Cygamesの対戦型オンラインTCG(Trading Card Game)『Shadowverse(シャドウバース)』のプロ大会「RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR(RSPT)23-24」にて、前シーズンまで参加していたプロゲーミングチーム「GxG」が不参加を発表。これに伴い、新たな参加チームの調整が行われました。その結果、北海道のプロゲーミングチーム「NORTHEPTION(ノーセプション)」の参戦が決定。「GxG」の選手が全員移籍する形でメンバーも決まりました。

「NORTHEPTION」といえば、タクティカルシューティングゲームの『VALORANT』の国内大会である「2022 VALORANT Championships Tour Challengers Japan Stage2」で優勝した実力派のチームです。その大会の決勝戦では、国際大会で世界3位になったチーム「ZETA DIVISION」を破っており、一気に「NORTHEPTION」の名を知らしめる契機になったと言えるでしょう。

シューティングゲームで名を馳せた「NORTHEPTION」ですが、カードゲーム部門はありませんでした。なぜ、これまでかかわってこなかったカードゲームの競技シーンに参入することを決めたのでしょうか。「NORTHEPTION」のオーナーである大輪和広氏と、『Shadowverse』部門のリーダーで あるForest選手に経緯を聞きました。

  • 「NORTHEPTION」のオーナー・大輪和広氏と、「NORTHEPTION」『Shadowverse』部門のリーダーで あるForest選手

――これまでシューティングゲームを中心に活動してきた「NORTHEPTION」が、カードゲームの競技シーンに参戦することを決めた理由を教えてください。

大輪和広氏(以下、大輪):これまで、シューティングゲームを中心に活動してきましたが、ファン数が頭打ちになってきているのを感じています。チームとしてファン層を拡大させるには、新しいジャンルのゲームを取り入れる必要性があると常々思っていました。

未開拓のゲームの中でも、『Shadowverse』にはとりわけ魅力を感じており、「RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR」に参戦するためにはどんなレギュレーションがあって、どんな準備が必要なのかなど、今年に入ってからCygamesさんに話を聞きに行ったほどです。そのあと、参戦枠が空いたと連絡をいただき、参戦に向けて動きだしました。

――『Shadowverse』のプロ大会に注目した理由を教えてください。

大輪:根本的な理由としては先程も言った通り、ファン層の拡大ですが、それと同時にファンの偏りも気になっていました。チームでイベントする場合、現状ではシューティングゲーム一辺倒になっていますし、そういった状況を打破したかったんです。あとは、個人的に『Shadowverse』をプレイしていたのも理由です。直近の大会も観ていました。

――「GxG」所属の選手が「NORTHEPTION」に所属することになった経緯を教えてください。

大輪:もともと、選手や「GxG」から、チームをまるっと引き受ける話があったわけではありません。フリーエージェント宣言をした「GxG」の選手と話し合った結果、全員しっかりとした考えを持っており、我々の求める選手像とマッチしていることがわかったんです。ほかのタイトルで活躍する「NORTHEPTION」のメンバーの模範となってくれる可能性も考え、全員と契約する決断に至りました。

Forest選手(以下、Forest):フリーエージェント宣言をしたら、ありがたいことに、いろいろなチームから話をいただきました。そのなかで、最終的に「NORTHEPTION」に決めた理由は、やはり「GxG」のメンバー全員と契約してくださったのが大きいですね。

――「RAGE Shadowverse」の注目度を上げる施策はありますか。

大輪:「NORTHEPTION」が入ることで、チームのファンにもプロツアーを観てもらえるようにしていきたいですね。「NORTHEPTION」のファンミーティングなど、ほかのジャンルのゲームのプレイヤーと交流することで、そのタイトルやそのタイトルで活躍する選手を知ってもらえれば、チームとしても相乗効果が生まれるのではないかと考えています。

――先日開催された「RAGE Shadowverse 2023 Spring」では、初めてプロ選手が優勝できました。『Shadowverse』はゲームの特性上、プロの強さを出しにくい面もありますが、プロの価値を高めるためにはどう対応していきますか。

大輪:強さも大事ですが、eスポーツのプロシーンで大事なのはエンターテインメント。その点で言えば、「GxG」時代からこのメンバーはプロ意識が高く、ファンを楽しめる術を多く知っています。ファンを楽しませることについては、ほかのチームに比べて群を抜いていると思います。その魅力をもっと多くの人に伝えるためにチームの配信を増やしていこうと思います。

Forest:確かにプロツアー開始時は、プロとハイアマチュアとの差がそれほど大きくなかったですし、シューティングゲームや対戦格闘ゲームのように、あきらかにプロの強さを示せるものでもないかもしれません。ただ、プロツアーの回を重ねるごとに実力は上がっており、プロシーンがリスペクトされはじめていると感じます。

――『Shadowverse』のプロツアーでは、「レバンガ☆SAPPORO」が同じ北海道を拠点とするチームですが、なにか協業やコラボなどは考えていますでしょうか。

大輪:これからプロツアーを盛り上げていくためには、ほかのチームと一緒になにかやっていくことは絶対に必要だと思います。これまで「レバンガ☆SAPPORO」さんとは接点がなかったので、一緒になにかをやることはなかったですが、今回の『Shadowverse』のプロツアー参戦により、大きなつながりを得たので、ぜひやっていきたいですね。プロツアーでも札幌ダービーができるようになったので、これを全面的に押し出して盛り上げていきたいと思っています。

Forest:北海道のチームとして、地域を盛り上げる取り組みをやっていきたいですね。これまではコロナ禍でそういった活動ができなかったので。「NORTHEPTION」はそういう企画もできるチームだと思っています。

――プロツアーについての意気込みをお聞かせください。

大輪:「NORTHEPTION」は、各部門の選手ががんばっていて、ファンに納得していただける成績は残せています。『Shadowverse』も上位成績を目指してほしいし、期待もしています。あとは、先程も言いましたが、プロツアーも「NORTHEPTION」もどちらのファンも拡大できるようにイベントを開催し、『Shadowverse』のメンバーにはどんどん参加してもらおうと思っています。どのようなイベントを開催すれば、ファンが増えるのかは現在検討中です。あとは、チームの模範として引っ張っていってほしいですね。

Forest:「GxG」のときに果たせなかった優勝をするために、プロシーンに戻ってきました。チームの期待に応えられるように、選手の模範となるような立ち振る舞いをしていきたいです。

――最後にファンへのコメントをお願いします。

大輪:初参戦となるので、至らない点はまだまだあるとは思いますが、そこはファンの皆様と一緒に育てていければと思います。ぜひとも温かい応援をよろしくお願いします。

Forest:「GxG」のときから応援してくださっているファン、そして選手個人のファン、「NORTHEPTION」のファン、皆様に応援してもらえるようにがんばります。応援よろしくお願いします。