目上の人に使える「微力ではございますが」の詳しい意味や、ビジネスシーンにおける正しい使い方、「微力ではございますが」を含むよく使うフレーズを紹介します。注意点や言い換え表現もまとめました。
「微力ではございますが」の意味とは
まず「微力」とは、力が弱く乏しいことや、その弱い力のことです。
「微力ではございますが」とは、「弱くて十分ではない力しかないのですが」という意味で、自らの力量を謙遜する表現です。本来はある程度の高い実力を持っていても、相手に対しへりくだっているのです。
なお「ございます」は「ある」の丁寧語です。
この「微力ではございますが」という言葉は、特に目上の相手に対して、助力を申し出る際などの前置きとしてよく使われます。
「微力ではございますが」のビジネスシーンでの使い方・例文
「微力ではございますが」はビジネスシーンにおいて、上司や取引先などの目上の人に対してよく使うフレーズです。
「微力ではございますが」という謙虚な表現の背後には、相手の力になりたい、という思いがあります。
以下では、「微力ではございますが」という表現が実際にどのような使われ方をしているのか、例文をもとに確認します。
微力ではございますが、お力添えいたします
友達同士であれば、何か手助けするときには、相手に「手助けするよ」「手伝うよ」などと声を掛けます。
しかし目上の人に対しての場合は、自らの力を謙遜しつつ、丁寧に「微力ではございますが、お力添えいたします」と申し出る方が適切です。
「力添え」とは、他人に力を貸すことを意味します。
微力ではございますが、ご協力いたします
友達同士であれば、協力したいときには、相手に「協力するよ」と声を掛けます。
しかし目上の人に対しての場合は、自らの力を謙遜しつつ、丁寧に「微力ではございますが、ご協力いたします」と申し出る方が適切です。
微力ではございますが、尽力いたします。
友達同士であれば、何か依頼を受けたときには、相手に「頑張るよ」と応じます。
しかし目上の人に対しての場合は、自らの力を謙遜しつつ、丁寧に「微力ではございますが、尽力いたします」と応答する方が適切です。
「尽力(じんりょく)」とは、ある目的を実現するために、全力を尽くすことです。
「力添え」や「協力」はサポートといったニュアンスですが、「尽力」は自分が主軸となって取り組む場合に使用します。
微力ではございますが、お役に立てれば幸いです
また、目上の相手のために何かを引き受ける場合には、自らの力を謙遜しつつ、丁寧に「微力ではございますが、お役に立てれば幸いです」と伝えることもできます。
微力ではございますが、応援しております
友達同士であれば、相手が新たな挑戦を始めるときや難しいことに取り組んでいるときには、「応援しているよ」と声を掛けます。
しかし目上の人に対しての場合は、謙遜しつつ、丁寧に「微力ではございますが、応援しております」などと伝える方が適切です。
「微力ではございますが」を使うときの注意点
「微力ではございますが」という表現は、相手に対して自分を下げて謙遜する表現です。しかし状況によっては、不適切であったり、誤解を与えたりする可能性があります。
ここでは「微力ではございますが」の使用時に気を付けるべきことを紹介します。
嫌みと捉えられないように伝える
「微力ではございますが」という表現は、自らを卑下し相手を高めているため、状況によっては嫌みのように聞こえ、相手に不快感を抱かせることもあります。
例えば、相手との間で力関係が明確な場合、圧倒的な力を持っている側がそうでない側に対して、この「微力ではございますが」という言葉を使うと、力を持っていない相手は「嫌みだ」「見下されている」などと感じることがあります。
履歴書などに記載するのは控える
自分の客観的な能力を記載した上で、アピールをするための履歴書や職務経歴書に、「微力ではございますが」と記載するのは避けた方がいいでしょう。
履歴書あるいは職務経歴書を読む側は、この「微力ではございますが」という表現を見て、「自分に自信がないのかな?」「微力では困るのだが…」などと思ってしまう可能性があります。
他人について使うのは控える
「微力ではございますが」という言葉は、相手に対して自らを謙遜する表現です。相手を「微力」と表現することは極めて失礼です。
例えば「微力ではございますが、お互いに頑張りましょう」といった使い方は適切ではありません。「お互いに」には、自分の他に相手が含まれるためです。この場合、自分のみならず相手も含めて「微力」と表現しています。
微力は、あくまでも自分のみに対して使う必要があります。
「微力ではございますが」の類語・言い換え表現
「微力ではございますが」の類似表現も併せて押さえておきましょう。
僭越ながら
「僭越(せんえつ)」とは、自分の地位や立場、身分を越えて、出過ぎたことをすること、あるいは出過ぎたことをするような態度を意味します。
「~ながら」は「にもかかわらず」「けれども」「ではあるが」といった意味を持ちます。
「僭越ながら」で「出過ぎたことですが」という意味です。
会話などのやり取りでは、「自分の地位や立場を踏まえると出過ぎたことになることは認識しているのですが…」という意味の前置きとして使われます。自分を謙遜して相手を高める表現です。
及ばずながら
この「及ばずながら」という言葉は、「不十分ではあるが」という意味で、人の手助けをする際などに謙遜して使います。
「及ばずながら努力いたします」のような形で使用します。
憚りながら
「憚りながら(はばかりながら)」の「憚る(はばかる)」は、遠慮する、恐れ慎むという意味です。したがって「憚りながら」は、遠慮すべきことかもしれないが、恐れ慎むところですがという意味です。
この「憚りながら」という言葉も、自分を謙遜し相手を高める表現として使用できます。
恐縮ながら、恐れながら
「恐縮ながら」の「恐縮」は、恐れて身がすくむこと、恐れ入ること、相手に申し訳なく思うことなどの意味を持ちます。
「恐縮ながら」は、無礼で恐れ多いことですが、という意味です。「恐れながら」も同じ意味です。
「恐縮ながら」「恐れながら」も、自らを謙遜し相手を高める表現として使用できます。
お役に立てるかわかりませんが
「お役に立てるかわかりませんが」という表現は、言葉通り相手の役に立てるかわからない、相手にとって良い結果になるか明確ではないという意味で、話の前置きとして使われます。自らを謙遜し相手を高める表現として使用できます。
例えば「お役に立てるかわかりませんが、私から担当者にお話ししてみましょう」という使い方をします。
場面に応じて「微力ではございますが」を適切に活用しよう
「微力ではございますが」という表現は、相手の力になりたい場合に用いられる謙遜の言葉です。ビジネスシーンのような改まった場面で、自らを謙遜し相手を敬うために活用できます。
適切に使いこなすことで、相手に対して自らが礼儀正しいという印象を与えることができ、円滑にやり取りできます。