帝国データバンクは6月7日、「居酒屋」の倒産発生状況について調査・分析を行い、その結果を発表した。集計期間は5月31日までで、負債1,000万円以上法的整理による倒産を対象としている。

  • 「居酒屋」の倒産件数推移

まず、コロナの5類移行後、居酒屋の倒産が「コロナ禍超え」ペースで急増している事が分かった。

焼鳥店などを含む居酒屋の倒産は、今年1月〜5月までに88件発生。前年から4割増で推移しているほか、コロナ禍のダメージを大きく受けた2020年の同時期と比べても多くなっている。

このペースでの推移では、23年の居酒屋倒産はコロナ禍直後の20年累計(189件)を上回り、過去最多を更新する可能性も出てきている。

2023年は、特に零細規模の居酒屋で増加している点が特徴的で、資本金が100万円に満たない零細居酒屋の倒産が23年に発生したうち約半数を占めている。

  • 零細規模の居酒屋で倒産増が目立つ

コロナ禍の厳しい経営を支えてきた時短協力金や補償金、雇用調整助成金などの公的支援に支えられた20年〜22年に比べると大幅に増加し、コロナ前以来の高水準で推移した。

コロナ禍以降の本業不振から抜け出せない状況の中で、時短協力金など公的支援が相次いで打ち切られた事で資金繰りに行き詰まり、事業継続を断念したケースが水面下で多く発生したと見られる。

足元では、行動制限の解除に伴い居酒屋への客足は戻りつつある一方で、「家飲み」といった新しい飲酒スタイルの確立なども背景に、宴会需要などが依然として厳しい局面が続いているという。

また、値上げが相次ぐ食料品やアルバイト確保のための人件費、電気代など店舗運営コストも急騰した事から「客足の戻りに比べて利益率は良くない」といった声も寄せられている。

同社では、コロナ禍では見えづらかった居酒屋の優勝劣敗が、ポストコロナの局面でさらに進むのではないかと見ている。