LIXILと国立大学法人金沢大学、ならびにコマニーは共同で「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」を発足。6月8日に「トイレのオールジェンダー利用」に関する調査結果を発表した。調査は2022年11月18日~29日、20~59歳の有職者1,325名(シスジェンダー男女各500名、FTM50名、FTX105名、MTX83名、MTF87名)を対象にインターネットで行われた。
性自認とは、自分の性別をどう認識しているか? という概念。トランスジェンダーとは、出生時に付けられた性別(出生時に判断され、割り当てられた性別。日本においては戸籍や住民票に記載され、女性または男性の二者択一)と性自認が一致しない人の総称。同研究会においては、WHOなど国際機関の報告書などを参考に、トランスジェンダーを「自身の性別を、出生時に付けられた性別とは異なるものとして認識している人」と定義し、調査分析を実施した。
シスジェンダー(出生時に付けられた性別と性自認が一致し、それに沿って生きる人)に対し、トランスジェンダーが性自認に沿ってトイレを利用することについての抵抗感を聞いたところ、オフィス、公共施設共に約7割が「抵抗はない」「どちらかといえば抵抗はない」と回答。オフィスについては、「抵抗はない(計)」の割合が、2017年(65.5%)から6ポイント増加。特に、「抵抗はない」が11.9ポイント増加しており、この5年で性自認に沿ったトイレ利用に対する意識に変化が生じているよう。
一方、「LGBT等性的マイノリティ」に関する研修やセミナー等を「受けたことがある」というシスジェンダーは12.8%にとどまり、まだまだ少ない状況であることがわかった。
次に、トランスジェンダーである人に対し、オフィスで主に利用しているトイレを教えてもらったところ、68%が「男女別トイレ」を利用していることが明らかに。しかし、利用したいトイレを聞くと、「男女別トイレ」の割合は52.3%と半数近くにまで減少。その分、「多機能トイレ」の利用意向が28.3%と3割近くを占めた。
一方、公共施設のトイレでは、普段は6割超の人が「男女別トイレ」(62.2%)を利用しており、利用したいトイレとしては「男女別トイレ」が55.7%、「多機能トイレ」が29.5%、「男女共用トイレ」が12.9%という結果に。
「利用しているトイレ」と「利用したいトイレ」が不一致のトランスジェンダーは、オフィスでは約4割、公共施設では約3割いることがわかった。