10日に放送される東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『テイオーの長い休日』(毎週土曜23:40~ 全8話)第2話にゲスト出演する女優の工藤遥が、自身が演じる役柄や同作の見どころについて語った。

  • 工藤遥

第2話で新人脚本家・柏木美遊を演じる工藤。アイドルとして活動後、2018年に女優に転身。その後の活躍も目覚ましい彼女だが、今回、『テイオーの長い休日』で、新人脚本家の役に起用されたことを知って、ある因縁のようなものを感じたと打ち明ける。

「私が初めて舞台に立ったのは小学5年生くらいだったんです。その初舞台の脚本家さんが、約7年後……私が高校生になった頃、再開したときに、長文のお手紙をくださったんです。私たちのステージの千秋楽のときで、そこに書いてあったのは、『私は工藤さんが主演する映像作品を書きたい!』という内容でした」

工藤はその手紙を見た瞬間に、「今、このタイミングだな」と感じたという。「アイドルを卒業して役者になりたい、という気持ちはすでにあったので、そのお手紙に、思いっきり背中を押していただきました。お手紙を読んでから間もなく、役者への転向を決めました」と明かす。まさに、人生の大きなターニングポイントだ。

「同じドラマ業界でも、ADさんとか、新人マネージャーの方とかでなく、ピンポイントで『脚本家』役だったということが、今回の作品との“ご縁”だとしか思えない状態です。しかも、私の契機となってくれたその方は、 女性の脚本家の方で、見事に重なっています。本当に不思議な気持ちです。その女性脚本家の方のおかげで、 いま自分がここにいられる気がしますね」

自身が演じる役柄についてはこう語る。

「私が演じさせていただく役は、新人の脚本家です。新人という立場もあり、芸能界においてはまだ根強い 『年齢の若さの壁』などのおかげで、自分の書きたいものをなかなか書かせてもらえず、くすぶってしまって いる、なかばあきらめてしまっている女性なんです」

「この役の設定やセリフも、実際の脚本家さんが書いているわけですが、そこには、よりいっそう、脚本家の方の『リアルな心の声』が聞こえるような印象を感じました。そういうセリフが多かったり、そのものずばりな状況、シチュエーションが多かったりして……」

「私たち役者は、脚本家さんと直接お会いしてお話しする機会はあまりなくて、“台本に書かれた文字だけ”を通じて、まるでラブレターを読むような気持ちで、その思いを推し量る感じなんですけど、こんなに“会話ができる脚本”に出会えたことは、すごくうれしく思いました。今までの台本とは印象が違いましたね」

「これまでも、俳優をテーマにした作品はあったと思いますが、今回は俳優の枠を飛び越えて『ドラマ制作の裏側』をさらけ出していて、ここまで見せてしまっていいのかなと思うくらいに見せている作品だなと思っています。そんな作品で、シリーズが始まってすぐの回のゲストに出させていただけることはとても光栄ですし ベテランテレビ業界人を相手に、新人脚本家が必死に『自分の守り抜きたいものを守っていく』という姿は、 同世代の方や、そうした時期を経験した方々も含めて、皆さんに刺さるのではないかと思っています」

美遊は、若さゆえにプロデューサーの言うがままに脚本を直し、心も折れ、自分 を見失っている状態。美遊のように、工藤も挫折を経験したことはあったのだろうか。

「もちろん挫折の経験は、あります! 役者になって、作品にも出させていただいて、少しずつ気にかけてくださる方や、仕事に呼んでいただけることも出てきたというときに、すごく贅沢な悩みかもしれないですが、単純に『お芝居ができる』というだけじゃなくて、そこから先の『何か』がないとダメだというプレッシャーのようなものを感じてしまって……」

「記憶に残っていく役者にならないといけない。でも、そのために何をしていいのかもわからなかったし、お仕事をいただけることはとてもありがたいことなのですが、自分の中でなかなかすっきりハマってこない……みたいことがあって、『お芝居を楽しめない』と思ってしまう時期がありました。今回演じる美遊のセリフにもあるのですが、『本当にポキっという音が聞こえるかのように』心が一回折れてしまったんです。でも、その後の作品で出会った監督や、お芝居に携わっている方のお陰で『あ、もう一回がんばろう!』『自分 はお芝居が好きなんだ』と改めて実感できたんです」

「いちばん印象的だったのは、その時期に出会った監督から、ドラマや映画での(前のシーンとの)つながりなど、細かいことは全部無視して、『自分の感情だけを優先して、演じください』とアドバイスいただいたことです。『あとは、僕が責任を持ちます』と、言い切ってくださってびっくりしました。そこまで言ってくださるなら、私は、オンブに抱っこのつもりで、その瞬間瞬間に感じたことだけを出していきます! と思えました」

「いろいろな細かいところや、技術的なところにばかり気を使って、思考が固まってしまっていたから、その瞬間に感じた心情・感情を大事にできていなかったのだと思い出させてもらえたんです。今回、美遊を“救って”くれるのが熱護さんなのですが、それは同じ業界で事情をよく知っていて、“その瞬間”を共有している人だからこそ、響く言葉ってあるんだと思います」

では、工藤にとってのいま一番のリアルな夢は何なのだろうか。

「女優への道に進ませてくれた脚本家さんと再会することです。その脚本家の方は、その当時はアニメの脚本の仕事が多く、『自分は実写ドラマのほうにも進みたい』とおっしゃっていました。今はその夢を実現され ているのですが、まだお会いできいなくて。『いつか私の主演作品を書きたい』と言ってくださったのは、いわば、お互いに次のステップへ進もうね、という意味合いだったように思えます。時間が経った今、再会が果たせたら、私、泣くと思います(笑)。 今回のこの柏木美遊役も、私がそんな気持ちを抱きながら演じていると思って見ていただけると幸いです」

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