JR東日本は6日、高輪ゲートウェイ~品川間の山手線区間で5Gインフラ設備の整備を進めており、2023年夏以降、インフラシェアリング事業による5Gエリア化を図ると発表した。JR東日本が整備した5Gアンテナを複数の移動通信事業者が共用する。
駅・電車の利便性向上に向け、JR東日本は鉄道沿線における5G(第5世代移動通信システム)のエリア化を推進している。高輪ゲートウェイ~品川間のインフラシェアリング事業では、走行中の山手線列車内の乗客にターゲットを絞った5Gエリア化を実施。2023年夏以降、準備の整った移動通信事業者から順次、5Gサービスの開始を予定しており、山手線のさらなる価値向上をめざす。
既存の第4世代移動通信システム(4G/LTE)と比べて、5Gは高速・大容量、低遅延、多数同時接続といった特徴があるものの、その特徴を引き出す周波数帯によっては電波伝搬距離の短さや遮蔽物の影響を大きく受けることから、きめ細かなアンテナ配置等が必要になる。ただし、駅および駅間へのアンテナ配置は構造上の制約が多く、市中からの対策だけでは電波伝搬が難しい箇所もあるという。多くの利用者が移動するといった特徴も踏まえ、JR東日本が5Gインフラ設備を整備している。
駅構内(ホーム・コンコース)でも、移動通信事業者ごとの5Gインフラ個別整備のほか、JR東日本が5Gインフラ設備を整備。2023年3月末までに東京駅、秋葉原駅、上野駅など山手線を中心とした21駅で5Gインフラ設備を整備する。今後も首都圏主要駅と新幹線駅の一部を対象に、5Gエリア化拡大に向けた整備を推進するとのこと。
5Gインフラ設備の整備のみならず、5G利活用の検討も推進。これまでも360km/hで走行する「ALFA-X」での5G通信試験、建設工事のリモート監督実現に向けた5G活用、東北を体験する東京駅での5Gイベント、ローカル5Gを活用した上越新幹線新潟~新潟新幹線車両センター間での高精細映像リアルタイム伝送などの実証実験に取り組んでいる。