2022年度から、高校で金融教育が始まりました。これまで、お金の話は何となく避けられる風潮がありましたが、最近では「家庭でも、子どもにお金のことをしっかり教えたい」という人が増えています。
そんな時に役立つのが、「楽しみながらお金の仕組みが学べるゲーム」。ゲームの中でお金について学べますので、堅苦しさがなく、金融教育を始めるきっかけとしても最適です。今回は、遊びながら金融リテラシーが身につくゲームを9つご紹介します。
■金融教育はなぜ必要? いつから始めればいい?
2022年4月から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成人すると親の同意なしに契約が結べますので、消費者トラブルなどを避けるためにも、これまでより早いうちから金融リテラシーを身につけることが求められます。
また、同じタイミングで、高校の家庭科で金融教育が始まりました。高校で金融教育が開始された理由としては、成人年齢の引き下げや、近年、特殊詐欺など金融トラブルの被害が高水準で推移していることのほか、「日本人の金融リテラシーが世界の主要国と比較して低い」ことが関係しています。
金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査 2019年」によると、「金融知識に関する共通の正誤問題」の正答率を英国・ドイツ・フランスと比較したところ、日本は5問の平均正答率が60%と、4カ国中最も低かったそうです(英国63%、ドイツ67%、フランス72%)。
実際、先進諸国の金融教育は、日本よりも数歩前を行っている印象です。
たとえば、アメリカでは各州や各学校、各団体によって金融教育が行われ、イギリスでは3歳から金融に触れる機会があります。また、ドイツでは一般的に、小学校5年生から学校教育における本格的な経済教育が始まります。
元々日本人は、投資よりも貯金を好む傾向にありますが、低金利が長く続き、老後資金への不安もささやかれる中、「預貯金だけではいけない」という意識とともに、投資への関心がようやく高まってきました。
また、現代の日本は、終身雇用制の崩壊や非正規雇用の拡大など、先を見通すことが難しい世の中にあり、これまで以上に個人での資産形成が重要になっています。そのため、子どものうちから、「預貯金」のほかにも「運用」「投資」という選択肢を知っている意義は、非常に大きいでしょう。
大人になっていざ投資をしようとしても、全く知識がなく、何から始めたらよいか途方に暮れた人も多いのではないでしょうか。子どもが成長したとき、未来を見据えた資産形成をつまづくことなくスタートするため、金融教育の果たす役割は大きいと言えます。
学校では、高校から金融教育が行われますが、できれば子どもが小さいうちから、家庭の中で少しずつお金の話ができるといいでしょう。具体的には、小学校低学年から、お小遣いの管理を教えたり、次にご紹介するようなゲームを一緒にやってみたりするのがオススメです。
■小学校低学年からできる! マネー学習アプリ・ゲーム3選
最近では、楽しみながらお金の仕組みが学べるさまざまなアプリ・ゲームが充実しています。まずは、小学校低学年から取り組める学習アプリ・ゲームを3つご紹介しましょう。
<まねぶー>
「まねぶー」は、アプリ内での仕事体験や、仕事をして得た通貨でのアイテム購入を通じ、ゲーム感覚でお金の仕組みが学べるマネー学習アプリです。身近に実在する仕事をアプリ内で体験することで、よりリアリティを感じながらお金の知恵が身につけられます。
まねぶーでは、難しい仕事にチャレンジしたり、多くの仕事をこなしたりすると、たくさんの通貨がもらえます。また、お金のやりくりが記録でき、「お金を稼ぐ、使う」といった仕組みを体感できます。
遊び方や仕事を早く終わらせる方法を相談するなど、親子のコミュニケーションが随所に発生するよう設計されているのもポイント。仕事やお金の仕組みをこれから覚えていく段階のお子さんと一緒に、楽しく学べるアプリです。
<ハロまね>
「ハロまね」は、幼い頃から収支バランスを身につけるための子ども向け「おこづかい帳アプリ」です。子どもが日々の収入・支出を入力することで、収支管理の基本が習得できます。
ハロまねには、お小遣い残高がひと目でわかったり、使い道がグラフで見える化されたりと、大人が使う家計簿アプリさながらの機能が備わっています。
また、アプリ内には「ハロまね銀行」という仮想銀行があり、親が銀行役になり、預かったお金を引き出し申請があるまで預金として管理する機能もあります。金利設定やドル預金も可能ですので、利息や為替を学ぶよい機会になります。
さらに、「おてつだい機能」により、日々のお手伝いを見える化して子どものやる気を引き出す工夫も。お手伝いをすることで得られる報酬の単価も、任意で設定できます。
<うんこお金ドリル>
「うんこお金ドリル」は、子どもに大人気のうんこドリルと金融庁がタッグを組んだ、幼児〜小学生向けのお金ドリルです。ドリルは公式サイトで公開されており、「生活編」と「経済編」に分かれています。
お金にまつわるシーン別の行動がクイズ形式で出題されますので、正しいと思うものを選択して解答します。解答後には、「なぜこれが正しいのか」が丁寧にわかりやすく解説されるため、小さな子どもでも納得しながら進められます。
■家族で盛り上がりながらお金が学べるボードゲーム3選
次は、家族でワイワイと盛り上がりながら、お金や人生設計について学べるボードゲームを3つご紹介しましょう。
<モノポリー>
「モノポリー」は、2つのサイコロを使って盤上を周回しながら、投資や不動産売買をして資産を増やしていくゲームです。不動産の売買やレンタル料のやり取りによって自分の資産を増やし、対戦相手を破産させることが勝利の条件となります。
1ターンごとにお金が動くため、自然と計算に強くなりますし、ターンごとに利息がとられる、抵当に入れた土地のレンタル料は徴収できないなど、リアリティがあります。戦略や交渉力が必要な点も魅力の一つです。
なお、モノポリーは8歳以上が対象ですが、もっと小さな子どもでも楽しめる「モノポリージュニア」や「スーパーマリオ編」などさまざまなモノポリーが発売されています。
<キャッシュフロー・フォー・キッズ>
「キャッシュフロー・フォー・キッズ」は「金持ち父さん 貧乏父さん」の著者として知られるロバート・キヨサキ氏が考案したボードゲームです。子どもの「ファイナンシャルIQ」を楽しみながら伸ばすことを目的としたゲームで、資産を築くための起業や投資のスキルが得られます。
キャッシュフロー・フォー・キッズでは、まず、給料を使ってゲームをスタートします。そして、サイコロを振り、資産を購入します。「財務諸表」や「損益計算書」を見ながら投資対象を選び、不労所得が支出を上回る状態を目指します。
難しい点もありますが、その分、豊かな人生を歩むため学ぶべきものが多くあるゲームです。
<人生ゲーム>
「人生ゲーム」は、タカラトミーが1968年に発売したボードゲームです。子どもの頃、一度は遊んだことがある人も多いのではないでしょうか。
人生ゲームはいわゆる「すごろく」ですが、その中で就職や転職、結婚など、人生のさまざまな場面を疑似体験し、最終的には収支で勝敗が決まるゲームです。職業によって給料が異なったり、時にはお金が足りずに約束手形で借金したりと、ゲームながら人生のリアリティを体感できる仕組みになっています。
なお、人生ゲームにはさまざまな種類が発売されています。好きなものを選び、家族で盛り上がりながらお金の話をしてみましょう。
■株式投資や資産形成が勉強できるアプリ3選
最後に、より本格的に、株式投資や資産形成の勉強ができるアプリを3つご紹介します。子どもと一緒に使うのはもちろん、大人もシミュレーションや知識の習得に活用できます。
<かぶたす>
「かぶたす」は、リアルな株価データを使った本格的なデモトレードが体験できるアプリです。マンガやイラストを使った解説記事も充実しているため、楽しく株の知識が身につけられます。
「かぶたす」は大人向けのアプリですが、子どもが使う場合、中学〜高校生なら充分活用できます。また、株に興味がある小学校高学年の子なら、親子で株取引のシミュレーションを楽しめるでしょう。
さらに、「iDeCo」や「つみたてNISA」など具体的な投資方法についてもイラスト付きで解説があるため、大人も一緒に理解が深められます。
<トウシカ>
「トウシカ」は、実際にあった過去の株価の値動きを体験・取引できるシミュレーションアプリです。ゲーム感覚で有名株の取引を体験できるほか、つみたてシミュレーションにも対応しているため、「毎月○円ずつ、○年積み立てるといくら貯まる? 」がすぐにわかります。
また、会話形式やイラストで「ポイント投資」や「iDeCo」「つみたてNISA」など投資についての解説があり、用語集、おすすめ証券口座ランキングなど、投資に関する情報が充実しています。
資産形成の基礎を学びながら、投資をリアルに体験できるアプリですので、「子どもと一緒に、自分も知識や実践力を備えたい」という親御さんにもオススメです。
<かぶポン>
「かぶポン」は、お金や投資に関する知識を、クイズ形式で学べるアプリです。ゲーム結果の「金融力」は、ランキングで表示されます。また、クイズや学習コンテンツで貯めたポイントで「ガチャ」を引くことができ、「ねこ武将」が集められる仕組みです。
クイズは大きく分けて、「かぶポン! クイズ」と「難易度別クイズ」の2種類があり、難易度別クイズには「かんたん」「むずかしい」「超むずかしい」の3種類があります。
ランキングに加え、「ガチャ」や「キャラ集め」など、子どもが好きな要素が盛り込まれているため、飽きることなく、いつの間にか金融力が鍛えられるゲームです。
■大人も一緒に楽しみながらお金の勉強を
いざ家庭で金融教育をしようと思っても、普通の勉強のようなスタイルでは、子どもはなかなか取り組んでくれないかもしれません。その点、子どもが自分から「やりたい」と思うお金のゲームなら、どんどん知識を吸収してくれそうです。
お子様の興味や年齢に合わせてゲーム・アプリを選び、大人も一緒に楽しみながらお金について学んでみましょう。