連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)で、神木隆之介演じる主人公・槙野万太郎が修行をする大畑印刷所のひとり娘・大畑佳代役で、朝ドラ初出演を果たした田村芽実。かなり負けん気の強い江戸っ子で、奥田瑛二演じる父親の大畑義平に対しても平気でかみつくシーンも描かれた。田村を直撃し、とても印象深かったという同シーンの舞台裏とともに、奥田や母親役の鶴田真由との撮影秘話を語った。

  • 『らんまん』大畑佳代役の田村芽実(右)と父・大畑義平役の奥田瑛二

高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。

植物学雑誌の創刊に向けて、大畑印刷所で日々熱心に修行を積んでいる万太郎。義平は同印刷所の工場主で、万太郎の奮闘ぶりを見て、良き理解者となっていく。だが、佳代は汗だくでインクにまみれの万太郎には常に塩対応で、万太郎とぶつかりそうなった時、「汚い」と遠慮なく文句を言ってしまう。当然、ぶち切れた義平から「その口、縫い付けてしまうぞ」と叱られるも、佳代は負けじと「私は事実を言っているのよ。お父ちゃんのボケ」とやり合ってしまう。

田村は「今だったら『お父さんの服と一緒に洗濯物を回さないで』とかいう女の子はいると思いますが、あの時代に、自分の父親に歯向かっていくような女性っていたのかなと。佳代は『父親よりも自分の方がカーストは上だ』ぐらいに思っている感じですが、本当に言いそうだなと思わせてもらえる台本だと思ったから、それをさらに立体的に演じたいなと思ってやりました」と語る。

父役の奥田と母親役の鶴田真由については「お二人とも物腰が柔らかい方」としたうえで、「3人ともガーデニングをしていたという共通点がありました」と笑顔を見せる。

「休憩中に、鶴田さんとは水はけが良くなる土の作り方の話をして、奥田さんとはどっちの方がチューリップを多く咲かせたかみたいな話をしました。奥田さんのお家は30本チューリップが咲いたらしいのですが『私はたぶん50本ぐらい咲いています』と、よくわからない勝負のような感じになったりして、とても和やかに話をさせていただきました」

舞台裏でしっかりとコミュニケーションをとれたからか、撮影が始まると、まさに親子のように勝手知ったる空気感で、絶妙な掛け合いを見せていた3人。

「一緒にお芝居をさせていただくと、自然と乗っけてもらえた感じです。お二人は本当にプロ中のプロだから、休憩中に会話などをしなくても『用意ドン!』でできる方たちですが、たぶん私があまり慣れてなくて緊張していたことを汲み取ってくださり、和めるようにと、いろんな話をしてくださった気がします」と、奥田や鶴田に心から感謝する。

喧嘩っ早い性格は、まさに義平の血を受け継いでいる感じがする佳代だが、その真っ直ぐさが絶妙な笑いを生んでいく。きっと本作によって、コメディエンヌとしての魅力をお茶の間に披露できたのではないだろうか。

田村自身も「いただいた役がこれだけ個性的な役だったので、私自身も1個脱皮ができたかなと」と手応えを明かしている。今後も万太郎とどんなやりとりを繰り広げていくのか、楽しみに見ていきたい。

■田村芽実(たむら・めいみ)
1998年10月30日生まれ、群馬県出身。アイドルグループ・アンジュルム(旧・スマイレージ)の元メンバー。2016年に5月30日に日本武道館公演をもって同グループを卒業。卒業後は、女優・ソロ歌手として活躍。近年の出演舞台にミュージカル『グリース』(21)音楽劇『クラウディア』(22)、ミュージカル『ヘアスプレー』(22)、ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』(23)など。読売新聞夕刊popstyleにてコラム「ひめごと」を連載中。6月21日より音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』に出演。

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