新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』製作発表記者会見が5日に都内で行われ、尾上松也、尾上右近、中村鷹之資、中村莟玉が登場した。
同作は名だたる刀剣が戦士へと姿を変えた「刀剣男士」を収集し、歴史の改変を企む敵に対抗すべく、 様々な時代の合戦場を攻略していく刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞 ONLINE』の歌舞伎作品。今回は十三代将軍足利義輝が討たれた“永禄の変”を、歌舞伎ならではの発想で大胆に脚色する。
今回は三日月宗近、小狐丸、同田貫正国、髭切、膝丸、小烏丸の6振りが登場するが、松也は「ニトロプラスさんと相談しながら、せっかく歌舞伎にするので、歌舞伎に関わりの刀剣を選ぶのがいいんじゃないかというような話になりまして、選ばせてただきました。髭切膝丸なんかもそうですし、小狐丸もそうですし」と明かす。
一方で「同田貫はトリッキーなサプライズというような形だったんですね。ですから配役を発表した時に、どのキャラクターよりも反響があったのは同田貫だったと聞いてます」という話も。「一際結構渋いキャラクターなので、そこをあえて登場させるというのが、ファンの皆さんからしても少し驚きだったようで。でも、僕は武骨な男らしいキャラクターというのも一つ欲しくて、それが同田貫だし、キャラクターが非常に鷹之資さんに合うだろうなと思ったので選ばせていただきました」と理由を説明した。
ビジュアル撮影について話題が及ぶと、髭切役の莟玉は「ジャケットに手を通していないのをどう表現するか。羽織に手を通さないで羽織紐だけということになり、これはビジュアル撮影の時に衣装さんとも『これで動き回れるかね』みたいな話になりましたけど、『なるほどね』と思っていただける一つの要素なので、そういうところは守りつつ。でも歌舞伎のバージョンとしては羽織ですよ、というのが面白くできていると思うんですが、どんなふうに受け取っていただけてるのか気になります」と語る。
鷹之資は「同田貫のビジュアルは現場のスタッフの方々や松也のお兄さんも見てくださって、試行錯誤した挙句最終的にあの形が完成しまして。最後にマフラーをつけたんですけれども、つけた瞬間に『これだ』というのがグッと入るものがありまして、歌舞伎の同田貫が見えたという感じがありました」と自信を見せる。「ものすごくキャラクターの個性が見えてきた気がするんですね。改めて、原作がいかに刀の個性を出しているかという素晴らしさを実感しましたし、今回歌舞伎でこういうふうに出すんだと感じて、舞台に上げた時に『歌舞伎の同田貫はこれだ』と言えるものが作れるように、稽古に入っていけたらと思います」と意気込んだ。
演出として他のキャラクターのビジュアル撮影にも立ち会っていたという松也。自身が演じる三日月宗近については「衣装は苦労なくすんなりと決めることができたんですが、髪型が非常に難しかったですね」と苦笑する。「短髪で前髪がおりているというビジュアルで、もちろん現代的な形にはできるんですけど、歌舞伎の三日月宗近を表現するのであれば、我々がやる意味ないんじゃないかといろいろ考えた」結果、「直前まで前髪をおろし気味にする方法も模索してたんですがどうもしっくりこなくて、全部上げてみるという作戦に大変更いたしました」という経緯があったという。「本当はビジュアルはもっと早く皆さんにお見せしたかったんですけど、僕の三日月宗近のビジュアルがなかなかしっくりくるところに至らず、けっこう遅くなってしまって。情報解禁が遅すぎてプチ炎上して、皆さんに本当にご迷惑をおかけした」という反省も。
松也は「こだわりが強すぎた部分もあったり。ビジュアル解禁が1番最初でしたから、自分たちがやりたいこと、自分たちの方向性というのを示す意味でもとても大切と思ったので、1番時間かかったのが三日月宗近でした。短髪でもなく、どんなキャラクターよりもロン毛ちゃんになってます。原作とは全然違うんですど、解禁した時に『歌舞伎のビジュアルになっている』というお声をいただいた時にはとても安心したし、嬉しかったです」と喜ぶ。一方で前髪が少し筋になっている部分もあり「パヤ毛を残した。前髪要素を残しながら大胆に変えたというところ」がこだわりだと強調していた。
公演は東京・新橋演舞場にて、7月2日~27日。