自作PC業界において、独自のポジションを築いているのがNoctuaである。同社の冷却ファンやCPUクーラーといえば、静かでよく冷えることに定評があり、愛好者は多い。昨今、各社がこぞって光る製品に力を入れる中、同社のブースは、今年も光らない製品ばかり。性能のみを追求するというストイックさは、4年ぶりのCOMPUTEXでも健在のようだ。

  • 今年も大盛況のNoctuaブース

    今年も大盛況のNoctuaブース

今回、同社のブースで紹介されていたのは、14cmファンの次世代モデル。すでに発売済みの12cmファン「NF-A12x25」と同じように、LCP(液晶ポリマー)製のブレードを採用するのが大きな特徴だ。風量-静圧特性がさらに向上しており、CPUクーラー、ラジエータ、ケースのどの使い方でも、高い性能を発揮できる。

  • 風量-静圧特性のグラフを見ると、性能が向上していることが分かる

同社は、この開発を2015年よりスタート。仕様を決め、シミュレーションを行い、試作し、評価することを繰り返してきたが、なかなか条件をクリアできず、一からやり直していた。2020年バージョンがようやく、先の製品化のフェーズに進むことができて、このまま順調にいけば、2024年Q1に発売される見込みだという。

  • 同社の試行錯誤の歴史。ようやく、製造を検討するフェーズへ

そして、大型CPUクーラー「NH-D15」の次世代モデルは、この次世代ファンを搭載する。ファンの性能向上に合わせ、フィンピッチを1.9mm→1.6mmに狭くしたことで、表面積が20%拡大したほか、ヒートパイプを6本→8本に増やすなどして、性能を強化したという。発売時期はファンの開発状況にもよるが、順調なら2024年Q2になる見込み。

  • 「NH-D15」の次世代モデル。フィンが増えている

  • ヒートパイプは、従来の6本から8本に増えた

ブースでは、新旧モデルによる性能の比較が行われていた。300Wの熱源を使っているテストで、温度を確認してみると、新モデルの方が4℃ほど低下しているという違いが見られた。なお、性能は強化しつつ、ノイズレベルはほぼ同じとのことだ。

  • 違いが分かりにくいが、左が旧モデル、右が新モデルだ

  • 温度を見ると、4℃ほどの違いがある。上は室温だ