ワニブックスは、このほど『北欧の日常、自分の暮らし - 居心地のいい場所は自分でつくる -』(1,595円/桒原さやか著)を発売。本書は、スウェーデン人の夫と2人の子ども、家族4人で長野県松本市に暮らす著者が、北欧のひとたちから学び、実践していることを紹介している。
著者の桒原さやか氏は、「イケア」勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして6年勤務。また、スウェーデン人の夫とノルウェー・トロムソに移住した経験も持つ。そんな桒原氏が北欧の人々を取材し、発見した"魅力的な北欧の暮らしぶり"を本書では紹介している。
今回は同書の中から、北欧の子育てについて抜粋。ぜひ、あなたも参考にしてみてほしい。
■子どもに教えようとしない。そのままでいい、北欧の自然体な子育て
4歳の娘は、なかなか意志を曲げようとしません。あそこに行きたい! これがしたい!と決めたら、説得するのに毎回ひと苦労。正直、困っています。先日、スウェーデンに住む夫の両親とテレビ電話で話をしていたら、こんなことを義理の父が言っていました。
「意志が強いのはいいことだよ。自分を助けてくれるから。もちろん、大人はたいへんだけどね」と。そうか……、これはいいことなのか。そう思うだけで、ちょっと気持ちがラクになったのでした。
そういえば、北欧の親たちと話をしていると、「気持ちを言葉にすること」が子育ての中心にあるように感じます。夫も子どものころ、「あなたはどうしたいの?」とよく親から聞かれていたのだとか。自分の考えを言葉にするまで、両親は辛抱強く待っていてくれたと言います。また、フィンランドの家庭でも学校でもよく聞かれるのは、「Miksi?(ミクシ?)」。「なぜ? あなたはなんでそう思うの?」という感じで使われるのだとか。
子どもだって自分の考えを持っている。北欧では、子どもも「ひとりの個人」として捉えられていて、大人たちは子ども扱いしないように意識しています。そして、親は子どもが気持ちを表現するのを「助ける」役割。教えるというよりも、選択肢を用意したり、子どもの気持ちに耳を傾けるのが大事だと考えられているようです。北欧の会社は上下関係がなく、「フラット」だとよくいわれるのですが、それは親と子でも同じなのかもしれません。
そういえば、子育ての話をしていたとき、スティナさんがこんなことを言っていました。
「子どもたちは親に褒められたいから、親が褒めるだろうことをするでしょ?だから、わたしは褒めすぎないようにしているの」
ドキッとする言葉です。それでは、子どもたちが絵を描いたときに、具体的にどう接しているのか聞いてみました。スティナさんは褒める代わりに、こんなことを言うのだとか。
「これを描こうと思ったのはどうして?」「どうしてこの色を選んだの?」「ここに描いてあるのは何?」
ただ褒めるのではなく、子どもたちが持っているイマジネーションが広がるような声がけをするようにしているのだとか。「親の意見を子どもに押しつけたくないの。小さなことだけれど、意識しているとしていないとでは、全然ちがうと思う」とスティナさん。
親の意見を押しつけない。これも北欧の子育てではあらゆる場面で大事にされているのを感じます。男の子がピンクを好きでもいいし、プリンセスを好きでもいい。あなたは何が好きなの? 何を感じているの?と耳を傾けることを大切に考えているのです。
頭ではわかっていても、なかなか行動で示すのはむずかしいのですが、親が勝手に決めてしまっていることはないか、ときどき立ち止まって考えてみることが大事なのかなと思います。
北欧の子育てを聞いていると、親が子どもに何かしてあげるというよりも、子どもが持っているものを信じよう、そのままの自然体でいいんだよと教えられているように感じます。わたしもまっさらな目で、子どもたちのキラキラした世界をいっしょに眺めていきたいです。
書籍『北欧の日常、自分の暮らし - 居心地のいい場所は自分でつくる -』(1,595円/桒原さやか著)
同書では、子育て以外にも北欧のインテリアや家事、暮らしなどを紹介をしている。気になる方は、ぜひ手にとってみてはいかがだろうか。