第36期竜王戦4組昇級者決定戦(主催:読売新聞社)は、2回戦の高崎一生七段―佐々木大地七段戦が5月31日(水)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、77手で快勝した佐々木七段が次回戦進出を決めました。
佐々木七段の袖飛車作戦
4組昇級者決定戦は15人からなるトーナメント2山からなり、これを勝ち抜いた2名が3組に昇級するもの。高崎七段は村中秀史七段に勝って本局を迎えました。振り駒が行われた本局、後手となった高崎七段が四間飛車に構えたのに対して先手の佐々木七段は得意の袖飛車作戦を披露。3筋に構えた飛車で歩交換したのが軽いジャブで、戦いが始まります。
先手の仕掛けを見た後手の高崎七段は、「戦いの起こった筋に飛車を回れ」の格言通りに飛車を回って対峙させます。棒銀の要領で銀を繰り出したのは振り飛車側から飛車先を逆襲する継続の狙いでしたが、局後に高崎七段はこの構想を後悔することになりました。攻められた右辺を明け渡して4筋からの反撃を用意したのが佐々木七段の明るい大局観でした。
居飛車のさばき決まり佐々木七段快勝
急所の歩を取り込んだ佐々木七段は、右四間飛車の要領で軽快に飛車を転戦してペースをつかみます。こうなると高崎七段の繰り出した左銀は足の遅い駒としてへき地に取り残されており、さながら「居飛車のさばき」に翻弄された格好です。なんとか飛車交換に持ち込んだのは最後の勝負手ですが、直後の角銀両取りが痛打で佐々木七段の優勢は確実です。
優勢を自認する佐々木七段の攻めは的確でした。終局時刻は17時39分、最後は攻め合い一手負けを認めた高崎七段が駒を投じて終盤の入り口での幕切れとなりました。敗れた高崎七段は「勘どころをわかっていなかった」と完敗を認めました。勝った佐々木七段は次回戦で阿部光瑠七段と顔を合わせます。
水留 啓(将棋情報局)