識学は4月26日、全国の従業員数10名以上の企業に勤める20歳〜49歳の女性を対象に「働く女性のこどもに関する調査」を行なった。有効回答数は300サンプル(こどもがいない人:150名/こどもがいる人:150名)。

日本の長年の課題となっている「少子化問題」について、2023年3月に岸田首相が「異次元の少子化対策」を掲げた。

そこで今回、“働く女性"に対して「こどもを産みたい、もしくしくは産む予定があるか」という問いを軸に、「こどもを産みたいと思わない、産む予定がない理由」と、こどもを産む場合の心配事、またこどもを産む場合、会社にどのような施策を行ってほしいかなどを聞いた。

また、現在子育て中の“働くママ"にも「母親になったことの後悔」についてと、その理由やパートナーとの家事分担率などの実態を調査した。

  • Q1. 【現在こどもがいない方】今後、こどもを産みたい、もしくはこどもを産む予定はありますか。(単数回答、n=150)

従業員数10名以上の企業にお勤めの会社員で現在こどもがいない方に、こどもを産みたい、もしくはこどもを産む予定があるか聞いた。

「こどもを産みたいとは思わない、産む予定はない」は44.0%、「こどもを産みたいと思っているが、産む予定はない」は20.0%と、合計して「こどもを産む予定はない」と回答した“働く女性"は64.0%にのぼった。

  • Q2. 【こどもを産みたいと思わない・産む予定がない方】こどもを産みたいと思わない・産む予定がない理由をお答えください。(複数回答、n=96)

Q1で「こどもを産みたいとは思わない、産む予定はない人」「こどもを産みたいと思っているが、産む予定はない」と回答した人にその理由を聞くと、最も多かったのは「こどもが欲しいとは思わないため」で34.4%だった。

次に「自由がなくなるため」32.3%、「こどもを産む・育てる自信がないため」「自分自身のために時間を使いたいため」が同率で30.2%と続いた。“自由"や“自分の時間を大切に"など、こどもを産みたいと思わない理由の上位は経済的なものではなく、ライフスタイルが変化することに対してだった。

  • Q3. 【現在こどもがいない方】こどもの出産・妊娠について、心配だと思うことをお答えください。(複数回答、n=150)

では、現在こどもがいない人が出産・妊娠した場合、心配事はどういったものだろうか。

トップは「教育費等含めた経済面」が47.3%で、次に「育児と仕事の両立」43.3%、「自分自身の精神・体力がもつか」41.3%、「育児の責任の重さ」38.0%が上位に挙がった。

「こどもを産みたいと思わない、産む予定がない理由」において、経済的なものは上位ではなかったが、実際に出産・妊娠を想像した場合、やはり経済的な部分が心配事のようだ。

  • Q4. あなたは政府の少子化対策に期待していますか。(単数回答、n=300)

政府が“異次元"と謳っている少子化対策だが、働く女性たちはどのように感じているのだろうか。

政府の少子化対策に期待しているか聞いたところ、「期待していない(あまり期待していない含む)」と回答したのは68.3%だった。

こどもがいる人・いない人別でみると、こどもがいる人は「期待している」42.0%なのに対し、こどもがいない人は21.3%と顕著に差が現れた。このことから「現在こどもがいない人」への施策、啓蒙も重要だと言えるだろう。

  • Q5. こどもの出産・育児において、必要だと思う勤務先における制度・体制をお答えください。(複数回答、n=300)

では、国ではなく勤務先の対策についてはどうか。

こどもの出産・育児において、必要だと思う勤務先における制度・体制について聞くと、「時短勤務」が59.0%とトップで、「育児手当」56.3%、「出産手当」54.3%、「こどもの都合によって勤務ができる会社の雰囲気」51.7%と続いた。“制度"や“社内の雰囲気"はもちろんのこと、多くの人が“手当"を求めていることがわかった。

  • Q6. お勤めの会社では、こどもを出産しやすい・育てやすい環境が整っていると思いますか。(単数回答、n=300)/Q7. 上記のように回答した理由をお答えください。(自由回答、n=300)

続いて、実際に“働く女性"たちが勤めている会社の環境について聞いた。こどもを出産しやすい・育てやすい環境が整っていると思うか聞いたところ、「そう思う(ややそう思う含む)」と回答したのは36.0%だった。

こどもがいる人・いない人別でみると、こどもがいる人は「そう思う(ややそう思う含む)」43.3%なのに対し、こどもがいない人は28.6%と大きな差があった。実際にこどもがいない人にも目に見えてわかる“会社の子育て環境"も必要なのかもしれない。

【「勤務先が出産・子育てしやすい環境か」とその理由】
「勤務先が出産・子育てしやすい環境」だと思う理由
・時短制度や育児休業がきちんととれる。(38歳)
・時短勤務や、早めの産休取得など、福利厚生が充実している。(32歳)
 
「勤務先が出産・子育てしやすい環境」だと思わない理由
・特に何の補助や施策も取られていないから。(43歳)
・出産を経て、職場復帰した女性がいないので。(44歳)

  • Q8. あなたがお勤めの会社では、育児休業が取得しやすい環境ですか。(単数回答、n=300)/Q9. 上記のように回答した理由をお答えください。(自由回答、n=300)

また育児休業が取得しやすいかについても聞いてみると、「取得しやすい」と回答したのは63.7%だった。だが、その理由を詳しく聞いてみると、「取得しやすい」と回答したからといっても実際には不満の声もあるようだ。

【「育休が取得しやすい環境か」とその理由】
「育休取得しやすい」と回答した理由
・妊娠すると自動的に育休を取る雰囲気にある。男性はないけど。(32歳)
・申請すれば通るが、正社員でないと難しい。(35歳)
・取得は可能だが、元の部署に戻れる保証は一切なし。(43歳)
・制度はあるが、育休をとった人は20年間で2人のみ。(42歳)
 
「育休取得しにくい」と回答した理由
・しっかり育休を取得できるルール?がない、知らされていない。(25歳女性)
・理解者が少ない。既婚でも既にこどもが成人済み、もしくは育児にかかわってこなかった上司の 圧力がある。(33歳)

  • Q10. 【こどもがいる方】日頃の、パートナーとの家事分担比率をお答えください。(数値回答、n=150)

次にこどもがいる人に、「自分:パートナー:その他(父母やハウスキーパー等)」での家事分担率を聞いたところ、「自分78.3%:パートナー18.5%:その他(父母やハウスキーパー等)3.3%」(いずれも平均値)に。

男女関係なく家事を分担する世の中に変わってきているように思うが、実際には多くの家事を女性が引き受けているという結果だった。

  • Q11. 【こどもがいる方】『母親になって後悔している・後悔した』ことはありますか。(単数回答、n=150)/Q12. 【「母親になって後悔している・後悔した」ことがある方】その理由をお答えください。(自由回答、n=38)

現在、母親になったことの重責や、子育ての辛さから“母親にならなければよかった"という思いを抱え悩んでいる女性がいると話題になっている。

そこで「母親になって後悔している・後悔した」ことがあるか聞いたところ、「現在も後悔している」は6.0%、「後悔したことがある」は19.3%で、合計すると25.3%が「母親になって後悔している・後悔したことがある」という結果となった。

また「母親になって後悔している・後悔したことがある」と回答した人に、その理由を聞いた。

【「母親になって後悔している・後悔した」その理由】
・こどもが優先になるのはあたり前だけど、その為に自分の時間が持てなくなり、自由がなくなったから。(48歳)
・自分の時間が無くなった、こどものことでイライラが増えた、こどもがいることでキャリアアップが遅くなる。(46歳)
・夜泣きで眠れない日が続いていた時期。 夫に当たって離婚危機を迎えた。(30歳)
・フルタイムで働いているので身体的にしんどい。(49歳)

今回の調査結果を受けて、同社では「企業にできること」として、1.「“出産・育児に関する制度を社員全員に周知し、不安や迷いを取り除く" こと」と、2.「評価制度を明確化すること」の二つを提言。

また「具体的なアクション」として、「全社員が出産・育児に関する制度の内容を確認できるようにテキスト化し、保管場所を明確化する」「昇給/昇格基準など評価体制を明確化する」を挙げている。