2023年7月8日から放送開始されるウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンブレーザー』のプレミア発表会が6月12日、池袋サンシャイン劇場にて開催され、主演のヒルマ ゲント隊長を演じる蕨野友也ほか主要キャスト陣とメイン監督の田口清隆氏、そしてアーティストのきただにひろし、MindaRynがステージに立ち、新しい「ウルトラマン」の魅力を打ち出そうとする本作への強い意気込みを語った。

  • 上段左からMindaRyn、田口清隆監督、ウルトラマンブレーザー、蕨野友也、加藤雅也、きただにひろし、下段左から、梶原颯、内藤好美、搗宮姫奈、伊藤祐輝

ウルトラマンブレーザーは、地球からはるか遠く離れた天体「M421」からやってきた謎のヒーローという設定。世界規模で勃発する怪獣災害に対抗するべく組織された特殊部隊「SKaRD(スカード)」の隊長ヒルマ ゲントと一体化し、人類の平和を脅かす怪獣の脅威に立ち向かっていく。

まず初めに、本作のオープニングテーマ「僕らのスペクトラ」を歌うシンガー・きただにひろしがステージに登場し、魂をふるわせるほどの熱唱と激しいパフォーマンスで客席を大いに沸かせた。

地球防衛隊から選抜された優秀な人員で構成される「特殊怪獣対応分遣隊」=「SKaRD」の隊長ヒルマ ゲントを演じる蕨野友也は「ウルトラマンの長い歴史の1ページに加われることに喜びを感じつつ、みなさまに納得していただけるウルトラマンをお届けできるよう、今日この日まで頑張ってまいりました!」と、子どものころからの憧れの存在=ウルトラマンを自らが演じるということに、真剣に向き合いながら力強く挨拶を行った。

SKaRD隊員であり、怪獣の生態データなどを探るため各地に潜入する諜報活動のスペシャリスト、アオベ エミ隊員を演じる搗宮姫奈は「エミちゃんは軸がしっかりしていてまっすぐな性格。やりたいことややるべきことに真摯に突き進んでいくキャラクターでありながら、少し弱さも持ち合わせてみなさんに愛される人物です」と、エミのパーソナリティを紹介し、その魅力をアピールした。

優秀なメカニックで、軽妙な関西弁を操るSKaRD隊員バンドウ ヤスノブを演じる梶原颯は「子どものころからウルトラマンをテレビで観ていたし、ウルトラマンのゲームもやっていましたから、隊員の役が決まったときは不思議な感覚でした。ヤスノブは機械が大好きで、好きなメカに名前をつける”機械フェチ”なんです(笑)」と、終始朗らかに役柄を説明して、ヤスノブに親しみを持ってもらいたいと語った。

特戦獣アースガロンの操縦士を務め、自身も格闘戦を得意とする生真面目なSKaRD隊員ミナミ アンリを演じる内藤好美は「まったく発表していないころから撮影していたので、本当に放送されるのかな、夢じゃないのかな……と実感がわかないままでいましたが、今日ここに立ったとき、やっと『夢じゃない!』という気持ちになりました。アンリは朴訥としたキャラで、人付き合いがちょっと苦手。裏表のないまっすぐなアンリが、SKaRDの一風変わったメンバーと出会ったことによる変化に注目してください」と、生真面目なアンリが個性的なSKaRD隊員たちの中でどんな活躍をするのか、期待をあおった。

SKaRDの作戦を立案する副隊長ナグラ テルアキを演じる伊藤祐輝は「ウルトラマンを愛しているみなさんに直接お会いし、作品ができました! とお伝えするこの日が来ることを、ずっと楽しみにしていました!」と感無量の面持ちで挨拶。そして「テルアキを一言で表すと、怪獣生物学の見識を活かして作戦を立案する、SKaRDにおける”縁の下の力持ち”です」と、役柄と同じく少々カタめにテルアキのキャラクターを説明した。

地球防衛隊日本支部・司令部参謀長を務め、SKaRDを創設した人物でもあるハルノ レツを演じる加藤雅也は「子どものころは初代ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン……とウルトラマンを観て育ちました。僕にとってウルトラマンは観るものであって、出るものではないという感覚でしたが、今回自分が出演するのか、という驚きがありました」と、実力派俳優としての長いキャリアの中で初となる「ウルトラマンシリーズへの出演」に強い意欲をのぞかせた。ハルノ参謀長の役について加藤は「いろんなことが、現段階では語ることができませんが、ひとつだけ申し上げておきます。私はウルトラマンにはなりません(笑)」と、「変身しない役」だと強調してみせ、笑いを誘った。

メイン監督として初期企画段階から携わり、小柳啓伍氏と共にシリーズ構成も務めている田口清隆監督は「ウルトラマンシリーズの監督をするのは本作で10作目・10年目。これまで培ってきたこと、経験したことをぜんぶぶちこんだ作品になりました。何もない状態からSKaRDメンバーを作っていきましたが、キャスティングされたみなさんがズラリと並んだとき、シナリオチームが『そのままの人たち』だと驚いたくらい、ふだんから演じるキャラクターに近い人がそろいました。特に蕨野さんは、ゲントと話しているのか蕨野さんと話しているのかわからないくらい(笑)。撮影現場でもキャストやスタッフ同士のさまざまな人間模様が、そのまま映像に焼き付いている作品です。『コミュニケーション』がテーマなので、それを現場でも積極的にやっていこうとしました。いろんな話し合いをして、作り上げていったウルトラマンです」と、スタッフ・キャストがコミュニケーションを取り合い、絆を深めながら作った本作への強い思い入れと、確かな手ごたえを言葉にした。放映に先立ち、すでに全25話分の撮影が完了しており、現在は「各監督と仕上げ班がフル稼働で仕上げを行っている段階」だという。田口監督は「発表の時点で撮影完了というのは、シリーズで初めてなんじゃないかな。キャストのみんながさわやかな笑顔で、やりきったという思いが伝わってくる」と語り、改めて蕨野たちの労をねぎらった。

やがて、ステージにはSKaRDの主力巨大兵器・特戦獣「アースガロン」がその姿を現した。設定身長50m、体重2万5千tという巨体で、ヤスノブとアンリが交代で操縦士を務める。ノシノシと歩くアースガロンの勇姿を見た梶原は、それまで以上にテンションを高めながら、ノリノリでその能力説明を披露。そして内藤は「コクピットがすごくリアルに作られていて、すべてのボタンが点滅したり、まるで景色が見えるかのような振動を感じます。放送されましたら、ぜひコクピットに注目してください!」と、コクピットの充実ぶりを笑顔でアピールした。

巨大怪獣から人類を守って戦う「勇ましさ」と共に、少しコミカルな「愛嬌」を感じさせるアースガロンの姿を、さまざまな角度から見ていただきたい。

SKaRDユニフォームの肩につけられたエンブレムは、アースガロンの特徴的な「目」がモチーフになっていると内藤が説明し、すかさず蕨野や搗宮がエンブレムを強調する場面も見られた。

ゲントの左腕に現れる「ブレーザーブレス」の中に、光の力を宿した結晶体「ブレーザーストーン」を装填し、スイッチを押すとウルトラマンブレーザーへの変身が完了する。ここからは蕨野による「生変身」を連続写真でご紹介。蕨野は「みんなが見ている前だと、少し恥ずかしい」と照れながらも、見事にカッコいい変身を決めてみせた。

左右非対称のデザインが目をひく、力強さとミステリアスさを併せ持つウルトラマンブレーザーの勇姿。

続いて、SKaRD隊員とハルノ参謀長がブレーザーブレスとブレーザーストーンを手にして、一斉に「変身」チャレンジを行うコーナーに突入。しかし、ストーンの装填方法がわからない加藤や、ブレスを反対側に着けたためにストーンがあらぬ方向に入ってしまった梶原など、予想外の出来事が続出。結局3回目のチャレンジで、見事全員ウルトラマンブレーザーへの変身を行うことができた。

エンディングテーマ「BLACK STAR」を歌うタイ出身のシンガー・MindaRyn(マイダリン)がステージに登場し、迫力のパフォーマンスと共に美しい歌声を披露。MindaRynは「ウルトラマンはタイの子どもたちにとって初めて目にするヒーロー。世界じゅうから愛されるウルトラマンの歌を歌えるのは、言葉にならないほど光栄なことです」と、日本だけでなく世界各地でも人気のあるウルトラマンへの憧れを語った。

マスコミ向けのフォトセッションに入る直前、ステージ奥から姿を見せたのは、『ウルトラマンブレーザー』で活躍する総勢「14体」もの怪獣たちだった。本作では、歴代シリーズでウルトラヒーローと戦った往年の人気怪獣だけでなく、新規デザイン、新規造形によって誕生した「新怪獣」がぞくぞく登場するのも見どころとなっているようだ。

第1話に登場する「宇宙甲殻怪獣バザンガ」。

第2話に登場する「深海怪獣ゲードス」。

第3話に登場する「甲虫怪獣タガヌラー」。

第4話に登場する「軟体怪獣レヴィーラ」。

まだ名前や特性などが明かされていない「謎の怪獣」も複数登場している。これらの詳細が明かされる日はいつか。

『ウルトラマン』(1966年)に登場した二次元怪獣ガヴァドン(A)。特殊な宇宙線の影響で、子どもの描いた怪獣の絵が実体化した存在。ハンペンのような特異なシルエットが強い印象を残す。

『ウルトラQ』(1966年)の隕石怪獣ガラモン。地球侵略を狙う遊星人が送り込んだガラダマ(隕石)の中から出現し、電子頭脳の電波に操られて都市を破壊した。ガヴァドンやガラモンは『ウルトラマンブレーザー』でどのように登場し、どのような行動を取るのか、非常に興味がそそられる。ステージ上では、『ウルトラマンX』(2015年)の「デマーガ」や『ウルトラセブン』(1967年)の「カナン星人」といった歴代シリーズからの怪獣&宇宙人も確認できた。

マイクを手にした蕨野は「僕たちは『信じる心』だけを信じて『ウルトラマンブレーザー』に挑んできました。隊員との距離感、お互いの信頼、監督との信頼関係も含めて、台本と全力でぶつかりました。僕は、(子どものころから)何十年か経って、ウルトラマンというものになれました。それは、自分がいつか『誰かを守れる存在になる』と信じていたから、ウルトラマンブレーザーが僕のところにやってきてくれたんだと思っています。『ウルトラマンブレーザー』を最後まで盛り上げるためには、みなさんのお力が必要です。『俺たちといっしょに戦ってくれ!』よろしくお願いします!!」と、作品を愛してくれるファンに向けて熱い視線を送り、最終回まで応援し続けてほしいと強く呼びかけた。

プレミア発表会終了後、そのまま『ウルトラマンブレーザー』第2話「SKaRDを作った男」の完成披露上映が行なわれた。深海怪獣ゲードスの迫力満点の大暴れや、SKaRDメンバーそれぞれの魅力的な動き、そしてウルトラマンブレーザーとゲードスのユニーク極まりないアクションなどが大スクリーンに映し出され、極上の特撮映画を1本観終わったかのような満足感をもたらした。上映終わりにはふたたび本作のキャスト、アーティスト、田口監督が登壇し、最高の特撮作品を観た興奮が収まらない客席に向かって感謝の言葉を述べた。

田口監督は「ついに『ウルトラマンブレーザー』をお見せすることができて、嬉しく思います。みなさんは第2話をご覧になって『けっこう王道だな』と思われたかもしれません。いい意味で『当たり前のウルトラマン』を目指しているのですが、実は下敷きにしている部分は本気で手のこんだものになっています。こんな感じで第1話から第25話まで突っ走っていますので、どうぞご期待ください!」と語り、初代『ウルトラマン』のようにシンプルな怪獣映画のフォーマットを用いながらも、ドラマ部分や特撮の演出には徹底したこだわりや新機軸を導入した、非常に気合いの入った作品が期待できることを強調した。

きただには「数あるウルトラソングのひとつとして『僕らのスペクトラ』がみなさんの大好きなプレイリストの中に仲間入りさせてもらえたら、とても嬉しいです!」と力強く語り、客席に優しい笑顔を向けた。

MindaRynは「ウルトラマンブレーザーからパワーをもらい、今回いつもよりパワフルに歌うことができました。『BLACK STAR』には、仲間たちとコミュニケーションをとりながら、良い世界を作っていきたいというメッセージが込められています。早く世界じゅうの人々に聴いてもらいたい」と、深いテーマ性のある曲を歌えることの喜びを示した。

加藤は「ウルトラマンや怪獣を通して、深いストーリーが楽しめる作品です。ぜひ最終回まで観ていただけると嬉しいです」と、ウルトラマンや怪獣が存在する「特撮映画」の世界でなければ描くことのできないストーリーの妙味が、一番の見どころであると語った。

伊藤は「スタッフ、キャストが力を合わせて、この作品をより良くするために、どんなことをしたらいいのか、考え抜きながら作っていきました。7月8日からの放送を、ぜひぜひ楽しんでください」と、途中感極まって言葉を詰まらせながらも、しっかりとファンに優しい視線を投げつつ、熱い応援を呼びかけた。

内藤は「第2話、どうでしたか? 実は、第1話もすごいです。度肝を抜かれると思います。びっくりするほどカッコいい映像が出ますので、お楽しみに。最終回までみなさんと一緒に『ウルトラマンブレーザー』を応援したいです」と、作品世界の始まりを描く第1話への期待を煽った。

梶原は「これまでのウルトラマンシリーズとは、いい意味で違った雰囲気の作品です。こんなの初めて! って部分がいっぱい出てくると思いますので、楽しみにしていてください」とさわやかに語り、本作にはいくつもの驚きや興奮を誘う要素が詰め込まれているとアピールした。

搗宮は「私もようやく、これから放送されるんだなあという実感がわいてきました。ファンのみなさんの拍手が聞こえてきたり、ひとりひとりのお顔が見えたり……最高ですね」と言い、感動のあまりこみあげるものを抑えきれずポロリと涙をこぼしながら「楽しみにしていてください!」と続けた。

蕨野は「『ウルトラマンブレーザー』のテーマはコミュニケーション。自分の思いを誰かに『伝える』『届ける』ことが大事だと思いました。テレビをご覧になるみなさんが『ウルトラマンブレーザー』という作品から何かを感じ取ってくれて、明日も、明後日も元気で生きていきたいと思ってほしい。そういう思いを届けるため、キャストもスタッフも全力で走っていきました。我々の信頼関係、絆の強さは、カメラのレンズを通して絶対に、みなさんに伝わると信じています。『ウルトラマンブレーザー』の持つ熱量を、世界じゅうのファンに届けたい。その一心で頑張ってきました。第1話を観たら、この作品『ヤベエぞ』と思ってもらえる。一気に俺たちの世界にみなさんを引き込むことができる。それだけの自信を持っています。7月8日、第1話が放映されたら宣伝隊員のみなさん、僕たちと一緒に盛り上げてください!」とエネルギッシュに語り、会場につめかけたファンたちを「ウルトラマンブレーザー宣伝隊員」として信頼し、作品のアピールを積極的に行ってもらうよう呼びかけた。

『ウルトラマンブレーザー』は7月8日より、テレビ東京系毎週土曜朝9時放送スタート。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京