日産自動車の新型「セレナ」が順調に受注を積み重ねているようだ。ガソリンエンジン車は2022年11月、ハイブリッドのe-POWER搭載車は2023年2月に受注開始。2023年5月22日時点で受注台数は4.7万台を突破した。内訳や売れ筋のグレードなどを見ていこう。

  • 日産の新型「セレナ」

    日産「セレナ」が売れている!

売れ筋グレードは?

新型セレナはガソリンエンジン搭載車とe-POWER搭載車の各タイプに「X」「XV」「ハイウェイスターV」の3グレードがあり、e-POWERのみで最上級グレード「ルキシオン」(LUXION)が選べる。ガソリン車は276.87~326.92万円、e-POWERは319.88~479.82万円だ。

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    搭載する「e-POWER」は新開発の発電専用エンジンと組み合わせた第2世代。エンジンの作動音、作動頻度を低減した静かな走りが特徴だ

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    走りはモーター駆動なので、電気自動車(EV)のように滑らかで俊敏な走りが楽しめるのもe-POWERの特徴。アクセルペダルの踏み戻しだけで車速をコントロールできる「e-Pedal Step」の制御は、もはや熟練の域に達している印象だ

ルキシオンはe-POWERのハイウェイスターVに比べても110万円ほど高いが、いろいろと特別な装備が付いている。目玉はミニバン初搭載の「プロパイロット2.0」だ。プロパイロットはいわゆる「ACC」で、高速道路などで起動すればステアリング操作と加減速を(ほぼ)自動化できる便利な機能だが、2.0だと特定の条件下ではハンズオフ走行まで可能になる。新東名高速道路で実際に試す機会があったのだが、背の高いミニバンであるにもかかわらず、ルキシオンは120km/hのハンズオフ走行でも不安を感じさせなかった。これがあれば長距離移動がかなり楽になるはずだ。

  • 日産の新型「セレナ」
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  • こちらが「ルキシオン」。プロパイロット2.0やヘッドアップディスプレイといった特別な装備のほか、内外装が専用になっていたり、シート地が合成皮革となっているなど他グレードとは違う点がいくつかある。通常は8人乗りの新型「セレナ」だが、ルキシオンのみ2列目がキャプテンシートの7人乗りとなっているところも特徴だ

  • 日産の新型「セレナ」
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  • プロパイロットは普通の状態だとメーターが緑色(写真左)で、2.0になると青に変わる(写真右)。2.0に移行する際は色、音、表示で知らせてくれるので、とてもわかりやすい

2023年5月22日時点でセレナの累計受注台数は4.72万台に到達。内訳はe-POWERが54%、ガソリン車が46%だ。e-POWERは受注開始から1カ月ちょっとで受注2.5万台を突破したが、先代セレナでは同じ台数を受注するまでに半年ほどかかったというから、新型ではかなりハイペースで売れているといえる。e-POWER比率は今後も伸びていくというのが日産の見方だ。

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    新型「セレナ」の受注状況。グレードの内訳はe-POWERがルキシオン13%、ハイウェイスターV78%、XV7%、X2%、ガソリン車がハイウェイスターV76%、XV14%、X10%。カラー構成では白、黒、グレーが人気だが、「ミニバンでは珍しい」(日産のマーケティング担当者)2トーンも意外に売れている

受注状況を見るとガソリン車もe-POWERも「ハイウェイスターV」(表では「HS-V」の表記になっている)が売れ筋となっている。日産としては狙い通りの流れだ。ルキシオンにはトヨタ自動車の「エスティマ」やホンダの「オデッセイ」といった「上級ミニバン」からの乗り換えも見られるとのこと。エスティマは生産終了、オデッセイは日本撤退(再販決定済み)となり、すっぽりと空いた上級ミニバン市場でセレナのルキシオンが有力な乗り換え候補になりつつあるのかもしれない。