AMDは6月13日にRyzen Pro 7000シリーズを発表したので、その概要をご紹介したい。
今回発表されたのは、Ryzen 7000シリーズをベースとしたもので、Mobile向けが6製品(Photo01)とDesktop向けが3製品(Photo02)の合計9製品となる。どちらの製品も、基本はConsumer向けの製品と同じであり、ただ動作周波数やTDPなどが微妙に変更されており、倍率もロックとなっている。その一方でAMD Proが有効にされている形だ。
そんな訳で特徴、といっても特に目新しいものは無い。勿論競合であるIntelのvProプロセッサと比較した場合、特にMobile向けは4nmプロセスでの製造とかRDNA 3及びRyzen AIの実装が特徴ではある(Photo03)。これはDesktop向けも似たようなもので(Photo04)、性能/消費電力比の面ではまだ結構なアドバンテージがあるため、これをCommercialに持ち込むことで更にシェアを獲得したいとしている。ちなみにこのCommercial DesktopのTAM、次第に頭打ちとは言え現状からまだ4百万台位上振れすると同社は見ており、この上振れ分を獲得したいという訳だ。
さてこういう状況であるから、武器となるのは当然性能と機能ということになる。まず性能についてだが、Ryzen Pro 7040 Mobileに関しての性能評価がこちら(Photo06~11)。Mobileの場合はそれを実装する製品の都合で色々制約が出る関係で、ちょっと苦しい比較もあるが、性能そのもので言えば確かに競合となる製品よりも高速であることが判る。ついでに言えば、M2 Proは(確かにBusiness用途で使うケースがあるのは事実だが)Commercial Mobileという扱いではない気もするのだが。
このRyzen Pro 7040 Mobileの搭載製品としては、HP及びLenovoが既にラインナップを用意している(Photo12)他、HPがMobile Workstation向けへの採用を行う事も明らかにされた(Photo13)。
一方のDesktop向けだが、まずRyzen 5 Pro 5650GとRyzen 5 Pro 7645のCPU性能比較がこちら(Photo14)。またCore i5-13400との比較がこちら(Photo15)。CPU性能のみの比較なのは、ことRyzen 7000シリーズにに搭載されているGPUは1WGPの本当に最小限の構成で、実際第13世代Coreと比較しても劣るし、Mobile向けコアを転用したRyzen Pro 5000Gシリーズには勿論敵わないからだ。今のところAMDとしてはGPUを強化した(≒Mobile向けのコアを転用した)Desktop向けのSKUは考えて居ないそうで、なのでWorkstation用途には別途Discrete GPUを組み合わせる必要がある。ただOffice Productivity程度であれば現状のもので十分という判断であろう。
AMDは現在、Datacenter部門は好調な一方、Client向けが赤字になるなどちょっと苦しい状況にある。理由は景気の動向と構造的な問題の両方があり、どちらも一朝一夕に解決できるものではないのだが、Zen 4アーキテクチャの投入で少しでもテコ入れしたいというあたりが今回の発表のポイントであろう。