温泉に浸かるとぐっすり眠れる。そんな経験をした人は多いのではないだろうか。このほど、秋田大学の研究チームは、「温泉に浸かるとよく眠れる」ことを科学的に証明した。温泉が体温調整を助け、深部体温を下げることで快眠に誘導するのだとか。本研究は、科学雑誌「Journal of Physical Therapy Science」に掲載されている。ネットでは「温泉は全てを解決する」「だからか」などと話題となっている。
温泉に浸かるとぐっすり眠れるという体験談はよく耳にするものの、これまで温泉の睡眠に対する効果は調べられてこなかったとのこと。
本研究では、塩化物泉と炭酸温泉の入浴が、深部体温や、脳波に及ぼす影響を調査し、睡眠に効果があるかを評価した。なお、ここでは天然の炭酸泉は稀有なため人工炭酸泉で代用している。
塩化物泉は塩化物イオンを主成分とする温泉で、塩分が毛穴をふさいぎ汗の蒸発を防いで、湯ざめしにくい特徴があり、炭酸温泉は炭酸ガス含んだ温泉で、血管を拡張させ血行を促進する効果があるとされている。
同研究チームは、健常男性8名を対象に「塩化物泉」と「人工炭酸泉」、「普通浴」、「入浴なし」の条件で睡眠を評価した。対象者は、4回にわたっていずれかの条件でランダムに割り当てられて就寝前に入浴。入浴は40℃のお湯に15分間浸かり、その後簡易脳波計と体温計を装着した状態で就寝してもらう。また、入浴前後と起床時に眠気や疲労感などのアンケートに回答してもらった。
結果は、入浴したときの方が、入浴しなかったときよりもよく眠れており、特に塩化物泉と人工炭酸泉に入ったときに深く眠れていたという。これらの睡眠の変化は、上昇した深部体温の大幅な低下と関連しているのだとか。
入浴によって深部体温は上昇したが、塩化物泉に入浴したグループの平均深部体温が最も高くなり、次いで人工炭酸泉のグループだった。この2つのグループでは、熱放散の増加と深部体温の顕著な低下が観察されたという。
同じ温度のお湯でも塩分や炭酸ガスによる加熱作用の強い温泉に入ると、熱の取り込みが大きく、入浴後に深部体温が大きく上昇。深部体温の上昇が強いと、その反動で放熱が進み、入浴後90分後には深部体温が入浴しないときよりも下がっていたという。深部体温の下降は眠気や熟眠をもたらすことがわかっていることから、温泉浴でより深い睡眠が出現したと、同研究チームは分析している。
またアンケートでは、塩化物泉の入浴後に疲労感が強く出ていたとのことで、虚弱な高齢者には人工炭酸泉が最適だと付け加えている。
同研究チームは、「睡眠に対する温泉の効能を証明した重要な発見」だとして、「温泉を活用した睡眠改善は不眠症や認知症の予防にも役立つ可能性がある」とコメント。今後は、温泉を活用した不眠症や認知症予防にも取り組んでいきたいとしている。
ネット上では「わかる!!しょっちゅう温泉行くけど、マジで体感よく寝れる🛌」「温泉の元と源泉の比較も見てみたいもんだ」「温泉旅館でめっちゃぐっすり眠れたりするのはだからか」「入浴剤はどうなんかな?」「やはり温泉、温泉は全てを解決する。」「温泉行ってくる!」などの声が寄せられた。