授業は、リモートから対面へ。サークル活動も活発になるなど新型コロナが5類に移行して、ようやく本来のキャンパスライフを体験しているという学生が多いでしょう。

特に、現在の4年生(24年卒)や3年生(25年卒)は入学と同時に世の中がコロナ禍という世代。少しでも大学生活を取り戻したいですよね。

一方で、やはり気になるのは卒業後のこと。就活を意識し始める25年卒の学生は、「いつ頃から何を始めたらいいのだろう」「他のみんなはどれくらいの時間を就活に当てているの?」と気になっているかもしれません。

ナビサイトのオープンや夏のインターンシップの告知活動などが例年に比べて早期化している今、就活環境は目まぐるしく変化しています。

そこで、学生の意識も変わってきているのかなど25年卒の学生945人にアンケート調査した結果がレビューされたので、専門家の分析とともに紹介します。学生生活と就活をどのようなバランスで進めていけばいいかなどの参考になると幸いです。

大学生活を謳歌し、就業への関心は薄い!?

25年卒学生の就活調査を実施したのは、「飯を食える大人」の育成・支援を目標に活動している『NAB就業教育研究所』所長の佐々木直人氏。

アンケート調査は、2023年4月28日~5月10日の10日間、全国各地の大学に在籍している25年卒業予定の3年生と大学院1年生を対象に実施されました。

「いまの大学生は、めちゃくちゃ楽しそう。大学生活を一生懸命取り戻そうとしているので、就活のことも先送りしがちです」と佐々木氏。

「コロナ禍以降に入学した学生たちは、授業はずっとリモートで課外活動はできない状態でした。だから、人と接することにとても飢えている。ようやく対面での受講ができるようになり、リモートより何倍も楽しいと言っています。でも、同時に人との距離のとり方がよくわからず、就業への関心・理解も薄いという傾向があります」

佐々木氏によると、リモート授業で画面越しに同級生たちの顔は見知っているものの、友だちという意識はほとんどないそうです。学生たちは、今あらためて周囲との関係構築をし始めているところなので、就活についてもざっくばらんに相談し合える関係ではなさそうです。

将来や社会に対してとても不安を感じている学生が多いと佐々木氏は言いますが、友だちや仲間と話せる機会がもっと増えると、将来に対して漠然とした不安をかかえているのは自分だけではないと気づけそうですね。

企業の本当の姿を知りたい!

25年卒の学生は現時点でどれくらいの時間を就職活動にかけているのでしょうか。また、どんな点を重視して企業を判断しようとしているのでしょうか。

アンケート調査によると、就活にかけているのは1週間で1~3時間と答えた学生が40%以上でもっとも多かったです。

「調査対象が『就活に対する意識が比較的高い』学生たちということもありますが、今の時期で1~3時間はかなり長い方だと思います。企業への要望では、転勤・給与・働き方など実際はどうなのか、本当のところを発信してほしいという意見が複数回答で45%以上。良いことばかりではなく大変なことや苦労話も発信してほしいと言っています。企業が就活生にどう対応しているかについてとても敏感で、対応の仕方が誠実かどうかの感度は高いですね」(佐々木氏)

すでにインターンシップに参加した学生からも、実際の職場での業務体験がいちばん良かったという回答が得られています。

対面でのインターンシップが増えるにつれて、志望する企業の「本当の姿」に接する場面も増えるでしょう。

「ただ、学生一人がインターンシップ参加を予定している企業数は、2~5社がボリュームゾーンで昨年よりやや低下しています。やみくもに多数のインターンシップに参加する傾向は減りつつあります」(佐々木氏)

自分の将来像をイメージできる企業との出会いを!

25年卒の学生は、企業を比較できるような情報を端的に発信してほしいという要望が高まっているようです。

就活にはできるだけ効率よく取り組みながら、友だちづくりやサークル活動に時間を使いたいという願望が調査結果からも読み取れそうです。

「ウィズコロナからアフターコロナへ移行し、学生の志向性や就職感も変化しています。そのような変化をしっかり受け止めて具体的なメッセージを丁寧に発信している企業に学生は注目しています。一人でも多くの学生が、自分の将来像をイメージできるような企業と出会い、仲間として迎え入れられることを願っています」(佐々木氏)