごしてきた人が多いでしょう。

指示を待つ習慣が身に付いているため、たとえ意見を出すように上司から働き掛けても、出てきた内容は表面的なことばかりで、決定事項は相手任せであることが多いでしょう。

何をすればいいのかが分かっていない

自分は何をすればいいのか、本当に分かっていない場合、上司に言われたことしかできません。

特に新人に多いケースとして、職場においての自分の役割ややるべき仕事の全体像を理解できていないため、言われたことだけを行うことがあります。

彼らは、無関係なことを始めたり、質問することで他の社員の余計な仕事を増やしたりするよりは、指示を待って言われたことだけをした方がいいと考えています。

確かに、自分が現在求められている役割をしっかりと把握するには、ある程度の経験と時間が必要でしょう。

このような場合は、周りからのフォローも不可欠になってきます。

自分の仕事ぶりに自信が無い

いくら知識を詰め込んでも、経験して業務をこなさなければ、自信は生まれません。

言われたことしかできない人の多くは、自分の仕事ぶりに自信を持っていないのです。新人ならなおさら、経験が浅くて上手にできるか自信がなく、自分が下手に動かない方が、現場が混乱しないと考えていることもあります。

また、ある程度勤続年数を重ねた社員でも、過去に自分で考え行動した結果、上司から強く叱られたりお客さまからクレームを受けたりした経験があって、自信を失っている可能性があります。

このタイプの人は自己肯定感が低いため、たとえ考えが頭に浮かんでも「どうせ自分の意見なんか…」と口に出せなかったり、自ら先回りして行動することを避けていたりするのです。

とにかく責任を負いたくない

言われたことしかできない人の中には、「責任を負いたくない」という気持ちから消極的になっている人もいるでしょう。

もし自分の判断や積極的な行動で失敗を招いた場合に、その責任は自分が負わなければならないのならば、言われたことだけをしていた方がいい、と考えているのです。

過去に重い責任を負わされた経験や、周囲で責任を負わされている人を見て、消極的な姿勢になっているのかもしれません。挑戦した人に過度な責任を負わせるのは、会社の体制が悪いとも言えます。

怒られることにおびえている

人は誰しも怒られたくないものです。大人になればなおさら、叱られることや注意されることを避けるように考えて行動している人が多いでしょう。

言われたことしかできない人は、自分で動いたことに対し、過去にひどく叱責された経験が原因で、指示されたことしかしないというスタンスをとっている可能性があります。

あるいは、上司が普段から不機嫌だったり、誰かにきつく当たっているのを見たりして、上司に恐怖心を抱いているかもしれません。

自分の意欲的な行動が、トラブルの引き金になることを恐れています。

仕事への向上心を持っていない

人の価値観とはさまざまなもので、仕事に重きを置いていない人も一定数存在します。

周りからの評価は気にせず、仕事に対する責任感が薄い人は、職場でただ時間が過ぎていくのを待ち、指示された分の仕事しかしません。

周囲からすると「仕事に情熱を注いでほしい」「もっとやる気を出してほしい」と思うかもしれませんが、本人は仕事への向上心を持ち合わせていないため、その意識を変えるのはかなり難しいでしょう。

このようなタイプの人に対しては、指示されたことをこなしているだけで、十分だと思いましょう。

仕事に対して不満が大きい

希望の職種につけなかった場合や、理想と違った業務についた場合は、仕事に対する意欲が低くなり、言われたことしかできなくなる場合があります。

不満が多すぎると、仕事へのやる気が起きません。職場にこのような人がいると、周りの社員に伝染し、職場全体のモチベーションが低下してしまう可能性があります。

言われたことしかできない社員や新人への指導法・対処法

  • 言われたことしかできない社員や新人への対処法

職場に言われたことしかできない人がいると、周囲の人の仕事の負担が増えてしまったり、モチベーションが下がってしまったりする可能性があります。

そこで、言われたことしかできない、指示待ち人間への指導方法や対処方法を紹介します。

まずは言われたことしかしない理由を探る

言われたことしかしない原因は、前章で語った通り、人それぞれです。今回紹介したこと以外にもあるかもしれません。

そのため、なぜ彼らが言われたことしかしないのか、その理由を明確にしましょう。

その際、「どうして言われたことしかしないの?」と直接的に訪ねても、相手は警戒心を強めるだけで本音は聞けません。

まずは雑談をしてみる、悩みを聞くなど、コミュニケーションを取って歩み寄りながら、関係性をよくしていきましょう。その上で、言われたことしかしない理由を探ってみましょう。

理由が分かれば対処法が見つかり、改善につながる可能性があります。

仕事の全体像や目的を明確に伝える

指示の出し方を変えるだけで、相手の言動が変わることがあります。

例えば資料作成を依頼する際に、せっかく指示を細かく伝えたとしても、仕事の全体像や目的を伝えなければ、相手はこの資料が何に使われて、どうして必要なのかが分かりません。それでは、言われたことしかできないのは当たり前です。

指示を出すときは、仕事の全体像やゴールを明確に伝えた上で、相手にしてほしいことを指示します。全体像や目的を共通認識として持っていれば、与えられた仕事が終わったときに、次に自分がやるべきことや、工夫できそうな点が見えてくるようになるでしょう。

相手に期待感を伝える

相手に対して、自分が期待していることを伝えるのも大切です。

「わざわざ言うべきことではない」という考えや、照れは捨てて、自分が相手に何を期待しているのか、どのように期待しているのか、また、なぜ期待しているのかを分かりやすく話すのです。

相手は自分が期待されていることが分かると、その期待感に応えようと、言われたこと以上のことをしようと努力してくれるかもしれません。

報告・連絡・相談を気軽にしやすい環境を作る

言われたことしかできない人は、自信がなく、質問することすらためらってしまうことがあります。

日頃からコミュニケーションを取り、報告・連絡・相談がしやすい環境であれば、消極的な人でも徐々に育って行くはずです。新人を育てるためにも、報告・連絡・相談しやすい職場づくりを意識したいものです。

万が一、トラブルが発生したときにも、コミュニケーションがしっかり取れた体制であれば、問題点や改善点が見つけやすく、すばやく対処できるでしょう。

感情的に怒らずに行動を褒める

あなたが上司の立場であれば、部下に対する態度を省みてみましょう。

例えば、普段から部下のことを感情的に怒っていることで、部下からのイメージが悪くなってしまっている場合があります。

部下が自発的な行動で何か失敗をしてしまった場合、反省すべき点は置いておいて、まずは自分で考えたということや、チャレンジしたということを褒めるべきです。

やり方や行動に改善すべきポイントがあれば、感情的に怒るのではなく、冷静に指摘し、相手の考えを聞きながらアドバイスするようにしましょう。

こういった心掛けにより、部下が「もっと積極的に動こう」と思ってくれるかもしれません。

役職や経歴のみで相手を判断しない

自分の主観で、「あの子は新人だから言われたことしかできない」「あの人の経歴から言って、もっとできて当然なのになぜやらないだろう」などと、レッテルを貼るのは避けましょう。

相手に最大のパフォーマンスを発揮してもらいたければ、役職や経歴のみで相手を勝手に判断せずに、相手の話に耳を傾けることが大切です。

新人でも、実は自分なりの考えを持っていて、背中を押してあげれば積極的に動けるかもしれません。また経歴が長いと思っていた人でも、話をよく聞くと自分が認識していた分野とは少し異なっていて、違う案件にアサインしたところ存分にパフォーマンスを発揮してくれた、ということがあるかもしれません。

言われたことしかできない人が実践すべき改善法・直し方

  • 人から言われなくても自主的に動けるようになるための方法

もし自分のことを「言われたことしかできない人だ」と思っているのなら、これから紹介する方法を参考にしてみてください。

本当の意味で自分を変えることができるのは、自分だけです。できることから実践してみましょう。

仕事における目的を確認する

ゴールが見えないと、人は言われた通りにしか動きませんが、目的がわかれば、そのゴールに向かうために何をすべきかがわかりやすいでしょう。

小さい仕事でもただ漫然と行うのではなく、都度、その目的を確認しながら行動する癖を付けましょう。

目的が見えないときは、上司や先輩に質問をして、疑問を解決しましょう。コミュニケーションを積極的に取る姿勢が大切です。

目的をしっかりと把握した上で仕事をすることで、よりよくするためにはどうするかが見えてきたり、仕事にやりがいを感じたりできるでしょう。

マニュアルのみにとらわれない

マニュアルとは、一定の品質を保つために存在するもので、基本業務はマニュアルに従って進めれば問題ないでしょう。

しかし、仕事にはイレギュラーなことも多く発生します。マニュアルのみにとらわれずに、臨機応変に対応する能力が必要です。

そこでまずは「どのようなイレギュラーがありそうか」「イレギュラーなことが発生したら、どのように対応するのか」をイメージトレーニングしてみましょう。

考える癖を付けることが、マニュアルにとらわれない思考を身に付けることにつながります。

自分の意見を積極的に伝えてみる

「どうせ自分は言われたことしかできない」とネガティブに捉えて、毎日ロボットのように業務をこなすのではなく、例えば「どうしてこの業務が必要なのか」「担当している業務がどう売り上げと関わっているのか」「もっと効率良くできないか」など、仕事に対して疑問や意見を持つようにしましょう。

そしてその疑問や意見を、上司や先輩に伝えてみるといいでしょう。自分の考えを積極的に伝えるようになれば、周囲もコミュニケーションが取りやすくなります。また「新しくこの仕事を任せてみようか」と思ってくれるかもしれません。

新しい仕事を与えられる機会が増えていけば、仕事の経験値も増え、視野が広がり、さらに積極的になれるという、良いループが生まれるでしょう。

周囲の仕事ぶりを観察する

指示待ち人間を脱するためには、身近で働く先輩などの仕事ぶりをよく観察してみましょう。誰がどのような仕事を任され、どのように動いているのかを確認し、取り入れられそうな部分はまねしてみましょう。

また、先輩の仕事を観察すると、自分の属するチームや部内の仕事の全体像も見えてきます。そこから逆算すると、自分が求められていることや、次にすべきことが見えてくるはずです。

失敗したことをメモに残しておく

自ら動くことに不安を感じ、自分に自信が持てないのなら、成功体験を積み重ねて、自信を育てていくしかありません。

しかし成功体験は、チャレンジしなければ手に入れることはできないものです。「でもチャレンジしたら、失敗してしまうかも…」と思うと、堂々巡りに陥ってしまいますね。

そこで、失敗したことをメモに残しておくことをおすすめします。メモに残しておくことで、改善点を見つけられます。そして、その反省を生かし、次は成功すればいいのです。

失敗は、その経験を生かすことで、失敗ではなく、不安を拭い去るための力になるでしょう。

言われたことしかできない人に向いている仕事はある?

  • 言われたことしかできない人に向いている仕事とは

言われたことしかできないという自覚がある人の中には、変わりたいと思っているのに、どうしても変われないと悩んでいる人もいるかもしれません。

しかし、「言われたことしかできない」とネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに考えれば、以下のように強みとなり得ます。

  • マニュアルのある仕事やルーティンワークが得意
  • 他人の要望をくみ取り、丁寧に対応できる
  • 指示されたことを正確に遂行できる
  • コツコツと作業できる

これらの強みを生かして、自分に向いている仕事を考えてみましょう。下記は一例です。

地方公務員

地方公務員の仕事は、業務が細分化されて割り当てられていることが多く、基本的にルーティン業務です。

積極的にアイデアを出し合い、仕事を自ら取っていくような環境というよりは、前例を基にしたり、住民からの意見に耳を傾けたりしながら、確実に、安全に業務を進めていく環境と言えるでしょう。

インフラエンジニア

インフラエンジニアは、ITインフラの設計や構築、運用が主な仕事で、ネットワークやサーバーなど、ITサービスが成り立つ基盤を支える、いわば裏方の仕事です。

高度な専門知識が必要で、かつ常に最新の情報を勉強しなければならない、難易度の高い仕事です。しかしコツコツと知識をインプットすることができ、丁寧な仕事ができる人には、適性があるといえるでしょう。

事務

繁忙期などはあるものの、一日のルーティンがある程度決まっている、事務の仕事もおすすめです。

事務職の主な業務は、PCを使用したデータ入力や書類作成であり、積極的に仕事を取りに行くような能動的なものというよりは、部署のサポート業務にあたるものが多いです。

他にも電話の応対や来客の対応など、仕事内容は多岐にわたりますが、基本的にはマニュアルが存在することが多いでしょう。

手順やルールに沿った業務をコツコツと、正確にこなしていくことが重視されます。

言われたことしかできない人から脱却を

言われたことしかできない人にも、さまざまな原因があり、ふとしたきっかけで自主性を持って仕事に向かえるようになるかもしれません。

また、変わろうと思っているのに、どうしても言われたことしかできないという場合も、ネガティブに捉える必要はありません。

「言われたことをきちんとこなしている」と、前向きに考えることで自信を持って、自分の長所を生かしていきましょう。